結婚生活につきまとう「家事を巡るいさかい」どう解決する?
実家に住んでいた頃は、母親が料理や片づけをしてくれるという有難い環境で暮らしていました。一人暮らしをはじめると、当たり前ですが何もかも一人でやる必要があります。ただ、自分が食べたい時にごはんを作り、水回りの掃除は毎日するけど玄関の掃除は週一回などと、マイルールを決めればルーティンになるので、楽にこなすこともできました。
結婚する前は「一人暮らしも二人暮らしもそんなに変わらないのでは」と思っていましたが、実際に二人で生活を始めてみると、それぞれのマイルールがぶつかり合うことがあり、気を付けないとストレス要因になることに気が付きました。
そこで、お互いが大切にしていることは、あらかじめメモに書いて視覚化することにしました。例えば、「洗面所の鏡の水はねをふきんで拭くこと」「台所の料理後のシンク汚れは都度きれいにすること」などです。
これらは人によって感覚が異なることなので、新しい行動を相手に習慣化してもらうためにはコツが必要です。決して、「何度言ったら分かるの?」と怒ってしまってはいけません。かえって逆効果です。
人は誰もが3日坊主!お願いごとは「付箋」に書いて貼る
人は、1日の行動の95%を無意識のうちに生活していると言われています。朝起きて顔を洗い歯磨きをし、ごはんを食べるという一連の流れは、習慣による「無意識の行動」になります。
新しい習慣を定着させるには、具体的な行動の指示と動機づけが必要になります。
毎日の声かけが一番効果的ですが、正直その都度伝えるのは面倒ですよね。そんな時は、お願いごとを付箋に書いて貼るだけでも効果があります。
洗面所の水回りでは、鏡の近くに「ふきんで拭いてね」のメッセージを。台所のシンク汚れには、食洗器の近くにメモで「食べ残しは生ごみ入れへ!」というように。
人は意識しても忘れてしまうことがあります。また意識をしながら行動できるのは「72時間が限界」とも言われています。まさに人は誰もが3日坊主ということになります。
ついつい“何度言ったら分かるの”とイライラしてしまうので、自身のストレス緩和と夫婦良好な関係のためにも「具体的なメッセージを添える」ことがおすすめです。
これはお子さんへの教育にも効果があります。お部屋の整理整頓やお勉強の自主学習を促す際にも活用できます。
一方的な指示だと相互の関係が築けないので、お願いごとをクリアしてもらったら一言、“承認の動機づけ”もお忘れなく! 突発的な家事を依頼した時にも、協力してくれるのが当たり前という態度をとるよりは、「○○してくれて助かったよ、ありがとう」と一言添えるだけでお願いされた方も気分が良くなります。
夫の意識が高まり「自ら先回りして家事をする」ように!
我が家では、主に平日は私が家事全般を担当し、週末は交代制にしています。すべて一人で対応しようとすると、どうしても“やらされ感”を抱いてしまいます。
いくつか家事ルールを決めておき、適所にメッセージを貼ることによって、自分が担当の日でも負担が少なくなり、笑顔で毎日を過ごすことができるようになりました。
また夫も家事に協力するという意識が芽生えて、いろいろ自ら先回りして行動してくれるようにもなりました。最近感動したことは、炊飯器のごはんの残りをお皿にうつして冷蔵庫の中に入れておいてくれたこと。もちろんすかさず「ありがとう」と感謝を述べて、“承認”しました。
これまで、「家庭と仕事の両立」をテーマにお伝えしてきました。次回は、さらに「妊娠」というテーマを加え、臨月まで働くために行動科学の手法を用いて効率化したことをご紹介していきます。それではまた!
冨山真由
行動習慣コンサルタントの第一人者。