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専業主婦の6割は「兼業主婦がうらやましい…」と感じていた!「対岸の相手」に思いをはせる瞬間

誰かがやらなければならない「家のこと」。家庭内で絶え間なく発生する家事や、家族の困りごとの対応に従事しているのが、専業主婦です。「近年、専業主婦が減っている」などと言われていますが、「家のこと」を抱えた20代~40代前半の女性の就業率が低下する傾向は、今も続いています。

昨今、兼業主婦と専業主婦の境界線は薄くなっています。それでも「こちら側」から「あちら側」を見て、自分の生活に足りない「何か」を持っているように感じる瞬間があるかもしれません。

『kufura』 編集部は、兼業主婦に34人・専業主婦34人にアンケートを実施して、自分と異なる立場の主婦について「“うらやましい”と感じること」について、聞いてみました。

アンケートでは、兼業主婦の55.9%が、専業主婦の58.8%が、対の立場の主婦を「“うらやましい”と感じることがある」と回答しています。

どんなときに「うらやましい」と感じるのでしょうか。

兼業主婦の声を紹介した前回に続く今回は、専業主婦の声をご紹介します。

兼業主婦は「自分の収入があること」がうらやましい

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まず、兼業主婦の収入に関する回答です。

「収入があって家計も楽だろうし、自分の買い物の自由が利く場面が多いと思う」(51歳)

「自分の自由に使えるお金を稼げること、お金の心配が減ることがうらやましい」
(36歳)

「お金が稼げることがとにかくうらやましい。専業だと、家事に介護に毎日必死で働いてもお金はもらえず、ほんとうに情けない思いをしている。働いていて、欲しいものを遠慮なく買えた頃が懐かしい」(54歳)

「自由になるお金が多いということと、家事を手抜きしていても“働いているから”って言えること」
(55歳)

家庭の外で仕事をすると、お金という「対価」を得ることができます。しかし、家の中の仕事は、工夫や熱意が収入に直結することがありません。配偶者の収入から生活費や小遣いをやりくりする立場に不自由さや肩身の狭さを感じることがある、との声が寄せられました。

一方、兼業主婦の女性からは「専業主婦でいられる経済力がうらやましい」との声もあり、生活費のやりくりについての悩みは、両方の属性から寄せられていました。

「家族以外との接点があること」がうらやましい

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続いて、兼業主婦が家族以外との接点があること、貢献できる職場があることが「うらやましい」という声です。

「家庭や育児以外の居場所があってうらやましい。専業だと世界が狭くなってしまうように感じてしまう」(21歳)

「家族以外の社会の人に“ありがとう”と言われる機会がかなり少ないから、気が滅入る」(38歳)

「子どものいない専業主婦なので孤独」(43歳)

生活空間を整え、家族のケアやサポートに徹する日々を送っていると、社会から孤立しているような感覚に陥ることもあります。自ら積極的につながりを求めて外に出ていかない限り、交友関係はなかなか広がりにくいという実情もありますよね。

「家庭と仕事のバランスを取れること」がうらやましい

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家庭と仕事を両立していることをうらやむ声です。

「仕事も家事も頑張っているパワフルさが、かっこよくてうらやましい。同じようにしてみたいけど、できない自分にがっかりする」
(44歳)

「仕事に行きたいのに、介護があっていけないから」
(48歳)

回答の中には「働きたい」と願う専業主婦がいました。しかし「家の中の仕事」に追われ、「家の外の仕事」に時間と労力を使う余裕を捻出できないもどかしさを感じている回答者もいました。

兼業主婦のことを「うらやましいと思わない」という声も…

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今回のアンケートでは、41.2%の専業主婦が「兼業主婦をうらやましいと思わない」と回答していました。理由として、以下のような声が寄せられました。

「仕事と家庭の両立は、私にはできる気がしない」(37歳)

「兼業と専業、両方やったことがあるが、その人それぞれ、時期それぞれだから、うらやましいとは思わない」
(48歳)

「仕事と家事を器用にこなす自信がないから」(52歳)

「ずっと仕事をしながら家事と育児をしてきた立場なので、その大変さがわかるから」(57歳)

家庭と仕事の両立の困難さがつづられています。両方の属性を経験して、現在は専業主婦を選んでいる人もいました。

「大切にしたいこと」が目の前にたくさんあるから、悩ましい

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ここまで、2回にわたって専業主婦と兼業主婦が「互いをうらやましいと感じるとき」についてご紹介してきました。

専業主婦と兼業主婦の声を読み込んでみると、いずれも「家のこと」との向き合い方や負担感に関する回答が多くなっています。

家庭内では、常に家事や家族をサポートする仕事が発生し続けていますが「それは仕事じゃない」と言われた1人の女性の経験から着想を得た小説が、朱野帰子さんの『対岸の家事』(講談社)です。

TBS系列でドラマ化され、専業主婦、兼業主婦、育休中の主婦、子どもが巣立った主婦、専業主婦を持つ夫など、さまざまな属性の登場人物の「家の中の仕事」を巡るストーリーは、多くの共感を集めました。

どのような属性であっても「家の中の仕事」が重要であることに変わりはないものの、その家を支える「お金」も必要です。さらに、健やかな暮らしを続けるためには、日々の楽しみも大切。自分にとってのベストバランスを模索する中で、誰かを「うらやましい」という気持ちが生じる時期があるかもしれません。

性別や年齢にかかわらず、現状に合わせて「家の中の仕事」と「家の外の仕事」の分量を軽やかに調整できる社会になるといいですね。

北川和子
北川和子

自治体HP、プレスリリース、コラム、広告制作などWEBを中心に幅広いジャンルで執筆中。『kufura』では夫婦・親子のアンケート記事やビジネスマナーの取材記事を担当している。3児の母で、子ども乗せ自転車の累計走行距離は約2万キロ。地域の末端から家族と社会について日々考察を重ねている。

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