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【親子で楽しむ!】全国「動物園&水族館」プロのオススメ6選!大水槽前でお寿司が食べられる水族館も

親子での定番のお出かけ先といえば、動物園や水族館。なかでも、特別な体験ができるスポットがあるのをご存じですか? これまでに国内外1,000以上の施設を訪れたという動物園・水族館コンサルタントの田井基文さんに、【親子で行くのにイチオシな動物園・水族館】を各3施設ずつ教えてもらいました。

子どもと行きたい「動物園」3選

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「まず前提として、どんな動物園・水族館にもそれぞれの魅力が必ずあります。とりあえず近くにある施設に行ってみて、気の向くままに見てまわるのも十分楽しいのですが、今回は、そのなかでも特に親子向けにおすすめしたいものを厳選してご紹介します」(以下「」内、田井さん)

1:長崎バイオパーク(長崎県西海市)

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園内をのびのび歩きまわるミーアキャット。 提供/長崎バイオパーク

「動物園では、檻の中に入った動物を順番に見て回るもの……。そんなイメージを180度変えるような、動物との距離がとても近い園が『長崎バイオパーク』です。

園内のあちこちにクロキツネザル、ミーアキャットといった動物が普通に歩いているので、入り口を入ってすぐからまったく油断ができません。まるでジャングルの中を探検しているかのようで、歩いているとふっとキリンが首を伸ばしてきて驚きます」

カピバラたちも、広い空間でのびのびと過ごしています。 提供/長崎バイオパーク

「上を見上げるとナマケモノが高い所を移動していたりなど、意外と気づかないことも多いので、見逃さないよう、五感を研ぎ澄ませながら歩いてみてください。

今では珍しくなくなった“カピバラと触れあえる飼育展示”を実現したパイオニアでもあり、カピバラやリスザルといった動物たちと、広い飼育エリアのなかで一緒に過ごすことができます」

カバのえさやりは大迫力! 提供/長崎バイオパーク

「そして、『長崎バイオパーク』はカバの聖地でもあります。

親カバの育児がうまくいかず、人工保育で育った“泳げなかったカバ”のモモちゃんは、今でも当時の飼育担当者(現・園長)に『モモ』と呼ばれると、顔を出してしっぽをぱたぱた振るんです。動物と人間の、深い絆を感じますよ」

【長崎バイオパーク】

●ココが特別!:テーマは“自然と人、動物の共生”。エリア内で放し飼いになっている動物が多く、いつどこで何が出てきてもおかしくない!というドキドキ感を楽しめる

●ぜひ見てほしいのは:カバ、カピバラ、ミーアキャット

2:埼玉県こども動物自然公園(埼玉県東松山市)

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木の上で眠るコアラ。 提供/埼玉県こども動物自然公園

「こちらも同様に、“動物たちのところに人間がちょっとお邪魔させてもらう”というコンセプトの動物園。広大な敷地に、その動物が本来暮らしているのに近い草原、森林、岩場といった環境が整備されていて、自然のままの姿を間近で観察できます」

表情や仕草が可愛いクオッカ。 提供/埼玉県こども動物自然公園

「オーストラリアの野生の個体と同様、草原や水辺で思い思いに過ごすカンガルーたち。この園では来園者もカンガルーと同じ空間に入って過ごせるので、柵の外から眺めるのとは違う特別な体験ができます。

幸せそうな表情で話題になったクオッカ(クオッカワラビー)も、日本で唯一、この園だけが飼育していますよ」

シカとカモシカの谷。斜面に暮らすシカやカモシカを、ウッドデッキから眺めます。 提供/埼玉県こども動物自然公園

「シカとカモシカの見せ方も特徴的で、山の斜面を活かした空間にそれぞれが別々に飼育されており、それを見下ろす形でウッドデッキが設置されています。

この2種、名前や姿は似ていますが、カモシカはウシの仲間なので下草を、シカは枝や葉っぱを食べるんです。周囲にある植物の状態を見比べるだけで、お子さんでも直感的にそれぞれの生態の違いを感じられると思います。

