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抗菌マステは効果あり!梅雨はカビのシーズン、ハウスクリーニングのプロが教える掃除術【浴室編】

今年もついに梅雨入り。気温はもちろん湿度も高くなるので、お風呂などはあっという間にカビが生えてしまいます。いつも以上に念入りに掃除をする必要がありますが、できれば最小の負担でキレイな状態をキープしたいもの。
そこで今回はハウスクリーニング専門家として活動している、お掃除アドバイザーの春日富士さんに梅雨時期のお掃除に関するコツについて、お風呂回りを中心に伺いました。

カビが生える発生要件は気温24度以上で湿度40%以上!

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そもそも日本の梅雨シーズンとそれ以外の季節では、カビの発生具合にどのくらい差が出るものなのでしょうか?

「梅雨とカビってまったく同じ相関関係にあります。カビが生える発生要件は、気温が24度以上で湿度が40%以上。一方で梅雨時期は気温が25度以上で湿度が50%以上になる。ほぼ同じなんです。とはいえカビにもいくつかの種類があって、寒い時期でも生える強いカビもいます。

しかし一般的に皆さんがイメージするカビは、気温24度以上で湿度40%以上に生える種類のもの。お風呂の床などでよく見かけるピンク状のカビは、“赤カビ”といわれる初期カビの状態で、これに当てはまります。これが進行していくと黒カビになりますが、こちらは根を生やしているので、1回生えたらその後にいくら湿度や温度を下げようが、どんどん増えてしまう性質があります」(以下「」内、春日さん)

つまりお風呂などのカビは、黒カビになる前の赤カビの段階で手を打つ必要があるといえそうです。発生を予防するには、カビの発生条件である温度と湿度を下げることが重要となります。

「冬の時期でも40度以上のお湯を使えば、すぐに浴室の気温は25度以上になります。冬でもお風呂にカビが生えるのはそのためです。ですからまずやるべきことは、浴室の温度を下げること。具体的には浴室を出る前に1分~2分間、冷たい水のシャワーを浴室全体にかけると、気温を下げることができます」

冷たい水のシャワーで気温を下げるのがコツ。

「熱いお湯のシャワーでカビ防止」は間違いだった!

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逆にインターネット上ではよく「最後に熱いお湯のシャワーを浴室全体にかけるとカビ防止になる」という情報もありますが、春日さんは「これは誤情報です」と断言。

「熱いお湯は皮脂汚れや石けんカスなどの汚れを洗い流すには確かに有効ですが、浴室の温度もどんどん高くなるので、カビの発生を促してしまいます。ですから熱いお湯で汚れを落とすなら、その後に必ず水で冷やすことが重要なのです」

そして温度に続いて下げる必要があるのは湿度。浴室に窓があれば開けることで湿度を下げることができますが、窓がない浴室の場合はどうすればいいのでしょうか?

「換気扇をうまく使いたいところですが、集合住宅などでは15センチ角ぐらいの小型換気扇しかないケースも多く、これだけで浴室全体の湯気を吸引するのは不可能です。そういった場合はサーキュレーターを使って、湯気を脱衣所の外へ飛ばしてあげるといいと思います」

サーキュレーターを使って湿気を飛ばしましょう。

洗剤は何を選べばいい?プロがオススメするお風呂掃除術

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お風呂のカビを予防する環境を整えたら、次は洗浄。ドラッグストアなどに行けばたくさんの種類のお風呂用の洗剤が売られていますが、どういったものを選べばいいのでしょうか?

「お風呂というのはカビや石鹸カス、皮脂汚れ、あと水のカルキ汚れ。そういった異なる汚れが混在する場所です。これらすべてが落ちるオールインワンの洗剤というのは、残念ながらありません。カビに効果があるのは塩素系洗剤ですが、石鹸カスや皮脂汚れ、水のカルキ汚れに効果を発揮するのは酸性洗剤。塩素系と酸性を混ぜたら有害物質が発生して大変危険なので、絶対混ぜちゃいけない。つまり汚れを落とすときにまず塩素系でカビを取り、しっかり水で流した後に、酸性の洗剤を使う。オススメなのはこの方法です」

とはいえ、普段のお風呂掃除で2つの工程を行うのは正直手間がかかります。

「そうですよね。そのためドラッグストアなどでよく売られているお風呂用洗剤は、塩素系と酸性の中間ともいえる“アルカリ性”が主流です。確かにカビなどの塩素系の汚れにも酸性系の汚れにもそこそこ効果があるのですが、強力な洗浄力はあまり期待できません。

ですからお風呂掃除でオススメなのは、アルカリ性でも対応できる程度の汚れのうちに、こまめに洗浄すること。そしてもうひとつ。これは僕が個人的に自宅で行っている方法ですが、まずはお風呂に入るたびに必ず最後に1分間から2分間シャワーで真水をお風呂全体にかけてお風呂の温度を下げる。その後に、水で希釈したクエン酸をお風呂全体にかけると、これだけでお風呂掃除がほとんど必要なくなります。簡単なのでオススメですよ」

水で希釈したクエン酸を最後に浴室全体にふりかける。

プロも大注目!イオン系の抗菌グッズも効果が期待できる

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また最近は抗菌タイプのマスキングテープや置くだけでカビが防げる商品なども発売されており、活用している人も多いと思います。これらは果たしてどのくらい効果があるのでしょうか?

「はっきりいって、絶対的な効果が期待できると思います。今後ハウスクリーニングで間違いなく注目を集めるのが、これらの抗菌やバイオ系の商品。これってどういう理論かというと、まず一つの理論としては、キッチンの排水口などは汚れがたまるとヌメヌメしますよね。このヌメヌメの正体は雑菌なんですけど、排水口にアルミホイルを丸めたものを一つ入れるだけで、ヌメヌメがなくなるんです。これは銀イオンによる殺菌作用によるもので、この原理と同じなんです。こういったマスキングテープや置くだけで抗菌できる商品も同様に、バイオの力によるものなんです」

これからカビが大量発生する時季となりますが、まずは重要となるのは汚れる前に予防すること。そのためにはお風呂なら湿度と温度を下げる工夫をしたり、バイオ系の抗菌商品を活用するのが良さそうです。その対策をするなら、本格的な夏が到来する前がベスト! できれば今すぐ、お風呂場のカビや汚れの対策をしてみてください。

ダイソーなどで販売されている抗菌マスキングテープ、ご使用の家庭も増えていますよね。

撮影/黒石あみ(小学館)


【教えてくれた人】

お掃除アドバイザー・ハウスクリーニング専門家 春日富士(かすがふじ)さん

清掃代行 NAGAREBOSHI 本部事業統括・一般社団法人 日本洗濯機クリーニング協会理事。20年以上にわたりハウスクリーニングの現場に携わり、さまざまな清掃分野に知見を持つ。エアコンクリーニングや水回り清掃を中心に作業従事するかたわら、2015年に国内初となる「洗濯機分解クリーニング」を公式サービスとして提供開始。以降約10年の間、国内洗濯機クリーニング取扱高全国1位。2020年から全日本消毒業協会理事としても活動している。

高山恵
高山恵

東京都出身、千葉県在住。短大の春休みより某編集部のライター見習いになり、気が付いたら2022年にフリーライター歴25年を迎えていた。現在は雑誌『DIME』(小学館)、『LDK』(晋遊舎)などで取材・執筆を行うほか、『kufura』などWEB媒体にも携わる。

執筆ジャンルは、アウトドアや子育てなどさまざま。フードコーディネーターの資格も持つ。

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