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【平野レミの痛快!人生相談#2】ひとり息子が進学のためひとり暮らし。たまらなく寂しい…(43歳・子ども18歳)

悩み多き人生に楽観と笑顔を! 料理愛好家で人生のエキスパート・平野レミさんが、あなたの「困った」「辛い」「どうしたらいいの?」に痛快&実用的アドバイスでお答えします。
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「長男がひとり暮らしを開始。辛くせつない毎日です」(福岡県在住Mさん/43歳女性、事務職)

この春、18歳のひとり息子が進学のため実家を離れ、東京でひとり暮らし始めました。成長がうれしい反面、たまらなく寂しくて「ちゃんとごはんを食べている?」「必要なものはない?」「夏休みは帰ってくる?」などと息子にLINEしては、夫に「放っておけ」と怒られています。 子離れできない自分が情けない。でも、喪失感でいっぱいです。レミさんは、ふたりの息子さんが独立したときはどんなお気持ちでしたか? 上手に子離れする方法を教えてください。

「わかる、わかる、その気持ち。切ないよね…。でも、これは避けては通れない通過儀礼なの」

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うちもね、次男が就職して1年ぐらい経ったとき、家から歩いて5分ぐらいのところなんだけど、ひとり暮らしを始めたの。

「社会人になったのに実家暮らしはかっこ悪いんだよ」って。ちょうどそのころ“パラサイトシングル(社会人になっても実家に寄生=パラサイトし、生活全般を両親に依存する未婚者)”っていう言葉が流行っていたせいもあったかもしれないね。
ときどきうちにごはん食べに来てたんだけど、食べ終わると“さ、うちに帰んなくちゃ”って。

「えっ、“うちに帰る”って、どういうこと!? “うち”はここでしょ!」ってせつなくなっちゃって、毎回そのやり取りが辛かったのを覚えています。

「私たちは、子どもに“親にしてもらった”のよ。だから、いつか別れの時がくる」

でも、これは親である以上、避けては通れない子離れ・親離れの通過儀礼なんだよね。いまは身を切られるように辛いかもしれないけど、ちょっと考えてみて。もしそのまま、ずーっと息子ちゃんが実家に棲みついていたら、将来、深刻にせつなくなっているかもしれないよ。

いまね、“子ども部屋おじさん”なんていわれている男性が増えているんだって。仕事はするけど結婚はせず、ずっと実家の子ども部屋に住み続けておじさんになっちゃう男性のことらしい。いわば21世紀のパラサイトシングルだよね。

Mさんはまだ43歳でしょ。ということは、もし息子ちゃんが「お母さんのためにずっと実家で暮らすよ」となったらさ、あと40年ぐらいお世話しなきゃいけなくなるかもしれない。

そしたら、あのときやっぱり、ひとり立ちさせておけばよかったって後悔するんじゃないかな。

話は逸れるけど、この間テレビを見ていたらね、小さな男の子が「僕たちはいずれ死ぬのに、なぜお母さんは僕を産んだの?」というようなことを問うてる場面に出くわして、それはとてもショックではあったんだけど、ふと思ったのよ。

そうだよね、私たちは誰に頼まれたわけでもなくて、勝手に子どもを産んだのよね……って。「母親になった」んじゃなくて、子どもに「母親にしてもらった」んだから、独り立ちできるようになった子どもが離れていくのは当然のことなのよ。

「感謝して干渉せず。自分自身の人生を謳歌してくださいね」

こう考えてみたらどうかな。息子ちゃんはMさんを母親にしてくれて、Mさんも息子ちゃんを「限りある人生を、自分の夢に向かって一生懸命生きる立派な人間に育て上げたんだ」と。誇りに思っていいと思うよ。

感謝して干渉せず。

これからは、息子ちゃんの好きなようにさせてあげようよ。いつの日かきっと、彼に寄り添って、彼を父親にしてくれ、Mさんをおばあちゃまにしてくれる素敵な女性も現れるかもしれない。

Mさんも、晴れてお役御免よ。これからは自分自身の人生を謳歌してくださいね。

構成・執筆/神史子 イラスト/やまなかゆうこ

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平野レミ
平野レミ

料理愛好家・シャンソン歌手。1972年にイラストレーターの和田誠さんと結婚後、主婦として家庭料理を作り続けた経験を生かし、「料理愛好家」として活躍。数々のアイディア料理を発信中。また、「レミパン」やエプロン、調味料などの開発も手がける。エッセイ『おいしい子育て』(ポプラ社)は、第9回 料理レシピ本大賞のエッセイ賞を受賞。近著『エプロン手帖』(ポプラ社)『平野レミのオールスターレシピ』(主婦の友社)も好評発売中。https://remy.jp/

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