コアラやキリンも、広いのびのびした環境でゆったり暮らす、ありのままの姿と出会えます」

【埼玉県こども動物自然公園

●ココが特別!:東京ドーム10個分の広い敷地は、まさに自然公園。野生のままの暮らしぶりを間近で見て、感じとるものがきっとあるはず

●ぜひ見てほしいのは:クオッカ、シカ、カモシカ

3:旭川市旭山動物園(北海道旭川市)

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筒状の水槽をアザラシがのびのび泳ぎます。 提供/旭川市旭山動物園 (C) Asahikawa City

「面白い、かっこいい、だけでは終わらせない! 言わずと知れた名動物園です。

ホッキョクグマがえさをとるために水中に潜る姿が見られたり、縦に設置されたトンネルをアザラシが泳ぐのを観察できたりといった、その動物が本来持っている本能や身体能力を引き出すような展示を実現。活き活きと過ごす動物たちの魅力的な姿が、園全体の魅力になっています」

ペンギンの散歩の様子。 提供/旭川市旭山動物園 (C) Asahikawa City

「雪道をペンギンが散歩する姿が見られるのも有名ですが、これもいわゆる“パフォーマンス”のためではなく、ペンギンたちの運動不足解消が目的です。この運動量が、健康を維持し、その後の繁殖活動や子育てにもつながっていく……というように、動物のことを真剣に考えているからこその取り組みなんですね」

ジェフロイクモザルとカピバラの混合展示をしている“くもざる・かぴばら館”。 提供/旭川市旭山動物園 (C) Asahikawa City

「また、ゴマフアザラシとオオセグロカモメ、ジェフロイクモザルとカピバラ、ニホンザルとニホンイノシシといった、異種の動物が同じ空間で暮らす“共生展示”にも挑戦。

これにも、飼育下では時間の流れが単調になりがちなので、異種動物の同居によってプラスの刺激を生みたいという意図があります。

一時は入場者数が落ち込み閉園したにもかかわらず、“夢のある動物園をイチから作り直したい”という当時の園長・副園長の想いのもと、軌跡の復活劇をとげ、日本中の注目を浴びた『旭川市旭山動物園』。必ず担当者が手書きするというインフォメーションパネルも毎年更新されていて、並々ならぬ熱量を感じますよ」

【旭川市旭山動物園】

●ココが特別!:“伝えるのは、命”。工夫を凝らした展示にわくわくしながら、生態や暮らしぶりに触れ、考えるきっかけをくれる、唯一無二の存在感

●ぜひ見てほしいのは:ホッキョクグマ、アザラシ

子どもと行きたい「水族館」3選

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「水族館にも、魅力的な取り組みをしている施設が多数。ただ眺めて楽しむだけでなく、未知の体験や、新鮮な発見ができるような工夫がされていて、それがさらなる興味に繋がります」

1:アクアマリンふくしま(福島県いわき市)

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サンゴ礁の海を再現した水槽。 提供/アクアマリンふくしま

「『アクアマリンふくしま』は、体験しながら知識を深めることをテーマにした水族館。世界最大級のタッチプール『蛇の目ビーチ』や、釣った魚をその場で唐揚げにして食べるという“命の教育”ができる釣り堀、企画展にガイドツアーなど、さまざまな取り組みを行っています」

こちらが「潮目の大水槽」。向かって左が親潮水槽、右が黒潮水槽で、潮目が交わる海の豊かな生態系を実感できます。 提供/アクアマリンふくしま

「なかでも珍しいのが、大水槽前にあるお寿司屋さん。水族館の魚を見ているお客さんの感想で、実は一番多いのが“美味しそう”という声……とはいえ実際に、水槽を眺めながらお寿司を食べられる水族館はそうそうありません!」

