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ごみ清掃芸人・滝沢さん「ごみを捨てる時に思い出してほしいこと」【滝沢家の日常】~vol.16~

ごみ清掃芸人として活躍する、マシンガンズ滝沢さん。ごみに関するいろいろな情報を発信しています。『kufura』で連載してきた【滝沢家の日常】も、今回が最終回。最後にもう一度、”ごみ清掃の人が喜ぶごみ出し”について、おさらいしていきましょう。漫画イラストは、奥様の滝沢友紀さんです。

まずはクイズ形式で、ごみ出しについて出題します。これまでの連載を読んできた方なら楽勝……!?

Q1:ごみ袋はパツパツまで詰める?それともゆとりをもたす?

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ごみ袋にごみを詰める時、パツパツになるまで入れるのがよい? それともゆとりのある方がよい?

あなたはどちらがよいと思いますか?

正解は「ゆとりごみ」!

正解は……ゆとりごみ袋!

ゆとりのあるごみ袋の方がありがたいです。パンパンに入っていると一重にしか結べなくなるので、テントウムシみたいな小さな結び目になるんですよ。だから、僕はパンパンなごみ袋の結び目を“テントウムシ”って言ってます。で、倒れたりするとほどけてしまってごみがこぼれ出てくるんです。あれが困るんですよ。できるだけごみ袋は二重に縛ってほしいですね」(以下「」内、滝沢さん)

ごみ袋が有料の地域だと、少しでもたくさん入れて出したくなるのもわかります。二重に結べなくなるまで詰め込むと、簡単にほどけてこぼれることもあるので、ゆとりごみを目指してくださいね。また、もったいないからといって昔使っていた黒いごみ袋で出すのもNG。

「真っ黒ごみ袋は基本的には回収しないんですよね。中に何が入っているかわからないごみ袋って、危険なんですよ。中には分別しない人もいたりする。だから中身が見えるごみ袋だけを回収しています」

ちなみに、小さいごみ袋でもバラバラに出すのではなく、それぞれを繋げて出してくれると“神ごみ”認定だそうです。

Q2:ビーズクッションは普通ごみと同じごみ袋に入れて捨てていい?だめ?

人をだめにする系のビーズクッションを捨てる時、あなたはどうしていますか? ごみ袋にそれだけを入れて捨てる? それともほかのごみと一緒にして捨てる?

ビーズクッションは入っていることを明記して!

正解は……1つにして外側に明記する

「ビーズクッションは、回転板に挟まれるとビーズがあちこちに散らばってしまって大変なことになるんです。だからごみ袋の外側に“ビーズクッション”と明記してほしい。ごみ清掃員が分かればいいんです。普通の可燃ごみと一緒にごみ袋に入っていると、わからなかったりする。そうなると手がつけられない」

同様にシュレッダーごみも量が多い場合は、それだけで“シュレッダー”と明記して捨ててほしいそう。

「シュレッダーも飛散防止のため、小さな袋にまとめてから大きなごみ袋に入れるなどしてもらえると助かります」

 

Q3:リチウムイオンバッテリーは不燃ごみに出せる?出せない?

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リチウムイオンバッテリーは発火の原因にも。

正解……リチウムイオンバッテリーは回収先へ

「最近リチウムイオンバッテリーの発火リスクがニュースなどでも報じられるようになってきましたが、家電量販店、販売店、地域の回収先に出してください。小さいからと可燃ごみに混ぜたり、不燃ごみに出したりすると、ごみ収集車や処理施設で発火したり、爆発することもあるんです」

近頃多発しているリチウムイオンバッテリーによる発火事故、航空業界では機内ではリチウムイオンバッテリーは目視できるよう座席の前ポケットに入れるよう指導しているところもあります。ワイヤレスイヤホン、ハンディファンなどにも使われているので、“何度も充電できる家電”を捨てる時は要注意です。

これまでに滝沢さんの記事を読んでこられた『kufura』読者の方々には、これらの1~3の質問の答えはすぐにわかりましたよね!?

