双子は本当に「神秘的」…でも妊娠中はリスクとの闘い!
厚生労働省の調査(平成22年度『出生に関する統計』)によると、双子を含む多胎児の出生数は年間およそ2万人。
1人で産まれる“単胎”の子供の出生数がここ30年で大きく減少していることを考えると、全体として割合は増えてきています。あなたの周りでも、双子が増えているなと感じることはありませんか?
双子というのは、実際に育てていても、とても神秘的な存在だと感じます。
本当にそっくりな一卵性。誕生日は同じだけど、別々の容姿で兄弟姉妹のような存在ともとれる二卵性。どちらであっても、お腹の中からずっと一緒に過ごしてきたぶん、お互いに心強い特別な存在のようです。
まもなく3歳になる我が家の一卵性の双子は、顔も体格もそっくりだけど、性格がまったく違います。最近では2人で仲良く遊ぶ場面も多くなってきて、すっかり2人の世界ができています。
それはとても微笑ましく、一番の友達と24時間過ごしているような状態は、母親から見ても本当に羨ましいです。
ただ、妊娠中は“楽しい妊婦生活”とはほど遠く、リスクとの闘いでもありました。
筆者は、あわせて4カ月に及ぶ入院生活となり、妊娠中期には、双子同士がお腹の中でお互いの栄養を取り合う、一卵性双生児特有の『双胎間輸血症候群』という病気にもなりました。
そのため、胎盤からつながる血管のうち、双子で共有してしまっている血管をレーザーで焼き切りました。
この病気は、血液を余分にもらっている片方は全身がむくみ、尿量が増えてしまう特徴があるのですが、そのため過剰に増えてしまった羊水を約3,000cc抜き取るという手術も行いました。
今では双子同士でおもちゃの取り合いをしていますが、まさかお腹の中にいる時から栄養の取り合いをするとは……。“取り合い”は、双子の宿命なのかもしれないとふと考えたものです。
医師からは「双子に安定期はなし」と告げられて…
双子妊娠で気をつけたいのは、無理は絶対にしないこと。1人でも大変なのに、さらにもう1人分の命があるわけですから、それは大事に越したことはないのです。
医師からは、「双子には安定期はありません」と、最初の健診で大きなクギをさされてしまいました。
双子妊娠は、とにかく「入院」と言われることが多いようです。周囲の双子ママでも入院を経験している人が多くいます。
この入院が本当に辛かった……。普段はテキパキ動くのが好きな自分にとって、「動かないでください、とにかくじっとしておいてください」と言われるのは、じつは何よりもしんどいことでした。
筆者は切迫流産で1カ月寝たきり、移動は車いすという生活を安定期に入る前に経験しました。あぁ、もう1人の体ではなく、2人でもなく、3人なのね……と猛省しました。
また、人によっては、つわりや貧血がひどかったり、体重が増え過ぎて高血圧や妊娠糖尿病になったりするケースもあります。
周囲の双子ママに聞いても、妊娠中は「とにかく家では家事もせず、ただ動かずに過ごしていた」「仕事ではなるべく座り仕事にしてもらった」などと、周りからのサポートが必要になるケースが多かったようです。
安静を最優先にして、旦那さまや実家、親戚などから協力を得たいところです。
出産後はしばらくお預けになるであろう“夫婦でゆっくりデート”も、妊娠中にしたくなるかもしれませんが、とにかく体調最優先です。
一足先に産休に! お腹はもうはちきれそう…
単胎妊娠の場合は、産休は出産予定の6週間前となっていますが、双子の場合は、14週間前からです。
14週前と言えばちょうど妊娠7カ月にあたりますが、この頃の双子が入っているお腹はまさに単胎の臨月並みに膨れ上がり、身動きが取れない状態に近くなります。
何をしてもしんどい、息が切れる……という状態で、この頃には何もなくても管理入院を勧める病院も多く、切迫早産などで点滴生活になる妊婦さんも出てきます。
病室によっては双子妊娠同士で同じ病室になることも多く、そこは密かに「双子山部屋」なんて呼ばれていました。でも、双子ママのいい情報交換場所になりますよ!
でも、こんなに大変だった妊婦生活も、産まれてくるとそれが吹き飛んでしまうくらいの幸せを、一気にふたつも運んできてくれました。それはとても神秘的な出来事のはじまりでもありました。
※次回は、「双子出産と出産後」についてお届けします。