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産休前のひきつぎもスムーズに!働く妊婦の不調期を「行動科学」で乗り切る【行動科学コンサルが新婚生活で体当たり!】#4

行動習慣コンサルタントの冨山真由です。私は、業務として法人向けに講演をしたり、研修講師として登壇したりしています。そのため、年間の3分の1は全国出張をしています。

そんなフル稼働の中、仕事を効率化することで、妊娠中も無事に乗り切ることができました。その“行動科学”の手法についてご紹介します。

妊娠して思い通りに動けない!妊娠初期に、つわり対策のためにしたのは業務の「細分化」と「棚卸し」

それまでは、一日中気が赴くままに仕事をする日もありました。調べものをしたり考えごとをしたりと、自由気ままに動いていました。妊娠をしても生活習慣はそんなに変わらないだろうと妊娠当初は思っていましたが、あらゆる体調不良に苦しみはじめ、思い通りに動けないようになりました。そこで「効率化」を強化しようと試みることにしました。

はじめに妊娠初期に取り組んだのは、つわり対策として「ひとつの業務45分間+5分間休憩」のサイクルを作ることです。妊娠前も業務の細分化はしていましたが、気分が乗れば2時間でも3時間でも業務を続けようとしていました。妊娠中は、長い時間作業をしていると気分が悪くなるので業務ごとに時間を決めて休憩を入れました。

あまり無理をしてしまうと母子ともに悪い影響を受けてしまうので、「休憩」をとることがポイントです。そのためには、業務の「細分化」に合わせて「棚卸し」をする必要もでてきます。要するに、自分がやらなくてもいい業務を振り分けてしまうことです。

例えば、今まで60分かかる作業を45分にするためには15分間を削る必要がでてきますよね。このやらなくてもいいことを見極めていくことが大切です。どうしても責任感があると自分が対応しないといけないという感情が生まれます。上手に同僚や後輩にお願いすることが、業務を最大限に効率化するためには必要不可欠です。

棚卸しのコツとしては、自分の業務の作業時間をタイマーで計ることからはじめます。ひとつの作業にどのくらい時間をかけているか知ることが大切です。次に、その作業時間の中で無駄な工程がないかを見つけていきます。例えば、メール送信の文書作成に一通30秒でも削減できたなら一日30分の価値に変わるかもしれません。

この作業を棚卸しのステップとして、はじめの一週間だけ続けてみます。それから自分がやるべき業務と自分がやるべきではない業務に振り分けていきます。

妊娠後期は、産休に入る前の準備として役割分担の「振り分け」を

妊娠後期には、産休に入る準備として役割分担をしていきました。この役割分担は、どの人にどの業務をお願いするべきかを決めていきます。棚卸しをしても、そのまま同僚や後輩に依頼をすると丸投げになってしまうかもしれません。上手に“誰に何を”お願いするのか「振り分け」をしていきます。

例えば、お客様に電話をして訪問をする仕事であれば、電話をかけるのは後輩にお願いする。既存顧客に再度アプローチをする必要があれば、リストを共有して同僚にお願いするなど。この振り分けのポイントは、相手のスキルや役職に合わせて、一連の業務の中に組み入れていくことです。

はじめは、自分都合で同僚や後輩に業務を依頼するのには抵抗がありました。もちろん丸投げは、相手に迷惑がかかるのでおすすめできません。上手に依頼するためには、棚卸しと振り分けをして、仕事をお願いする人の「成長ステップ」や「役割」に繋げることが大切です。

この手法のおかげで、安心して産休に入ることができました。何一つ問題なく、業務を依頼した後輩や同僚も対応をしてくれています。後輩には、新たな業務を担当することができたと感謝をされました。同僚にも、チーム全体の業務を把握することができて良かったと前向きな言葉をもらいました。

3ステップのうち最大のポイントは「細分化」

妊娠当初は、思い通りに仕事が進まずに精神的にもイライラしていました。そこで、妊娠前のように業務をこなすことを辞めようと決意すると同時に最大限の効率化に取り組んでいきました。

ここで行動科学に基づいて考えると効率化を最大限にするために、「細分化」と「棚卸し」と「振り分け」の3ステップで取り組みました。実は一番欠かせないのは細分化です。ここを誤ると棚卸しと振り分けがうまくいかないので要注意です。

 

今回は、「仕事と妊娠の両立」をテーマにお伝えしました。行動科学の手法を使い、さまざまな問題を自分自身が体験しながら改善しています。これから始まる育児にも行動科学の手法が活用できそうなので、さらなる困難もありそうですが、解決に向けて取り組んでいきます。引き続き、働く主婦の“日常の困ったこと”を改善する手法を皆さんにお届けしていきたいと思います。


 

冨山真由

行動習慣コンサルタントの第一人者。人の行動に焦点をあてる手法と技法を提供。大手企業から業種業態を問わず幅広く研修を導入し登壇。著書に『1%の素敵な人だけが実践しているなりたい自分になる方法』『今すぐ!集中力をつくる技術』『効率・時間・スピード すごい習慣力』など。

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