それでは、ここからはおさらいです。ごみ清掃員が心からお願いしたい、ごみの出し方ポイントをご紹介します。

お願い1:生ごみは必ず絞ってからごみ袋へ

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滝沢家でも実践してます。

「一番お願いしたいのは、ごみ汁を減らすこと生ごみをごみ袋に入れる前にギュっとひと絞りしてもらうだけで、ニオイも重さも変わってきます。ごみ収集車の悪臭の最大の原因は、各家庭から出るごみ汁です。水分を減らすことで、収集車の燃費削減や焼却効率アップに繋がり、最終的に電気代の節約にもなります。昔のおばあちゃんがやってたように、新聞紙に包むのもいいですよ」

お願い2:危険物は必ずわかるようにして

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「スプレー缶やガスボンベなどは中身が残ったままだととても危険。引っ越しシーズンにはガス抜きされていないものがよく捨てられていて、本当に困るんです。必ず中身を使い切って、ガスを完全に抜いてから自治体のルールに従って廃棄してほしい。この前も遺品整理で大量に捨てられたライターが原因で、ごみ収集車が爆発・炎上して数百万の損害が出たところなんです」

スプレー缶やガスボンベだけでなく、液体系も困りものなのだとか。

「先日、除湿剤が液体が入ったままどーんとごみ袋の中にあって、中に溜まった液体(塩化カルシウム水溶液)が収集時に袋が破れて液体が飛散して、作業員が火傷を負ってしまった。必ず中の液体は捨ててください」

洗剤、香水、古くなった梅酒……どんなものでも液体を残したままごみに出さないこと。布などに沁み込ませて出し切ってから捨てましょう。

「あと、竹串! ごみ袋を突き破ってごみ清掃員の手を切るなどケガの原因になるので、新聞紙や紙で厚く包んで“危険”と明記してから、ごみ袋の中央に入れるなど安全への配慮をお願いしたいです」

    滝沢さんとの約束だぞ!

    これから年末年始に向かい、大掃除でたくさんのごみが出てくることでしょう。しかし、何度もお伝えしていますが「1度に出せるごみは最大3個まで」です。

    「最後にやけくそになって、不燃物でも危険物でもなんでもごみ袋に入れる人、本当にやめてください」

    Xからいろんなごみについて何度も注意喚起をしている滝沢さんのおかげで、私たちもごみに対する意識がこの数年で変わってきたような気がします。

    滝沢さんの歴代ツイートの中でも、一番読まれているのはピザの入っていたダンボールについてのTIPSなのだとか。

     

    暮らしの中でごみは必ず出てしまうもの、新しく物を購入するときには捨てるときのことも考えておきたいですね。そうしたら無駄な買い物をしないで済むかもしれませんよ。

    ご紹介した「ごみ捨て時に思い出してほしいこと」に加えて、お住いの地域のごみ回収ルールを熟読しておくことを強くおすすめします。何をリサイクルしていて、どのような形でごみ出しをすることが望ましいのかなどがたくさん書かれています。

    これからもごみを捨てるときには、滝沢さんのようなごみ清掃員さんがいることを思い出してみませんか? ごみ清掃員さんを困らせないようなごみ出しをしていきたいものですね。

    【協力】

    滝沢秀一(たきざわしゅういち)

    1976年生まれ。1998年に西堀亮とお笑いコンビ『マシンガンズ』を結成。
    『THE MANZAI』 2012、2014年認定漫才師。
    2012年より定収入を得るため、ごみ収集会社に清掃員として勤務を始める。
    現在、SNSや執筆、講演会等にて、ごみ清掃中に気がついたことを発信している。
    「滝沢ごみクラブ」というごみを減らすためのオンラインサロンを開催中。
    著書に『このゴミは収集できません』(白夜書房)、『ごみ育 日本一楽しいごみ分別の本』(太田出版)などがある。最新刊はごみクラブのメンバーと作った、日めくり感覚で地球にやさしいアクションを紹介する『地球と人にちょこっとやさしくなれる365日』(KB パブリッシャーズ)。

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