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すっかり春めき、種まきの季節がやってきました【脱都会!野ざらし荘だより#6】

30数年住んだ東京を離れ、神奈川県の横須賀へ移住を決めた私。海の幸も山の幸も豊かな土地での暮らしを楽しんでいます。連載第六回目の今回は、春の種まきと娘が通う自主保育の様子をお届けします。

庭の草木もぐんぐんと伸び、すっかり新緑が眩しい季節になりました。我が家の庭も野ばらが可憐な白い花を咲かせはじめています。引っ越した当初、笹だらけだった庭は毎年マイペースに耕し、一匹も見当たらなかったミミズが顔を出すようになり、少しずつ畑らしくなってきました。

家の裏にひっそりと生えていた野バラを玄関先に移植。5月には満開になり、散った花びらが畑に雪化粧を降らせる

野菜作りに精を出す

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今年はいつも以上に家にいる時間も長くなりそうなので、野菜作りに本腰を入れようといろんな種を手に入れました。3歳の娘が愛してやまない人参、そしてインゲンやヘチマ、ほうれん草……。庭の土は粘土質で土が固く、なかなか野菜が育たない土地で、そんな中相性のいい品種を探りながら野菜作りに励んでいます。まずは苗を育てるところから。娘と一緒に育苗トレイに土を入れ、穴を開け、種を一粒、一粒蒔きました。

カラスにトレイをひっくり返され、土がなくなってしまったところも。でもなんとか芽が出てホッ

数日もしないうちに小さな芽が次々と出てきました。その姿が可愛くって、最近では毎日のように朝起きたら見にいくのが日課となっています。娘は外から帰ってきたときにも欠かさずチェックしにいくので、「そんなに頻繁に見ても、伸びてないよ」とツッコミを入れようとしていたら、それが伸びているのです! 我々の想像をはるかに越えて植物たちはぐんぐん育っていきます。

収穫したらそのままパクリ、採りたてが美味しい

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冬の間はほとんどほっぽらかしていた庭ですが、パクチーや春菊はこぼれ種から勝手に芽を出し、サラダなどに使うのには困らないぐらい育っています。去年、苗で植えたモロッコいんげんがちょうど採りごろを迎えて、毎日のように両手いっぱい収穫しています。

ぷっくりと膨らんだモロッコいんげんはさっと軽茹ですると、サクサクっと歯ごたえがよく、そのままぽりぽり、夕飯前のおやつ代わりになっています。間引きした人参も娘のお気に入りで、そのまま生でかじって食べています。サラダや炒め物に使おうと思って採っても、大抵余ることなく、なくなってしまいます。

収穫が楽しいモロッコいんげん
間引きした人参

庭のスギナはお茶に

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野菜の苗の成長とともに、スギナなどの雑草たちもあっという間に背を伸ばし、庭を覆い尽くします。スギナは乾燥させるとお茶になるので庭で干してお茶にしています。スギナだけだと青臭さが強いので、我が家ではヨモギやレモングラスとブレンドして飲んでいます。

自然いっぱいの中での自主保育

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この春から幼稚園に行きだした娘ですが、並行して2歳から参加している自主保育に通っています。私も子どもを持つまで知らなかったのですが、“自主保育”は保育園などに預けず、親たちが当番制でお互いの子どもを預けあい、子どもたちの育ちの場を自分たちで作るというもの。普段は近くの山を拠点に活動し、栗拾いや餅つきなど季節の行事を取り入れながら、四季折々の活動を楽しんでいます。

参加しているのは私を含め6組。陽気でパワフルなお母さんたちばかりで、刺激を受ける毎日です。原っぱの中でおむすびを頬張りながら、子育ての悩みを相談したり、たわいもない話をしたり、毎週のように顔を付き合わせていて、いまでは大きな家族のような存在となっています。

その仲間たちと最近は山のふもとにある畑と田んぼをやれることになって、子どもたちはぬかるんだ田んぼで泥だらけになって遊び、お母さんたちは土を耕し、草を刈り、筍や柑橘狩りに勤しみ、帰る頃には子どもも大人もヘトヘトです。

数週間前に植えた種芋からは芽が出て、いまは葉をつけ、20cmほどになりました。ポップコーンの種も芽出し中で、畑で採れたポップコーンをみんなでおやつに食べることが小さな目標となっています。

蔓のブランコ
みんなで摘んだヨモギを練りこんでヨモギ団子に

木々には鳥が実を突きにきていて、田んぼにはオケラがいたり、カエルの卵があったり、小さな生き物たちもいっぱい。子どもたちも生き物たちを観察したり、棒で遊んだり、自分たちで楽しみを見つけ、遊ぶ力を身につけていっているようです。

3つの畑を行き来する毎日

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自主保育の仲間たちと畑を始めたのと同時に、友人宅の庭を借りて開墾し、いまは自宅の庭を含め3つの畑を行き来しています。「畑をやりたい、やりたい!」と数年前から思っていたことがどれもご縁に恵まれ、あれよあれよと現実に。我が家は粘土質だったり、友人宅の庭は石だらけだったり、畑によって土が変わるので半ば実験場と化しながら種を蒔き、成長を見守っています。

自分の庭でちまちまとやっているのも楽しいですが、みんなで「育つかな、どうかな」と作業しながらワクワクを共有できるのは、また違った喜びがあります。野菜たちの実がなるまではまだまだ先ですが、今から収穫できる日を心待ちにしています。

次回は梅仕事の様子をお届けします。

 


【著者】

清土奈々子

都内から階段100段を登った高台の一軒家「野ざらし荘」に移り住み、夫と3歳の子と暮らす。編集・ライター、ギャラリー「野ざらし荘」運営、子ども向けワークショップのコーディネーター、絵描きのtoiとともにユニット「村のバザール」を組みライブイベントの企画やウェディング装飾、デザインワークなど行う。ミュージックビデオなど映像制作も。

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