「ママ友をあえて作らない」派は7割弱
null地域の中には子育てを起点としたさまざまな関係があります。子どもが通う園や学校の保護者、PTAや子ども会の役員仲間、公園や児童館で顔見知りになった相手、子どもが通う習い事の保護者など。
あいさつをする程度の緩いつながりもありますが、プライベートの時間を共有するような一歩踏み込んだ友人関係もあります。そうした友人関係を“ママ友”と呼ぶようになったのは、2000年代に入ってから。Googleの検索ボリュームの推移を見ると、2010年あたりから急激な伸びを見せています。
核家族化が進んで地縁・血縁が薄れた社会において“ママ友”と協力し合って育児をしている女性がいる一方で、母親同士の積極的な交流に苦手意識を抱いている女性も見受けられます。
今回『kufura』では、自分が「あえてママ友を作らない」タイプと思うかを、197名の女性(子どもあり/20~50代)にアンケート調査をしました。
・とても当てはまる……57名(28.9%)
・やや当てはまる……77名(39.1%)
・当てはまらない……63名(32.0%)
「とても当てはまる」「やや当てはまる」と回答したのは134名、実に7割弱にのぼりました。さらにこの134名に、現在感じている“よかったこと”や、“よくなかったこと”についてうかがいました。
「ママ友をあえて作らない」理由は?
null134人の回答を参照すると「ママ友をあえて作らない」理由は、3つに分類することができました。
(1) つかず・離れずが心地よい
「子どもが先に仲良くなった親とだけ付き合ってました。ベッタリは嫌だし、かと言って全くいないと子どもに影響が出るので」(51歳・主婦)
(2) 人付き合いが苦手・面倒
「あまりうまく付き合える気がしないから」(34歳・主婦)
「作らないわけではないけど、人見知りなので自分からはなかなか話しかけにくい」(38歳・ 主婦)
(3) 忙しい
「仕事が忙しくてママ友を作る暇も余裕も時間もその気もまったくない」(50歳・営業・販売)
「シングルマザーで忙しいので、どのみち時間帯など調整がつかない」(47歳・デザイン関係)
このように、ゆるく社交して深くは付き合っていない、一切つきあっていない、忙しくて余裕がないという声が多く聞かれました。
ママ友づきあいをしないことで感じた「よかったこと」「悪かったこと」
null続いて、あえてママ友を作らないという選択をしたことで、よかったこと・悪かったことをそれぞれうかがいました。
■ママ友を「あえて作らない」ことで“よかったこと”
ママ友をあえて持たないことでよかった理由として多く上がってきたキーワードは
・楽、気楽
・自分のペース
・面倒がない
でした。具体的な声をご紹介します。
「人と関わらなくていいので楽。子ども同士は仲良くしてほしいけど、親は別にいいかな」(26歳・総務・人事・事務)
「完全に自分のペース、自分の考えで育児できる。知り合いを極力増やさないようにしているので外出してもエンカウントする可能性が低く快適。よその家の悩み事や自慢などどうでもいい情報が入ってこなくて楽」(43歳・金融関係)
「世間話、井戸端会議など、長時間のおしゃべり(無駄な時間)に付き合わなくてすむ」(37歳・営業・販売)
「人の意見に惑わされない」(48歳・コンピュータ関連技術職)
「複雑な家庭環境を知られずに済む」(31歳・営業・販売)
■ママ友を「あえて作らない」ことで“悪かったこと”
対して、ママ友を持たないことで“悪かったこと”としてあがってきたのは、以下のキーワードです。“よかったこと”よりも多様な声がありました。
・情報
・話す相手
・相談
・役員
・孤独、孤立
寄せられた回答をご紹介します。
「情報収集できない」(31歳・総務・人事・事務)
「学校のことでわからないことがあったときに聞ける人がいない」(31歳・営業・販売)
「旗振り当番のときに、交換してもらえそうな人がいなかったので少し困った」(46歳・その他)
「夫に友達作るなって言われてるから、そういうことはわからない」(43歳・その他)
「相談相手がいないのは寂しい」(33歳・その他)
「参観日や謝恩会など集まりがあったときに孤立」(47歳・主婦)
「ポツンと1人行動が多い」(42歳・主婦)
「子どもたちの交流がわかりづらい」(47歳・デザイン関係)
今回のアンケートでは、ママ友を持たないことで「面倒がなく気楽」だけど「入手できる地域の情報が乏しく話し相手がいない」という声が多く聞かれました。
「ママ友関係から逃避」したくなる背景は?
null「面倒なら、つきあわなければいい。子どもの友達の親なんだから」
母親同士のつきあいについて、インターネット上では、こんな声も聞かれます。とはいえ、そのようなポリシーを貫くことが難しい場面もあります。
子どもが所属するコミュニティには様々な“暗黙の了解”があり、子どものため、情報収集のため、謝罪やお礼のため……など、“子どもの親”として交流が必要な場面に遭遇することもあるからです。
家庭外の“ママ友関係”に助けられた人も多くいるのでしょうが、近年はむしろ特定の相手と密着したりトラブルが起こることに不安を感じている女性は少なくないようです。
また、子どもを介した関係性だからこそ、親同士が「親は親、子は子」と思えない場合には普通の友達関係よりもトラブルの火種が多くなります。
今回の回答者はママ友関係からいったん距離を置くという方法を通じて、自分らしさを保っているようです。一方で、ママ友関係から距離を置くことで“情報収集”“孤立感”という点で不便が生じるリスクもあるのが現代の子育ての難しいところでもあります。
コロナ禍のなか、新しい人間関係を作りたくても難しいという側面もあります。いざというときに頼る相手がいないという“孤立“状態に陥らないように注意しながら、一方で人間関係の煩わしさや息苦しさから距離を置き、自分と向きあう“孤独“をあえて求める。そんなちょうどいいバランスを探っている母親たちの姿が浮かび上がってくるようです。