お寿司屋さんの目の前の黒潮水槽を泳ぐキハダマグロ。 提供/アクアマリンふくしま
水槽を眺めながら、お寿司をパクッ! 提供/アクアマリンふくしま

「でも、ただ食べるだけと思ったら大間違いです。それぞれの魚が以前と比べてどれくらい減っているのかという学術的なデータをもとに“赤信号”、“黄色信号”、“青信号”に分類。それを知った上で食べ、泳ぐ姿を眺めるなかで、水産資源としての魚についてあらためて考えてほしいというメッセージが込められたお寿司屋さんなんです」

サンマの継続的な飼育・繁殖にも成功している。 提供/アクアマリンふくしま

「来館した人たちを楽しませてくれる“展示動物”でもありつつ、普段からいただいている命でもある……そんなことを感じられる貴重な施設。

さらに、デリケートで飼育の難しいサンマも、世界で唯一『アクアマリンふくしま』だけが繁殖に成功しています」

アフリカ・シーラカンスの標本も。 提供/アクアマリンふくしま

「“生きた化石”と呼ばれる絶滅危惧種・シーラカンスの研究にも力を入れていて、インドネシアで2009年、世界で初めて生きたシーラカンスの幼魚を撮影することに成功。

単なるお出かけスポットではなく、教育面、学術面でも多大な貢献をしている、日本を代表する水族館です」

【アクアマリンふくしま

●ココが特別!:“しゃけが切り身で泳いでいる”と思っているような、魚に馴染みの少ないお子さんにこそ体験してほしい、食育を軸にした取り組みが満載の水族館

●ぜひ見てほしいのは:サンマ、大水槽前のお寿司屋さん

2:鳥羽水族館(三重県鳥羽市)

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ラッコのキラ(左)とメイ(右)。 提供/鳥羽水族館

「日本ではもうなかなか見られない、貴重な生き物と出会えるのが『鳥羽水族館』。飼育種類数が日本一の水族館で、なんと約1200種類・30000点もの生き物を飼育しています。見ていて単純に楽しいのはもちろん、学術的な目線からも練られた展示が特徴です」

魚と一緒に泳ぐジュゴン。 提供/鳥羽水族館
こちらはアフリカマナティー。ジュゴンと顔つきが違うのがわかりますか? 提供/鳥羽水族館

「代表的な例が、ジュゴンやアフリカマナティー。ジュゴンもアフリカマナティーも、日本では『鳥羽水族館』でしか飼育しておらず、ワシントン条約等で輸出入も規制されているため、いつか見られなくなってしまうと言われているんです。同じ仲間であるジュゴンやマナティーのように、近い姿の生き物を比較しながら展示することで、自然とそれぞれの違いを感じられる構成になっています。

今後国内の水族館では見られなくなるであろうラッコも、最後の3頭のうち2頭が鳥羽水族館にいます。お腹に貝や魚をのせて食べる姿が見られるお食事タイムは大変人気です」

白黒の模様をもつイロワケイルカ。 提供/鳥羽水族館

「同様にもう日本では2つの水族館でしか見られない、白と黒のツートンカラーが可愛いイロワケイルカは、なんと20例以上の出産を実現。

他にもロシアのバイカル湖周辺に生息するバイカルアザラシの繁殖に成功するなど、飼育下での種の保存に積極的に取り組んでいます」

【鳥羽水族館

●ココが特別!:ここでしか出会えない生き物がたくさん。日本一の飼育種類数で、生物の多様性に触れられる

●ぜひ見てほしいのは:ラッコ、ジュゴン、アフリカマナティー、イロワケイルカ

3:しものせき水族館 海響館(山口県下関市)

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世界に数体しかないという、シロナガスクジラの全身骨格標本。日本で見られるのは『海響館』だけなんだそう。 提供/しものせき水族館 海響館

