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【1月19日まで】観て読んで1日遊べる!国際子ども図書館「絵本に見るアートの100年」展へ【子どもと楽しむ美術展#10】

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お子さんと一緒に芸術鑑賞ができる施設は美術館だけではありません。図書館でも、素敵な展示をおこなっている施設があるのです。東京 上野にある国立国会図書館国際子ども図書館もそのひとつ。今回は、国際子ども図書館で開催されている「絵本に見るアートの100 年 ― ダダからニュー・ペインティングまで」展をご紹介します。建物も見どころですよ!
(上記写真:国立国会図書館国際子ども図書館 展示棟内/国立国会図書館ウェブサイトから転載)

日本初の国立児童書専門館「国際子ども図書館」

国立国会図書館国際子ども図書館 外観/国立国会図書館ウェブサイトから転載

上野恩賜公園からほど近い場所にある国立国会図書館国際子ども図書館は、2000年に日本初の児童書専門の国立図書館として設立されました。

「子どもの本は世界をつなぎ、未来を拓く!」という理念の実現を目指し、子どもの本に関わる活動や調査研究を支援しています。

そんな国際子ども図書館の魅力は蔵書だけではありません。今回ご紹介する「絵本に見るアートの100 年 ― ダダからニュー・ペインティングまで」のように、趣向を凝らした子どもの本に関する展覧会を開催しています。

趣きある調度が素晴らしいクラシックな建物

夜の図書館もまた素敵/国立国会図書館ウェブサイトから転載

また、建物もとても素敵。

1906年に建設された旧帝国図書館の庁舎をリノベーションした建築内にあり、レンガ棟は明治期を代表するルネッサンス様式の洋風建築。クラシカルな建物だけを見学に訪れる人もいるほどです。

毎週金曜・土曜の夜間(日没から21時まで)はライトアップも行っており、ロマンティックな雰囲気に!

棟内にも、1階から3階までが大きな吹抜けになっている大階段など、雰囲気のある見所が随所にあります。

天井のシャンデリアも美しい大階段/国立国会図書館ウェブサイトから転載
創建時から100年以上使い続けられているケヤキ扉には、「おす登あく(押すと開く)」と刻まれていて情緒豊か。/国立国会図書館ウェブサイトから転載

工夫を凝らした、快適で楽しい館内施設も魅力

館内の「子どものへや」は、靴を脱いで本を読めるスペースとして親子連れにも人気。約40万点の蔵書の中から主に小学生以下の子ども向けの絵本や読み物など約1万冊の本が配架されています。

部屋の中央には大型の円形卓を設置。“光天井”という照明をとり入れ、部屋のどの位置にいても影ができないように工夫が施されています。

「子どものへや」天井の光に注目! 特別な“光天井”で、どこで本を読んでも影ができません。/国立国会図書館ウェブサイトから転載

「世界を知るへや」/国立国会図書館ウェブサイトから転載

「世界を知るへや」は、帝国図書館時代に貴賓室として使用されていた部屋。

国際理解を深めることを目的として、世界各国の地理、歴史、文化などに関する本が約2,000冊置かれています。

「世界を知るへや」の床板は豪華な寄木造り。さすが元貴賓室!/国立国会図書館ウェブサイトから転載
映画の舞台になりそうな重厚な空間「児童書ギャラリー」/国立国会図書館ウェブサイトから転載

「児童書ギャラリー」は、明治から現代までの児童書(児童文学と絵本)の流れを追うことのできる常設展示室。

通常、美術館やギャラリーに展示してある本は、ガラスケースに入っていて手に取ることができないことも多いもの。ですが、この「児童書ギャラリー」では手に取ってページをめくることができます。貴重な本をじっくり読めるのがたまらない!

