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夏はじっくり映画鑑賞もできる「国立映画アーカイブ」でアート時間を【ふらりと大人美術館】vol.10

この4月、国内6番目の国立美術館が東京・京橋にオープンしました! その名は『国立映画アーカイブ』です。

今回は、上映だけでなく映画に関する資料の展示も鑑賞できる、一日中いられる『国立映画アーカイブ』をご紹介します。最後には、若手作家から巨匠、アニメーションと幅広くレアな映像を楽しめる施設もご紹介しましょう。

50年以上の活動を経て改組!

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『国立映画アーカイブ』は、いきなり誕生した組織というわけではありません。実は、50年以上もの歴史をすでに持っているのです。

さかのぼること1952年、日本で最初の国立美術館として『国立近代美術館』(1967年より『東京国立近代美術館』)が京橋に開館しました。建物は旧日活本社ビルを建築家の前川國男氏の設計により改装したもの。美術館開館と合わせて映画事業(フィルム・ライブラリー)もスタートしました。元々映画会社の建物だったため、当初から試写室も完備されていたそう。

事業の拡大に伴い手狭になった『東京国立近代美術館』は、1970年に竹橋に移転が決定。その際に、映画事業のみ京橋に残り『東京国立近代美術館フィルムセンター』として開館することとなりました。

1986年には映画フィルムを恒久的に保存するための専用施設として、『東京国立近代美術館フィルムセンター相模原分館』が神奈川県相模原市に設置されました。

映画フィルムは、温度や湿度などのコンディションに大きく影響を受けがち。3棟の映画保存棟からなる分館では、24時間空調システムによる管理のもと、適切な温湿度環境で映画フィルムや映画関連資料を保管しています。

そして2018年4月に『東京国立近代美術館』から独立、国内最大のフィルムアーカイブであり、国内唯一の国立映画機関『国立映画アーカイブ』として開館することになりました。

現在では、80,000本を超える映画フィルムや、それぞれ40,000冊を超える映画関連資料、シナリオなどを所蔵しています。なかには、1899年に制作された現存する最古の日本映画『紅葉狩(もみじがり)』をはじめ、国の重要文化財に指定されたネガフィルムが3点、ポジフィルムが1点。

7階にある常設展では日本映画の歴史を、当時の資料や写真、映像、そして機材などをたっぷりつかって解説していきます。

無声映画からトーキー、白黒映画からカラー映画へと、約120年にわたって技術や表現手法などあらゆることが進化してきた映画。モニターで上映されている作品も多く、ひとつずつじっくり見ているとかなり時間がかかります。当時のポスターや、名作の台本なども見どころがありますよ! なかには国立映画アーカイブが復元した作品もあります。つまりここでしか見られないということ。

2Fの「長瀬記念ホール OZU」やB1Fの「小ホール」では、1日に2〜3回、監督別や国別、ジャンル別など様々なテーマによる特集上映が行われています。

明治時代の記録映画や、日本ではなかなか上映する機会のない国の映画などそのセレクションはバラエティ豊か。作品によって異なりますが、一般料金は520円とリーズナブル!

 

銀座から徒歩5分程度の距離にある『国立映画アーカイブ』。毎月最終金曜日のプレミアムフライデーは20時まで開館しているので、映画好きの方はぜひ会社帰りにふらりと寄ってみてはいかがでしょうか?

【施設情報】

国立映画アーカイブ

東京都中央区京橋3-7-6

開館時間:
展示室/11:00~18:30(毎月末金曜は20:00まで)
図書室/12:30〜18:30
※ 展示室と図書室の入室は閉館30分前まで
「長瀬記念ホール OZU」「小ホール」/上映開始時刻によって異なる

休館日:月曜、上映準備・展示替え期間、年末年始(図書室は日曜も休室)

最寄り駅:東京メトロ「京橋駅」出口1または2、「宝町駅」A4出口徒歩1分/東京メトロ「銀座一丁目駅」出口7徒歩5分/JR「東京駅」八重洲南口徒歩10分

若手も巨匠もアニメも…映像を楽しめる施設3つ

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『国立映画アーカイブ』のように、過去の名画や知る人ぞ知る映像作品を収集、展示する美術館も増えてきています。上手に活用すれば、一日中美術館で過ごせそう。気になる施設があったら、スケジュールをチェックしてみてくださいね。

東京都写真美術館

写真だけでなく映像も積極的に収集している『東京都写真美術館』は、1階のホールで若手新進監督の映画作品や過去の名画を織り交ぜて上映しています。「恵比寿駅」から直結しているので、雨に濡れずに行けるのもうれしい!

三鷹の森ジブリ美術館

スタジオジブリの世界にどっぷりと浸かれる『三鷹の森ジブリ美術館』内にある映像展示室「土星座」では、ここでしか見ることがでないジブリのオリジナルアニメーションや、世界各国の良質なアニメーション作品が公開されています。上映されるオリジナル作品を観るためだけに美術館に通う方もいるほど。

放送ライブラリー

横浜のみなとみらい地区にある『放送ライブラリー』は、日本唯一の放送番組専門のアーカイブ施設。放送についてわかりやすく説明された展示コーナーに加えて、ドキュメンタリー番組や教育番組、懐かしのバラエティ番組など様々なジャンルの番組を公開、視聴することができます。入場無料なのもうれしいところ。

※ 写真は全て『国立映画アーカイブ』提供
※ 画像の転載は一切禁止させていただきます

(※ 情報は2018年8月現在のものです)

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