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「家事時間ゼロ」の共働きパパは、育児時間もほぼゼロだった!? …その意外な相関関係とは

泣いてぐずった子どもを抱っこしたり、病気の看病をしたり、帰り道に石ころを拾いながら子どもとスーパーに寄ったり、進学についての情報を収集をしたりといった1つ1つの細かなことを全てひっくるめて“育児”と呼びますよね。

育児にかかるエネルギーや時間を具体的に数値化するのは難しいのですが、『kufura』は子育て中の共働き家庭の女性105人に夫婦の育児・家事の分担率についてのアンケートを実施。現在抱えている問題についても聞いてみました。

共働き家庭では、どのように育児をシェアして、どんな問題を抱えているのでしょうか。

【家事編】の結果も踏まえ、家事と育児の分担率の相関関係や、うまくいっている家庭の事例などもご紹介します。

74%が妻の育児分担率「6割以上」と回答

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今回のアンケートでは、妻側が6割以上の育児を担っている家庭が74.3%と多数派でした。多かった順にランキング形式で並べてみましょう。

1位・・・妻9:夫1(23.8%)

同率1位・・・妻5:夫5(23.8%)

3位・・・妻8:夫2(17.1%)

4位・・・妻7:夫3(13.3%)

5位・・・妻10:夫0(11.4%)

家事と比べて夫の育児参加の比率はあがっていますが、夫婦間で「家事ができない分、育児をより多く負担する」といった柔軟性のある分担をしている夫婦は少なく、育児・家事ともに妻がより多く担当している家庭が多く見受けられました。

そんな中、【家事編】と同様に、女性が現状に満足している割合が多かったのが「妻5:夫5」「妻6:夫4」の家庭でした。

「育児を分担している夫婦」は家事もバランスよく分担している傾向が

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「妻5:夫5」「妻6:夫4」の家庭では、65%の夫が家事も4割以上担っていました。さらに、「今のままでいい」「不満はない」「夫に感謝している」といった回答が7割の女性から集まりました。

それでは、具体的な分担例をのぞいていきましょう。

【妻5:夫5の育児分担例】

「保育園の送りは妻。迎えは残業がなければ夫。お風呂、寝かしつけは夫。今のまま継続したい」(38歳/金融関係/夫は正社員、残業ほぼ無し。妻は契約社員、フルタイム)

「夫は育児休暇中。平日家にいて見てくれているが、その分私も早帰りしたり、在宅勤務を活用しているのでなんだかんだ半々。今のままで良いと考える」(29歳/技術職/現在妻は正社員でフルタイム勤務だが在宅勤務を活用して、残業月20時間程度)

【妻6:夫4の育児分担例】

「夫が休みの日は保育園の送り迎え、子守り担当。そのほかの日もできるだけお風呂に入れてもらったり、遊んだりしてもらう。特に不満はない」(24歳/総務・人事・事務/夫は正社員で残業が月60時間、妻はパートで6時間勤務)

子どもが小さいうちは、育児と家事は密接につながっています。ご紹介した例は、夫婦で帰宅時間や働き方を調整しながら、育児・家事を夫婦でバランスよく分担している例だと言えるのではないでしょうか。

ちなみに今回のアンケートでは、夫が6割以上育児を担っている家庭は105世帯中わずか2世帯と少数でした。

「妻の育児分担率7割以上の家庭」では、夫は家事を分担しているのか?

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今回、回答が集中したのが、妻の育児負担が7割以上という家庭です。そのうち、88%の家庭では、妻の家事負担も7割以上でした。具体的な分担例を見ていきましょう。

【妻7:夫3の育児分担例】

「土日以外はすべて妻。夫が平日でももう少し子どもを世話する時間を増やしてほしい」(45歳/ 公務員/夫婦とも正規職員。1日8時間勤務)

【妻8:夫2の育児分担例】

「休日のお風呂のみ夫。それ以外は妻。平日もお風呂や歯磨きをしてほしい。早く帰宅できる勤務にしてほしい」(29歳/その他/妻は育児短時間勤務。平日のみ仕事。夫は残業が多く、勤務地も車で2時間以上ある)

【妻9:夫1の育児分担例】

「休日、子どもをお風呂に入れる、寝かしつけは夫。あとは妻。平日も育児を手伝ってほしい。保育園のお迎えとかもやってほしい」(39歳/パート/夫は正社員で残業が月80時間ほど。朝7時前に出勤し、20時ころ帰宅。妻はパートのかけもちで週6日、曜日によって1日4時間から1日8時間勤務)

「週末は夫が子どもの寝かしつけ。それ以外は妻。日中はゲーム以外にコミュニケーションをとってほしい」(35歳/公務員/夫正社員で土日出勤もたまにあり。平日は夜中帰宅、妻は平日のみの時短勤務で1日6時間)

改善したい点として、頻出した回答は以下のようなものでした。

・夫の平日の育児参加

・夫が自分で気づいて主体的に動くこと

“ワンオペ育児”という言葉がありますが、仕事から帰宅後に全てを1人でこなすことを「しんどい」と感じている女性が多いと推測できます。

夫の育児参加ゼロの家庭では、6割が「家事参加もゼロ」

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今回、育児の分担率が「妻10:夫0」と回答した家庭では、92%の妻が8割以上の家事も同時に担い、58%は全ての家事を担っていました。

【妻10:夫0の場合】

「夫は何もしない。休日に子どもと1時間でもいいから遊んで欲しい」(37歳/その他/共に正社員。夫が残業で21時頃帰宅のため妻は18時)

「夫はすべての給与を管理し、家事育児せず、休みは遊びに行くばかり。分担はしていない。なぜならモラハラだから。家事育児分担したいが、夫がすぐキレるから難しい」(45歳/主婦/夫正社員で残業なし。妻はパートで残業含め110時間の労働)

単身赴任と別居中の女性がそれぞれ1人ずついましたが、それ以外の女性からはあきらめとともに、夫への強い不満が感じられる回答が集まりました。

女性側が家事と育児の全てを担わなければならない場合、女性の働く時間や働き方が限られてしまう場合があります。その状況に夫婦が満足していればいいのですが、少なくとも今回のアンケートではそのように回答している女性はいませんでした。

夫の「家庭内労働の参加格差」はどうやって解消できる?

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育児・家事と仕事を両立させるためには、日々夫婦で様々なことを決めながら、分担作業をしていく必要があります。今回のアンケート結果からもわかるように、2人が家庭の共同運営者となって小さなことから大きなことまで協力してマネージメントできている家庭と、そうではない家庭の差は、かなり大きくなっているようです。

全ての負担が妻側にのしかかっている場合、夫側の長時間勤務の改善(外部)と、夫側の意識の変化(内部)からの2つのアプローチが必要となるのでしょうが、多くの女性が「変化を望めない」と回答しています。

 

便利な家電や外部のサービスもありますが、それらに頼るのは限界があります。既婚者でありながら、家族に頼ることができない女性の負担は家庭の外からは見えにくいものですが、今後そういった女性の負担を「いかに軽くできるか」という点を探っていく必要があるのではないでしょうか。

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