「私のキャンピングカー旅は、とにかく楽しむためだけ! だから、料理だってスーパーやカフェのテイクアウトで完了。これなら面倒な片付けも最小限で済んじゃいます」(以下「」内、国井律子さん)
それはキャンピングカーのなかにも反映されます。テーブルを片付けてベッドを出して、という構造だと手間がかかるので、車内は寝たい時にすぐ寝られたり、配置換えの必要がない仕様の車種を選んだそう。
家のリビング同様、過ごしやすさの決め手は収納にあり
null「私、どこに行っても、探すのがキライなんです。アレどこ?コレどこ?ってホント無駄な時間ですよね。面倒くさがりだから効率を図りたい。だから、常にモノの住所を決めて整理整頓。そんな収納好きが高じて、去年“整理収納アドバイザー”の準1級資格まで取っちゃいました(笑)」
キャンピングカーは車としては大きいけれど、部屋として考えるとじつは狭く、家族4人とボストンテリアの豊が揃うと、結構な密状態。
「車だから大丈夫だと思って、あれもこれも持っていくと、あっという間に散らかり放題。だから、我が家ではいろいろルールを決めているんですよ」
まずはラベリング。とくに小間物は、ボックスなどに用途によって仕分けして収納し、ラベルをつけて探しやすく工夫。これだと家族全員がモノの居場所を把握できます。
「モノを重ねてしまうと下のモノが見えなくなるので要注意。すぐ使うようなものは、吊るして収納しておくと、どこにあるかわかりやすくていいですよ」
キッチン脇の壁にはパンチングボードを取り付け、洗面道具などを吊るして収納。見える収納にすることで、子どもたちも食後には、ここから勝手に取って歯磨きしてくれます。子どもの帽子やジャケットも手に取りやすい場所に掛けてあります。入り口に近い壁面にはワイヤーネットを取り付け、頻繁に使うティッシュやエアコンのリモコン、愛犬の食器類などはしまい込まず、あえて出しっぱなしに。
「あとは……車に持ち込むおもちゃは5個まで、って決めてる!」
国井家では、毎朝6時から朝食までの朝学習が子どものたちの任務。
「習慣化しちゃえばこっちのもの。朝ごはん前までに1日の勉強が終われば、あとはお前たちの自由だ! って(笑)」
ちらりと垣間見えた国井さんの教育方針。これだと夜は家族でたっぷり遊べます。ちょっと真似してみるのもいいかもしれません。
キャンピングカーの必需品はなんでしょう?
null「家電で取り付けてあるのは、電子レンジとエアコン、冷蔵庫。レンジはとにかく、子どもが小さいころ、ミルクを作るのに重宝しましたよ。冷蔵庫は小型なので、ソフトクーラーも積んでいます。現地で買い物するときや、冷蔵庫に入りきらなかったモノの保管場所に活躍します」
防水マルチルームはトイレ仕様にしていますが、あくまでここは子どもたちの緊急用(後始末が大変なので)。ギリギリまでトイレに行きたい、と言い出さない子どもならでは、つけておいて助かったことも多々あったとか。
「あ、タブレットも必需品。子どもがぐずったら、『パウ・パトロール』見せてます(笑)。あとは、冬は底冷えするからスリッパは常備しておいた方がいいかな」
気になるキャンピングカー旅のお財布事情を教えてもらいました
null実際、キャンピングカー旅にはいくらぐらいかかるのでしょうか。宿泊費は不要としても、車のガソリン代や高速代など、意外にかかりそうですが。
「春に、伊勢〜熊野古道を4泊5日で4人で旅したときは、トータル10万,950円でした。内訳はこんな感じ!」
1日目
- 伊勢のYさんへのお土産→近所の銘菓 2,376円
- 近所のスーパーで夜食用惣菜 800円
- セブンで夫の移動食と明朝家族全員朝ごはん 1,855円
▲小計5,031円
2日目
- 浜松SAミニストップで水 120円
- 浜松SAミニストップでコーヒー×2 440円
- 東京IC→伊勢西IC 7,460円
- 伊勢の「ぎゅーとら」で今夜の夕飯と明日の朝ごはん 4,069円
- 伊勢の出光で給油 9,120円