懐かしくて新しい!「絵本に見る美術の歴史」

そしてレンガ棟の3階にあるのが、かつては普通閲覧室として使用されていた「本のミュージアム」。「絵本に見るアートの 100 年―ダダからニュー・ペインティングまで」は、天井や壁に漆喰装飾が施されたこの部屋で開催されています。

「本のミュージアム」/国立国会図書館ウェブサイトから転載

子どもも大人も魅了する絵本の世界。このところ、絵本を美術作品のひとつとして研究する動きが見られるようになってきました。

今回の「絵本に見るアートの 100 年―ダダからニュー・ペインティングまで」は、主に20世紀美術の観点から、国内外の絵本を見るという試み。20世紀初頭に起こったダダやシュルレアリスムから、第二次世界大戦を経て現代に至るまでの芸術運動の流れを、絵本だけでたどっていきます。

『6 つの構成による 2 つの正方形についてのシュプレマティスムのお話』エル・リシツキー 絵、Skify 1922

1910年代から1930年代初めにかけてロシア(旧ソヴィエト連邦)で起こった前衛的な文学・芸術運動を「ロシア・アヴァンギャルド」と呼びます。

この時期、絵本の分野でも鮮やかな色彩や、大胆に抽象化された絵を用いたものがたくさん刊行されました。

『海と灯台の本』V.マヤコフスキー 文、B.ボクロフスキー 絵、新教出版社

『ダーシェンカ : あるいは子犬の生活』カレル・チャペック 文・絵・写真 カレル・タイゲ 装幀 保川亜矢子 訳、メディアファクトリー(KADOKAWA)1998

ロシア・アヴァンギャルドの影響は、1918年に誕生したチェコスロヴァキア共和国にも波及。チェコの国民的作家と言われるカレル・チャペックと、その兄であり画家であるヨゼフ・チャペックの兄弟は、さまざまな絵本を作り出しました。

ちなみに、カレル・チャペックは「ロボット」という概念と言葉を作り出した人。

ヨーロッパ の芸術運動が伝わった日本でも、様々な絵本が作られていきます。

1920年代にベルリンに留学し、ダダやロシア構成主義など当時の最先端の芸術に触れた村山知義は、帰国後に新興芸術グループ「マヴォ」を結成。絵本も積極的に制作しました。

『あひるさんとにわとりさん』村山籌子 作 村山知義 絵、ニューフレンド 1948
『米』鈴木文助 編 夏川八郎(柳瀬正夢)画、東京社 1937

第二次世界大戦以降、美術の表現はさらに多様化。「子どもの本もデザインすべきだ」という考えから、グラフィック・デザイナーたちが絵本制作に携わるようになっていきます。

読み手の想像力を引き出す仕掛けが多用された絵本の数々は、今見ても斬新!

『あおくんときいろちゃん』レオ・レオーニ 作 藤田圭雄 訳、至光社 1981
『ムナーリの機械』ブルーノ・ムナーリ 著 中山エツコ 訳、河出書房新社 2009

そして、アンディ・ウォーホルをはじめ世界的なアーティストたちも絵本を制作するようになりました。

『アンディ・ウォーホルのヘビのおはなし』アンディ・ウォーホル 著 野中邦子 訳、河出書房新社 2017

現在、人気の高い日本人現代美術作家のひとり、大竹伸朗も『ジャリおじさん』という絵本を制作しています。これが、大人が読んでもとてもおもしろい!

『ジャリおじさん』おおたけしんろう えとぶん、福音館書店 1994

1920年代から2020年までの“美術の100年間”を絵本で一気にたどる、という主旨の「絵本に見るアートの100 年 ― ダダからニュー・ペインティングまで」。

鑑賞していると、どの絵本も「新しさ」を感じさせるものが多いことに驚かされます。いつ読んでも、懐かしさも新しさも感じさせるもの、それが「名作」の条件なのかもしれません。

 

子ども向けに造られた図書館なので、もちろん館内には子ども連れの方たちがたくさん。カフェテリアもありますよ。遠出はしたくないけれどお子さんをどこかに連れて行ってあげたい、という日にピッタリではないでしょうか。「絵本に見るアートの100 年 ― ダダからニュー・ペインティングまで」は1月19日(日)まで。気になった方はぜひ出かけてみてください!

【展覧会情報】

絵本に見るアートの100 年 ― ダダからニュー・ペインティングまで

会場:国立国会図書館国際子ども図書館 レンガ棟3階 本のミュージアム

東京都台東区上野公園 12-49

会期:2019101火)~2020119日(日)

開館時間:9301700

休館日:1月13日、15日

最寄り駅:JR「上野駅」徒歩10

問い合わせ:03-3827-2053(代表)

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