「最後にご紹介する『海響館』は、山口県・下関の水族館。下関といえばフグが有名ですが、なんと海響館では常時100種類前後のフグを飼育・展示しているんです。これだけ多くの種を見られるのは世界でもここだけ!」

金色の体が美しいコンゴウフグ。 提供/しものせき水族館 海響館

「地味なものやカラフルなものなど、姿形もさまざまで、のんびりした泳ぎ方が愛らしいマンボウもフグ目の仲間。地域の特色にしっかりと軸足を置くことで、『海響館』ならではの魅力を生み出しています。

また、ペンギンも5種類を飼育しているのですが、展示は“亜南極のペンギン”と“温帯のペンギン”で分かれています。ペンギンというと、一面真っ白の氷の世界にいるイメージがありますが、実は赤道直下にいる種類もあるほど、成育環境はさまざまなんです」

フンボルトペンギンの飼育エリアには、雪や氷はありません。 提供/しものせき水族館 海響館

「『海響館』では、フンボルトペンギンが住む南米沿岸地域の温帯に近い環境をつくるため、南米チリの野生生息地を何度も視察。

“ペンギンは氷の上にいるもの”という先入観をくつがえす、自然のままの姿を見せる飼育展示に力を注いでおり、チリ政府からも正式に国外の“フンボルトペンギン特別保護区”として認定されているほどです。

2024年9月から休館し、2025年春にはリニューアルオープンを予定しているので、さらなるパワーアップが楽しみです」

【しものせき水族館 海響館

●ココが特別!:世界一の展示種数を誇るフグをはじめ、地域に根ざした個性溢れる展示が魅力。すぐ隣の唐戸市場には、美味しい魚が食べられるスポットも

●ぜひ見てほしいのは:フグ、ペンギン、シロナガスクジラの全身骨格標本

いかがだったでしょうか。

次回は「個性的で楽しい動物園&水族館6選」をうかがいます。どうぞお楽しみに!

 

写真提供/田井基文(タイトル下画像:『しものせき水族館 海響館』にて撮影)、各動物園・水族館


【教えてくれた人】

田井 基文(たい もとふみ)

動物園・水族館コンサルタント、動物園写真家。

動物園・水族館専門のフリーマガジン『どうぶつのくに』の専任写真家・編集長・発行人を経て、2012年から動物園・水族館コンサルタントとして活動。ビジネスパートナーであるベルリン動物園・水族館の前統括園長ユルゲン・ランゲ博士と共同で、ドイツの「ハノーヴァー動物園」、イタリアの「ナポリ水族館」など、世界中で動物園・水族館の新設やリニューアルに携わっている。国内では、「アクアマリンふくしま」「加茂水族館」「のいち動物公園」などでアドバイザーを歴任。

『世界をめぐる動物園・水族館コンサルタントの想定外な日々』田井基文・著(税込み1,870円/産業編集センター)

日本で唯一の動物園・水族館コンサルタントが、その知られざる日常、世界中で出会った生き物、命を支える人たちについて綴ったお仕事エッセイ。

「見てみたい」「なぜだろう」「面白そうだ」という知的好奇心は、人間が生きるうえで欠かせないものです。(中略)ますます多様になる世界中の価値観に対し、共に考え、共に学び続ける、そういった機会を何よりもナチュラルに提供できるのは動物園・水族館にほかならないのです。
(以上、本文より引用)

生き物が好きな人、動物園・水族館の裏側を知りたい人、もっとディープに楽しみたい人にぜひ読んでほしい1冊です。

編集部・関口
編集部・関口

音楽&絵本&甘いものが大好きな、一児の父。文具や猫もとても好き。子育てをするなかで、新しいコトやモノに出会えるのが最近の楽しみ。少女まんがや幼児雑誌の編集を経て、2022年秋から『kufura』に。3歳の息子は、シルバニアファミリーとプラレールを溺愛中。

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