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地元で収穫したレモンで作るレモン鍋やレモンケーキ【脱都会!野ざらし荘だより#4】

30数年住んだ東京を離れ、神奈川県の横須賀へ移住して早5年。海の幸も山の幸も豊かな土地での暮らしを楽しんでいます。連載第四回目の今回は、地元で収獲したレモンの使い方をお届けします。

野ざらし荘のある横須賀は三浦半島のちょうど真ん中あたりにあり、温暖な気候で雪も数年に一度降るかどうかというところ。ぐるりと車で1時間もあれば一周できる小さな半島で、海沿いには小さな漁港が点在し、刺身が食べたいと思ったら近くの漁港へ、野菜がなくなると畑の中にある無人販売所チェックへ。思い立ったらすぐに新鮮な海と山の幸にありつけるという、よいところがギュッと凝縮された半島のコンパクトさが気に入っています。

初めての「狩り」にすっかりハマってしまいました

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東京湾を見渡す高台にあるレモン畑

三浦半島では魚や野菜のほかにも、果物の観光農園が多くあり、季節によってみかん“狩り”やいちご“狩り”が楽しめます。といっても、この土地に移り住んで数年間、観光農園というものに足を踏み入れたことがなかったのですが、去年、仲間に誘われ、みかん狩りを初体験。急斜面にたわわに実る木々の間を歩きながらおいしい果物探しをする面白さに、すっかりハマってしまいました。

ずっしりと重みがあるレモン
たわわに実をつけたレモンの木

以来、すっかり“狩る”ことに魅了され、年末に仲間からレモン狩りのお誘いがかかった時には、「ほい、ほい!」と二つ返事で喜んでついていきました。海が見渡せる高台で獲れたレモンの見るからにワイルドで美味しそうなこと。

さすがにレモンは食べ比べできませんでしたが、農園に絞り器がおいてあって、採りたてのレモンをその場で搾ってハチミツを少し垂らしてレモンスカッシュに。目の覚めるような酸っぱさと程よい苦味も加わり、フレッシュそのものでした。

農薬を使わず皮まで丸ごと楽しめるということで、家に帰って鍋やドリンク、菓子など色々作ってみました。

酸っぱさが美味しいイギリスのホームメイドケーキ「レモンドリズル」

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小麦粉がなかったので米粉で作ってみましたが美味しかった

イギリスのカフェに行くとよく見かける「レモンドリズル」。思わず「酸っぱい!」と声を漏らしてしまうほど酸っぱく、どぎつく甘〜いレモンのシロップが染み込んだレモンのケーキで、その味が恋しくなって作ってみました。

レモンの皮をすりおろして生地に混ぜ込む
焼きあがったらレモンシロップを上から流し込む

レモンドリズルの作り方は至ってシンプルで、同量のバター、砂糖、薄力粉に卵、レモンの皮のすりおろしを加えて混ぜ合わせ、焼きあがった表面に穴を開け、レモン果汁と砂糖を煮詰めたシロップを流しかけて完成です。流し入れて1日、2日置いておくとさらに味が染み込んで美味しくなります。

家族みんなで「酸っぱいー」と口を萎ませながら食べるのが至福の時間です。

シャリシャリ!冬でも凍るような冷たさの「すりおろし檸檬サワー」

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凍ったレモンを擦りおろすので、氷が少なめで済むのも嬉しい

夫の楽しみは毎日の晩酌で、柑橘類を持ち帰るといつの間に“柑橘サワー”として使われ無くなっていた、ということも一度や二度ではありません。夏みかん、橙、シークワーサーなどを半月切りにして、絞って焼酎と炭酸で割って飲むのが常ですが、こないだお店で出てきた、見た目にもヒンヤリのシャリシャリ檸檬サワーが忘れられず家で再現してみました。

作り方は店の人に聞いたわけではないので自己流ですが、半分に切ったレモンをそのまま冷凍庫で凍らせ、焼酎のソーダ割りに絞る代わりに、凍ったレモンを擦り下ろします。皮ごと削ってしまうので普通のレモンサワーより苦味が加わり、大人の味わい。

口当たりがヒンヤリして、飲めば飲むほどクセになる一杯です。皮まで丸ごと使えるので無駄なくよいのですが、削っている手が凍りそうになるのが玉に瑕です。

旬の牡蠣とレモンをシンプルに味わう「レモン牡蠣鍋」

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白菜、きのこたっぷりのレモン牡蠣鍋

採りたてのレモンを眺めていたら、無性に食べたくなったのが「レモン牡蠣鍋」。旨味を蓄え旬真っ盛りの牡蠣とレモンの組み合わせはこの時期ならではの楽しみ方です。

汁は、昆布で出汁をとり、野菜をたっぷり入れ、牡蠣を投入したらシンプルに塩で味付け。出来上がり直前に輪切りレモンを乗せます。牡蠣の生臭さをレモンがほどよくかき消してくれ、素材の味を楽しみながらも、酸味と牡蠣の旨味の相乗効果でさっぱりと頂けました。レモン果汁で作ったポン酢をちょろりとかけて食べるのもオススメです。これから一段と寒さが増すこの季節、まだまだ鍋はやめられなさそうです。

 

新鮮な食材を手に入れると、めんどくさがりな私でさえもあれも作りたい、これも作りたい、と思えるので不思議です。季節ものなので美味しいレモンに出会えるのはまた来冬。今からすでに待ち遠しいです。

次回は、自家製・味噌作りの様子をお届けします。


【著者】

清土奈々子

都内から階段100段を登った高台の一軒家「野ざらし荘」に移り住み、夫と3歳の子と暮らす。編集・ライター、ギャラリー「野ざらし荘」運営、子ども向けワークショップのコーディネーター、絵描きのtoiとともにユニット「村のバザール」を組みライブイベントの企画やウェディング装飾、デザインワークなど行う。ミュージックビデオなど映像制作も。

youtube| https://www.youtube.com/channel/UCkAE6Jcy6oSlJxD2nUIu32Q    

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