【パターン1】子どもの心に深く残る傷…「存在否定」の言葉
null・あなたなんて、産まなければよかった
・あなたがいなければ、お母さんは楽なのに
・本当はほしくなかったけど、できちゃったから産んだのよ
「これらは、子どもがいちばん嫌な思いをする、存在を否定する言葉です。“ぼくは愛されていない”“わたしなんていないほうがいいんだ”と自己肯定感を持てなくなってしまいます。
親はその時の勢いで言ってしまったとしても、子どもにとってはなかなか忘れられないひと言になります。場合によっては一生涯引きずってしまう可能性もあります」(以下、「」内は親野さん)
【パターン2】親を信用できなくなる「人格否定」の言葉
null・何度言ってもできないなんて、だらしない子だね
・約束やぶって、ずるい子だね
・そんな嘘つきに育てた覚えはないわ
「子どもの能力や性格を丸ごと否定する『人格否定』の言葉。“お母さんは、ぼくのことをずるい子だと思ってるんだ”と、親に対する強い不信感を抱くようになってしまいます。親を信じられなかった経験が、“他人は信用できない”という認識に繋がる可能性もあります」
【パターン1】でお伝えした、
【パターン3】否定的な言葉で「物事について叱り続ける」
null・また片付けしてない。片付けなきゃダメでしょ!
・なんで歯磨きしないの!? 言われなくても自分からしなきゃダメでしょ!
・また靴下脱ぎっぱなし! 何度言ったらわかるの?
「“こうした言葉は存在や人格を否定しているわけではなく、
日常的に叱られて育った子どもが、“ぼくはやればできる!” “わたしなら大丈夫!”という自信を持って成長できると思いますか? 自己肯定感も他者信頼感も持てず、親子関係も悪化すると、それは思春期以降に大きく影響します。
叱っている大人にはそのつもりはなくても、日常的にシャワーのように浴びせている言葉が徐々に子どもの心を傷つけていることに気づいてほしいです」
小学生の子育て中の私も、気づかない親のひとりでした。“また散らかしてる!”という日常語で、我が子に毒を注ぎ込んでいたとは……。
かといって、今日もせっかく片づけたリビングを散らかし放題にしている我が子に目をつぶれないとき、どんな関わり方をすればいいのでしょうか。次回は、“片付け”のシーンをモデルに、叱らず咎めない関わり方について教えてもらいます。
【取材協力】
親野智可等(おやのちから)
長年の教師経験をもとに、子育て、親子関係、しつけ、勉強法、家庭教育について具体的に提案。著書多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても著名。Twitter、Instagram、YouTube、Blog、メルマガ、各種メディアの連載などで発信中。オンライン講演をはじめとして、全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。詳細については「親力」で検索してHPから。
大学卒業後は銀行に就職するも、大好きな雑誌の世界に飛び込む。