家事中の「ぐずり・かまって・きょうだいげんか」対応で負担感は最高潮に
null今回は87人の既婚女性に「子育てと育児の同時進行で特に大変だと感じること」についてうかがいました。回答内容を1つ1つ見ていくと、家事の最中に子どもの“ぐずり”や“けんか”の対応が重なると、負担感が特に大きくなる傾向が見られました。
特に、料理中の対応については回答したのは87人中43人と突出して多くなっています。具体的には以下のようなエピソードが寄せられました。
「揚げ物中に大泣き」(28歳・総務・人事・事務)
「料理中の子どもたちのけんか。泣き声が響く中、頑張って天ぷら最後まで揚げました」(49歳・総務・人事・事務)
「子どもが急に泣き出してかまっていると料理の火を消し忘れたりしていて、焦げて慌ててキッチンで棚に引っ掛かり自分の足を怪我した」(34歳・総務・人事・事務)
「料理中に限って『こっち来て見て』と言われ焦って戻った時に足をぶつけて指を骨折してしまった」(40歳・主婦)
「時間に追われてる時に、おもちゃが壊れたとか、ママ見て~!とか言ってくるので、全然家事が進まずイライラする」(39歳・主婦)
「ありすぎて忘れましたが、ぐずる子どもをおんぶして料理、洗濯するのはしょっちゅうだったし、それに加え上の子や下の子がぐずれば、お菓子を与えながら、あやしながらしていました。懐かしい」(36歳・総務・人事・事務)
家事中のぐずり・けんか・トラブル対応が大変なのには、考えられる理由があります。
以前『kufura』編集部が「子育てがときどきしんどいのは“感情労働”だから?母たちの“子育てと感情”の実態を調査」の記事で、育児の中でどんなことが一番大変なのかアンケートをとったことがあります。
最も高い割合だったのが「子どものぐずりや甘えや反抗を受け止めること」。心を動かし、子どもの感情の揺らぎをケアするプロセスのほうが、手を動かして身の回りの世話をするよりも負担感が大きくなっていたのです。
さらに、家事の中では料理もプロセスの多い仕事です。一口に“料理”といっても、メニュー考案、買い物、下ごしらえ、調理などの工程があり、ある程度のまとまった時間と集中力を要するクリエイティブな作業。最近の『kufura』の記事「夫が“妻の代わりにやってみたらめちゃくちゃ大変だった家事”ランキング」では、料理が1位となっています。
つまり、1つでも負担感の大きい “料理”と“ぐずり・けんか対応”を掛け合わせると、負担感は非常に高くなる可能性があります。
実際、今回のアンケートでも子どもの感情ケアと家事が掛け合わされたときに「大変だ」と感じる割合が高くなっています。
世の中には「お母さんは、手抜きをして」といった類の記事もあふれていますが、家族の食の嗜好やアレルギーの有無、食費を考慮して「惣菜を買って解決!」というわけにはいかないこともしばしば。省けない家事が遅々として進まないという状況によってイライラや焦燥感が募ることもあるようです。
予測不可能な突発的トラブルで「新たな家事」が降りかかるとき
null次に多かったのが、突発的なできごとでその日の“家事プラン”が大幅な変更を強いられるケースです。
「子どもが発熱した時は家事がほとんどできなかった。普通の風邪なら大人しく寝ていたが、インフルエンザの時は相当つらかったらしく、抱っこをやめると大泣きされた」(47歳・主婦)
「朝の忙しい時間のおねしょの後始末」(38歳・その他)
「ハンバーグをこねているときに、子どものうんち」(27歳・主婦)
「家事が一段落した頃におもらし、また片付けをしたら、今度はウンチをもらして、てんやわんやでした」(44歳・その他)
「飲み物やみそ汁などの液体物をこぼす、火傷するなど」(42歳・主婦)
「料理中に子どもがお手伝いしてくれましたが、皿を落として逆に仕事が増えた」(37歳・主婦)
排泄物がついた衣類の洗濯や汚れた場所の掃除、食べこぼしなどで、家事が突発的に発生することも。家事でエネルギーを使い切って燃え尽きた後に限って、“何か”が勃発することもありますよね。
学童期は「宿題・明日の支度・習いごと管理」と家事の並行
null続いて、学童期のエピソードです。子どもから目を離せるようになりますが、代わって浮上する問題が“宿題”“勉強”“習いごと”でした。
「仕事から帰ってきてから、宿題をやっていなくて、宿題をさせて、ご飯作って、お風呂入れて、寝かすまでが大変です」(45歳・その他)
「夕飯調理中に子どもの宿題の質問攻め。計算しながら、調味料何杯入れたかとか頭グチャグチャになる」(36歳・主婦)
「子どもの宿題を見ながらの料理。こげてしまう」(42歳・主婦)
学童期になると、家事時間に子どもの習いごとの送迎の時間が重なり、時間管理が大変になるという声もありました。
「家事と育児のマルチタスク」で高まる負担感
null育児中の女性の“育児”と“家事”の同時進行のエピソードを見ていくと、こちらで子どもがぐずり、あちらでは煮物がこげつく音がして、向こうに洗濯物の山が見える……といった状況下で、特に負担感が高まりやすいことがわかります。
夫婦の就業形態、実家の協力度、育児の担い手の体力やマルチタスクの得意・不得意によって、家事・育児のピークタイムの負担感は大きく変わってきます。
てっとり早い解決策は、「誰かもう1人家庭内に大人がいて、育児か家事を担うこと」なのですが、夕方から夜の時間を1人の親が“ワンオペ状態”でまわす家庭は少なくありません。以前『kufura』が共働き夫婦の家事・育児分担率を調査したところ、仕事を持つ妻が多くの育児・家事を担っている共働き家庭が“多数派”でした。
育児のピークタイムの負担感が高まりやすい時期に夫婦でサポートし合えた経験は、育児がひと段落したころの夫婦関係にもかかわってきます。
育児と家事の同時進行が特に大変な時期・時間帯があることを、夫婦や家族、可能であればそれぞれの職場で共有し、支え合っていけるといいですね。