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島で生まれ育ち、島で子育てをするのが夢だった。自然の恵みに感謝する暮らし【竹富島で暮らす人々#2後編】

沖縄県・竹富島在住のライター、片岡由衣です。私は夫の赴任をきっかけに、3人の子どもたち(10歳、8歳の息子と、5歳の娘)と一緒に、神奈川から竹富島に移住してきました。島で触れ合ってきた人々の暮らしをご紹介していく連載「竹富島で暮らす人々」。前編に続いて、竹富島で民宿を営む上勢頭巧(うえせどたくみ)さんと妻の彩花さんのお話しです。

前回までのお話

前回(前編はこちら)に引き続きご紹介するのは、竹富島で民宿を営む上勢頭巧さん、彩花さん。2人のお子さんとの4人家族です。

巧さんは中学生まで竹富島で過ごし、高校は沖縄本島へ進学します。県外の大学へ進学し、4年生のときに内定先がなくなるトラブルが! 一度島へ戻り自分を見つめ直したことで、将来は島で暮らしたいという気持ちをより強く感じました。

一方、東京のアパレルで忙しく働いていた彩花さんは、信頼する人の紹介で巧さんに出会い竹富島へ。もともと好きだったものづくりを楽しみながら、島での子育てや暮らしになじむ姿が印象的です。しかし、やっぱり大変さを感じる部分もあったとか……? 今回は暮らしの大変さや、お2人の思いを踏み込んでお聞きしました。

忙しい合間をぬって子どもとの時間も楽しむ

外からイメージするほど、日々の暮らしはのんびりとはしていません。民宿のお仕事に、子育てに、合間に島の行事や打ち合わせが入ることも。美しい島は、島民みんなで日々の掃除をしているからこそ。それでもなるべく子どもたちと一緒の時間を楽しんでいます。

「ちょっと時間があるとすぐ海へ行くので、いつも遊んでる、と言われることもありますね。でも、僕はこうやって子どもたちとのんびり過ごすのが夢だったんです。満たされるし、充実しているなと思います」(巧さん)

民宿のお客さんからは「島で育ったんですか」と聞かれることも多く、話しているなかで島での日常が外から来る方にとっては非日常だというのを実感すると話します。巧さんは旅雑誌には載っていないような、島での日常をInstagramでも発信しています(@izumiya_taketomijima)。

「Instagramでは島のゆったりした空気や、竹富島は大好きだけど今は来られない人に、一時の癒しを与えられたら嬉しいです。民宿の仕事は好きですよ。おしゃべりしながらお客さんを案内して、ドライブしたりお散歩したり。子どもたちも可愛がってもらえる。やっぱり生まれ育った場所なので自分のアイデンティティを生かせる場所なのかなと思っています」

コロナの影響については、「お客さん来なければ来ないならしょうがないなと思っています。なんくるないさー精神ですね。野菜は誰かが作ってるからもらいに行って……(笑)」と笑う巧さん。島での暮らしは、どこかおおらかだと話します。

不便さや足りないものもあるけれど

島での暮らしを楽しんでいる巧さんと彩花さん。それでも、出産のときは大変でした。

「竹富島には産婦人科はありません。お母さんは出産予定日の1カ月前から産婦人科のある石垣島にわたって出産に備えるんです。特に2人目のいつきの出産のときは、長女のはなはまだ保育所にも入ってなくて。日中誰が見ようかとドタバタしました。

いつきが生まれたのは予定日の2週間前。その日は大学生が20人くらい泊まっていたんですよ。チェックアウトが終わったら僕もしばらく休む予定でいたら、早朝4時頃に生まれそうって連絡があって、船がない時間だったので立ち会いは間に合いませんでした」

また、島には幼稚園はなく、保育所があるものの、預けられるのは満2歳から。

「2歳前にも預けられればバリバリ働けるかなとも思いましたが、今では2歳までの時間も大事にしたいと思います。どちらかが子どもを見たり近所のじいじばあばにも見てもらったり。貴重な時間ですね」

出産する場所や、受験のための塾、スポーツなど、どうしても離島は選択肢が少なくなります。

「選択肢が多ければ良いというわけではないかもしれませんが、色々な選択肢の少なさへの物足りなさはありました。今はオンラインなど選択肢も増えていますよね。子どもが何かしたいって言ったときに、なるべくさせてあげられるようアンテナを張っていたいです」

忙しい日々の中でも家族の時間を大切に

育った環境の違いを楽しむエピソードも聞かせてくれました。

「僕が子どもの頃はテレビがNHKしかなかったんですよ。僕の両親にしても、島外出身の母の家にカラーテレビが来たときに、島出身の父のところはようやく白黒テレビ。離島なので、やっぱり他の地域との違いがあります。

答え合わせじゃないですけど、このとき何してた?と話すのが面白くて。お互いの当たり前が当たり前じゃないんだなあと感じます。島の子たちには恥ずかしいと思わずに、個性だと思ってほしいですね」

「島には都会にはない良い部分もたくさんあるしね。不便だからこそ良い部分もいっぱいあります」と彩花さん。

私から彩花さんへ、「島に来て一番変わったことはありますか?」と聞くと、巧さんがすかさず「色が黒くなったこと」と答え「ちょっと!!!」とツッコミが。

「だって”奥さんも島の方ですか?”ってしょっちゅう聞かれるんですよ」。息のあった掛け合いを見せてくれました。

「僕は男の人は外で女の人は家で、とはあまり考えていなくて。お互いに仕事も子育てもする。夕方に海で遊んで、ビーチで晩ご飯を食べる。そんな今の暮らしが楽しいんです」


片岡由衣

ライター。東京都出身、竹富島在住。朝日新聞社のメディアや企業サイトなどで取材記事やコラムを執筆。東京学芸大学卒業後、星野リゾートにて広報やイベント企画に携わる。

3人の子育てを発信を続けるうちに専業主婦からライターへ。
積み木オタクで、おもちゃや絵本に囲まれた、児童館のような家で暮らしています。Instagramアカウント@yuuuuui_mom

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