- 伊勢のセブンでコーヒーとおやつ 430円
- 伊勢西IC→熊野大泊IC 1,130円
- 那智勝浦「ゆりの山温泉」(現金) 1,000円
- 那智勝浦のローソンで氷とビール 325円
▲小計2万4,094円
3日目
- 那智勝浦「十割そば森本屋」でランチ(現金) 4,200円
- 無人マグロスタンドでマグロ刺身2種類(現金)1,000円
- 那智勝浦ローソンでコーヒー×2 290円
- オークワ新宮駅前店で夕飯、酒も 4,440円
- オークワ新宮駅前店で食材買い足し 782円
- 新宮市「総本家めはりや」めはり鮨テイクアウト 680円
- 熊野古道「湯の峰温泉」(現金) 1,200円
▲小計1万2,592円
4日目
- 熊野本宮大社前のヤマザキでパンとか行動食(現金) 1,034円
- コーナン本宮店で水とお茶 369円
- 楽ペイで「熊野龍神バス」乗車賃 1,180円
- エネオス本宮店で給油 4,830円
- 熊野大泊IC→勢和多気IC 1,090円
- VISON(※)で車内で食べる用のテイクアウト夕飯→牡蠣、パエリア、フィッシュ&チップス 5,050円
- VISONで「車中泊代」3,000円と「風呂」2,400円 計5,400円
- VISONで3軒ハシゴ酒 7,800円
▲小計2万6,753円
5日目
- VISONで朝食 6,000円
- VISON「伊勢醤油本舗」で大分の友だちにプレゼント 2,250円
- 岡崎SA土産物屋コーナーで味仙台湾ラーメン、山本屋味噌煮込みうどん、きしめん 2,836円
- 岡崎SAエネオスで給油 5,690円
- 岡崎SAセブンで移動中昼ごはん 2,188円
- 勢和多気IC→東京IC 7,200円
- エネオス馬事公苑にて給油 6,316円
▲小計3万2,480円
ほとんどが食費と、必ず立ち寄るのが楽しみな温泉代。給油と高速代を足しても、公共交通機関で行くより断然お得。キャンピングカーは最初の設備投資こそ高いですが、旅としては行けば行くだけ元が取れちゃうんですね。
「地元のスーパーや道の駅で買い物するのも楽しみのひとつですよ。美味しくて安い野菜が手に入るし、その土地ならではの食材が見られる。インスタで、どこどこのイケてるスーパー教えて〜って聞くと、みんな何かと教えてくれますから」
このときは春先でレンジと冷蔵庫ぐらいしか使わなかったので、サブバッテリーの充電も1回で済んだとか。冬場は暖房もあるので、バッテリーの減りをヒヤヒヤしながらチェックしているそう。
「そうしてでも、キャンピングカー旅には行く価値があるんです。朝、目覚めたら目の前に妙高の雪山や、外房の部原海岸の水平線が広がっているんですよ。サイコーでしょ。そういうところで目覚めたいからこそ、キャンピングカーが必要なんです」
(※)三重県の商業リゾート施設。詳しくはアウトドアメディア『BE-PAL.NET』に掲載された「車中泊OK!三重県多気町の商業リゾート施設「VISON」に19時間滞在し堪能しまくってみた」をチェック。
季節に応じたアウトドア体験を楽しみつつ、観光も満喫。道中、家族との会話も増え、非日常の空間が、家族団欒の時間を濃厚なものにしてくれます。急に空いた休日に家族揃って気軽に旅へ! 計画不要のキャンピングカー旅。ぜひ、お試しあれ!!
取材・文/大石裕美 撮影/五十嵐美弥(小学館)
旅のエッセイスト・国井律子さん
1975年東京生まれ。大学卒業後ラジオレポーターなどを経て二輪雑誌でエッセイスト・デビュー。現在は、オートバイのほか、旅、クルマ、自転車、サーフィン、スノーボード、アウトドアなど多趣味をいかしたエッセイを執筆中。旅好きと同時におうちも大好き。家での一番の趣味は収納。いかにラクするかを考えること、「時短」という言葉も大好き。嫌いな言葉は「二度手間」。インテリア、ネットショッピング、お取り寄せグルメ・酒、手抜きおつまみ作りに熱心。飼い犬はボストンテリア。ふたりの男児の母でもある。