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日本代表としてこの本がドイツに!「ぺぱぷんたす006」が造本装幀コンクールで受賞。「紙の本」だからできることがまだまだある

こんにちは。『ぺぱぷんたす』という耳慣れない名前の本をつくっている、編集長の笠井です。『ぺぱぷんたす』は、紙をとことん体験する本です。

この連載「ぺぱぷんたすの作り方」では、本を作るために集ってくれているたくさんの「プロ」たちの仕事、そして私たちがこの本に込めている思いなどを、ご紹介していきます。「紙ってすごい!」を一緒に感じてもらえたらうれしいです。

造本装幀コンクール・日本印刷連合会長賞を受賞!

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受賞した『ぺぱぷんたす006』。表紙はポップアップ式になっていて、めくるとカラフルに大変身!

またまた、しばらくごぶさたしてしまいました。今、ぺぱぷんたすの新しいプロジェクトが色々と進行していて、慣れないこともあっていつも以上にドタバタしています。

そんな中、嬉しいことがありました。なんと、造本装幀コンクールで、『ぺぱぷんたす006』が日本印刷連合会長賞を受賞しました!!

アートディレクターの祖父江慎さんが登壇。

造本装幀コンクールはご存じでない方もいらっしゃると思いますが、実は1966年に始まり、今回56回を迎える歴史のあるコンクールなんです。

1年間に刊行された書籍を対象として、より美しい本、より良いものになるように磨いてきた技術と美しさを競う賞であり、出版、印刷、製本、デザインなど、造本装幀に関わる方々を総合的に評価をする、出版業界で唯一の賞だそうです。

「第56回造本装丁コンクール公式冊子」

そして! 入賞作品は、日本代表としてドイツのライプチヒで行われる「世界で最も美しい本コンクール」に出品される権利を得ます。

に、日本代表としてドイツに……。なんて、名誉ある賞なんでしょう!(頭の中でW杯映像と音楽が流れます。本が入場するイメージ笑)

そのほか、ライプチヒ・ブックフェアやフランクフルト・ブックフェアでも展示されるのに加え、国立国会図書館にも「原装保存コレクション」として収蔵されるそうです。

「本にできることはまだまだある」と思えた授賞式

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受賞作品は、どれも、作り手の思いや愛情、熱意が込められた作品ばかり。内容、デザイン、紙、印刷、製本、技術や工夫が素晴らしく、手にとって、開き、めくり、撫で、「すごい!」とため息。

本って、一括りに「本」と言われてしまうけど、やっぱりただものではない! その表現方法は無限で、ただ「読む」にとどまることがない。つまり「行為」「体験」を伴うもので、五感を激しく揺さぶるものなんですよね。やっぱり本が好きだー!と改めて思いました。

今回の応募作品は、例年に比べ、小説、そして絵本・児童文学が多かったそうで、

「デジタル媒体で文字を読むことが非常に増えた中で、もしかすると作品の魅力を造本装丁といった紙の書籍にしかできない表現により膨らませて読者に届け、さらに読者に想像を膨らませてもらうこと、そして紙の本での読書の楽しさを知ってもらおうと、そんな思いがより強くなっているのかもしれません」

「文字をデジタルで読むことが普通になってきた今の人たちにとって、紙の本を読むということが極めて新鮮な体験になってくるかもしれません」

と主催の日本書籍出版協会の方が話されていました。

私も本を作る側の人間として、本の可能性はまだまだある! 逆に紙の本が真価を発揮するのはこれからなのではないか? と明るい希望が持てましたし、とても刺激を受けた、そんな会でした。

これまでのチーム「ぺぱぷんたす」、みんなで受賞した賞!

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チームぺぱぷんたすです!

何より嬉しかったのは、『ぺぱぷんたす』をいつも裏で支え、無理難題も厭わず、最高の仕上がりになるよう尽力してくださっている、印刷会社、加工会社、製本会社のみなさまのための賞をいただけたことです。その技術や協力がなければ、この大変な本(笑)『ぺぱぷんたす』はありません。

今回006号で受賞しましたが、001〜006まで、全てを含めて頂いた賞だと思っています。
これまで携わってくださった、アーティストの皆様にも心より感謝しています。

そして読者の方々、この本を売ってくださる方々の応援がなければ、1年に一度の本を006号まで、こうして続けてくることはできませんでした。全ての方に感謝しています。

この連載を読んでくださっている方々にも、ぜひ「本のおもしろさ」「可能性」を知ってほしいと思っています。今回受賞した21の作品は、10月30日(月)まで、神保町にある出版クラブ3Fのライブラリーで手にとって見ることができますので、もしお近くにお寄りの際はぜひ、出版クラブへ足をお運びいただければ幸いです。(無料です!)


 

日本出版クラブライブラリーは、天高8メートル。4階までの壁面書架にズラリと収蔵された書籍は圧巻。入場は無料ですし、居心地もよく、ゆっくりと本を手にとって読むことができます。(なんと無料のコーヒーサーバーも!)

小さな本の展覧会16「本の設計でアタマがいっぱい!-第56回造本装幀コンクールから」

期間:開催中〜2023年10月30日
時間:10時〜18時(土日祝日・休)
場所:東京都千代田区神田神保町1-32
神保町駅(都営新宿線・都営三田線・東京メトロ半蔵門線)A5出口より徒歩2分

日本出版クラブ
https://shuppan-club.jp/archives/info/939

造本装幀コンクール受賞作
https://www.jbpa.or.jp/zohon/zohon-winning.html

「ぺぱぷんたす006号」2,300円(税込)

「紙でできること、紙だからこそできること」をテーマに、年に1度のペースで発行しているMOOK『ぺぱぷんたす』。アートディレクター祖父江慎さんの元に、絵本作家をはじめ、たくさんのアーティストが集結!

「手を動かして何かを作る喜び」「想像し、工夫し、想像することの楽しみ」「紙の本の面白さ」を味わえるよう、毎号、内容はもちろんのこと、紙、印刷・加工と趣向を凝らして丁寧に作っています。

発売中の006号は、切ったり、折ったり、くしゃくしゃしたり、紙の楽しさを存分味わえる企画が盛り沢山。身の回りのもので遊びをぐんぐん広げられるページもあります。

笠井直子 
笠井直子 

息子ふたり、猫二匹、ウーパールーパーとのドタバタ暮らし。余裕のある生活に憧れるもゆっくりできない性分。20年ほど女性誌を編集した後、幼児誌の編集に携さわり、2017年『ぺぱぷんたす』を立ち上げ。帰宅後10分でつくる料理のマンネリ化が、今最大の悩み。

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