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【母親編】「男の子だから」「女の子なのに」と言うのはやめたけど…母親が家庭の「ジェンダー教育」でモヤモヤすること

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息子・娘には「ちゃんとした」大人になって欲しい。そう願いながら子育てをしている親は多いと思います。

ところが、時代とともに「ちゃんと」の意味は変わっていきます。一昔前と比べてとりわけ変化が大きいのが、ジェンダーの領域ではないでしょうか。

8割超の家庭では「ジェンダー教育」を意識・実践している

近年、日本では “看護婦”は“看護師”、“保母さん”は“保育士”、“ビジネスマン”は“ビジネスパーソン”と呼ばれるようになりました。海外に目を向けると「ladies and gentlemen(紳士、淑女の皆様)」という聞き慣れた呼びかけが「everyone(皆さま)」といった表現に置きかわっています。

あらゆる人が社会で対等に扱われ、平等な機会が与えられるために、使われる言葉や価値観は変化しています。

子育て現場においても、意識の変化が見られます。

『kufura』編集部が実施したアンケートでは「男の子なのに……」「女の子なんだから……」といった言葉をなるべく使わないという声が多く聞かれました。

今回、子どもがいる173人の女性(20~50代)にアンケートを実施したところ、子どもの性別に関わらず、84%の家庭では「ジェンダー(社会的・文化的に作られる性別)教育」を意識・実践していました。

具体的には、以下のような内容です。

「『男だから、女だから、お兄ちゃん、お姉さんだから』という言い方はしないように、心がけている」(39歳・その他/子8歳男・10歳男)

「性別を気にせずいろんなことを経験させている。女の子だけど虫に興味を持たせたり父母がしていることにしっかり興味を持たせてお手伝いもしてもらっている」(34歳・主婦/子・2歳女)

「テレビでジェンダーについて特集していると、家族で観て、話をする」(48歳・主婦/子15歳男)

「子どもにも料理や洗濯、食器洗いなどの手伝いをしてもらうようにしている」(40歳・総務・人事・事務/子11歳男・9歳男)

「男の子だから青色、黒色にしなさいとは言いません。息子は一時期ピンク色が好きでした」(38歳・主婦/子7歳男・5歳男・1歳女)

「男女関係なく人として誇れるような大人になるように、料理や洗濯をしっかりできるように教えている」(44歳・その他/子8歳女・5歳男・3歳女)

性別を理由に何かをあきらめさせない、男女問わず生活をしていくためのスキルを教える、“人としてやってはいけないこと”を教える、といった声が目立ちました。

中には、男女の体の構造の違い教えながら性的マイノリティについての情報を都度共有している家庭も見受けられました。

子どもの性別が子ども自身の夢の障壁となったり、子どもの配慮の欠如が誰かを傷つけたりするような事態を避けたいという思いが根底にあるようです。

夫婦格差、世代間ギャップ…母親が抱えている「ジェンダー」の課題

さて、前出の質問によれば、84%の家庭が何らかの“ジェンダー教育”を心がけていました。その一方で、胸の内でモヤモヤとくすぶる思いを抱えているケースも多く見受けられました。

母親の視点から見た“モヤモヤ”の原因は以下の4つ。

(1)夫婦間で「役割分担が固定」されている

今回のアンケートで最も多かった回答は、家庭内で固定した役割分担に関することでした。

「夫は家事を全くしない。言えばやるが、言わないとしない。目の前で疲れた様子を見せてもしない。その様子を子どもは見ているし、男の人は結局家事をしないものなのかと思っていると思う。しかし、言葉にすると父親を卑下するような気がして、子どもには何も言えていない」(47歳・主婦/子9歳女)

「子どもには色々お願いしておてつだいしてもらっていますが、パパが怠けているときは、なかなかうまく伝わりません」(44歳・主婦/子5歳女)

「男だから家事をしなくていいなんて時代ではない、お父さんを見本にしてはだめと言っています」(46歳・主婦/子17歳男・13歳男)

「男だから仕方がない、と息子のことを旦那が言うところ」(47歳・その他/子19歳男・14歳男)

子どもに性別ごとの役割意識から自由になって欲しいけれど、父親が家事をしないことで矛盾が生じているという声は、非常に多く聞かれました。

「親の背を見て子は育つ」ということわざがあるように、夫婦は子どもにとって身近な手本となります。しかし、夫婦もまたその親の背中を見て、無意識のうちに“そういうもの”だという思い込みを抱えているケースもあるでしょう。

これまでの思い込みを1つ1つ解きほぐし、夫婦が“自分たちの正解”を見出す過程を子どもに見せていくことも大切なのかもしれません。

(2)両親・義理の両親からの言葉

そして、上の世代の声に触れ、腑に落ちない経験をしたケースも。

「義両親が『ママだから~』『パパは~』というように、男女差を付けます。また『長男だから』『次男だから』ともよく言います。私は反対意見を言えないので、どうしたものかと思っています」(32歳・広報・宣伝/子1歳男)

「男の子らしいところがある娘に対する自分の親の言動が気になる」(38歳・営業・販売/子11歳女・9歳女)

「夫と夫の実家が男尊女卑・長男至上主義な思考があります。まだ7歳の娘なので、夫たちの考えを否定・非難は直接言いませんが、多様な考え・自分の気持ちを大切にすることを伝えています。自分もそうやって耐えるしかない」(37歳・技術職/子7歳女)

祖父母世代の年代、価値観、地域差によって、家長(父親・長男)が優先される家父長制の影響が色濃く残る家庭もありました。

(3) 自分の中にある「女だから」「男だから」の思い込み

自分が育ってきた過程で知らず知らずのうちに身についていた価値観に気づき、戸惑った経験も寄せられました。

「ついつい『女の子だからピンクが好き』とか言ってしまう」(34歳・公務員/子4歳男・0歳女)

「息子の片付け・マルチタスクが苦手だったり家事の詰めが甘い点を直させるべきか、生得的な個性・性差ととらえて大目に見るか、悩んでいます」(40歳・その他/子7歳男)

「自分自身が母親からの『母親らしく』の呪縛から逃れたくて、苦しんでいる。だから子どもには結婚して子どもを産んで……なんて容易く言えない」(49歳・総務・人事・事務/子26歳女)

このように、自分の中に隠された“思い込み”や“本音”と向き合い、価値観をアップデートしようと努めている人がいました。

(4)「家庭ができること」の限界を感じることも

主に女の子を持つ母親からは、家庭外の差別や待遇の差を懸念する声もありました。

「学校教育では男女平等をうたっているのに、実社会に出てみると、決してそうではないところ。むしろ社会に出て、いかに上手く男女の不平等を乗り切るかを教えてくれた方が役立つと思います」(56歳・主婦/子23歳女・20歳女)

「結局は子育て、家のことは女性がすること」(43歳・主婦/子16歳女・5歳男)

「なんだかんだ言っても社会では『男は外、女は内』っていう具合になっているので、女性が生涯1つのところで働くのは本当に難しい」(48歳・主婦/子17歳女・12歳女・10歳男)

「女の子が制服にズボンを望んでも、面倒でスカートを選ぶしかない」(40歳・主婦/子13歳男・11歳女)

「息子には教えていないが、保育園などで『ピンクは女の色!』と教えられてくることがある。いまだにそんなことがいう大人がいるのかと驚いている」(34歳・主婦/子3歳男)

子どもたちは、日々の経験や周囲の価値観からさまざまな考え方を作り上げていきます。子どもたちが触れる社会には「男だから~すべき」「女だから~すべき」といった思い込みが根強く残っている現実があります。

今回は、子どもがいる母親による子育てのジェンダーで“モヤモヤ”することについてお届けしました。

子どもが“男らしさ”“女らしさ”以上にまず“自分らしさ”を大切に思えるようになるためにはどうしたらいいのか、これから出会う人たちに敬意を持って接することができるようになるためにはどうしたらいいのか、正解のない課題を抱えながら子育てをしている人は多いと思いようです。

今回は母親の意見をお届けしましたが、次回は父親の声をご紹介します。

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