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PTAの「例年通り」を変えてよくなった経験、ある?PTA経験者129人に聞いた!

新型コロナウイルスの影響で、お子さんが通う学校では例年通りのPTA活動が難しくなっているのではないでしょうか。1度目の緊急事態宣言が解除された直後の昨年7月、小中学校のお子さんを持つ女性に『kufura』が実施したアンケートでは、9割以上の学校ではPTA活動の内容が縮小している・休止していると回答していました。

「例年通り」を変えた経験を聞いてみたら…

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昨年7月に公開された過去記事『コロナ渦中の「PTA活動」どうなった?現状をどう思う?小中学生ママに緊急アンケート』でご紹介したアンケートでは、新型コロナウイルスの影響で学校ごとにPTAの活動量や活動内容に差が生じていることがわかりました。

役員経験者からは「コロナ禍を機に業務量や会議を減らして欲しい」といった声も聞かれました。

来年度の役員選出が迫っている今回は、PTA活動の経験がある129人の女性にアンケートを実施。PTA活動のなかで、小さなことでも前例を変えたことで良くなったことについて質問しました。

今回のアンケートでは以下のような意見が寄せられました。

(1)議事録を手書きからデジタルに

「議事録が手書きだったので、全部パソコン入力に変更した」(46歳・主婦/子8歳)

PTA活動参加者のパソコンのスキルにはバラつきがあり、「手書きでノートに書き込む」という現場は少なくありません。一方、ラインの“ノート”機能などを通じて、スマートフォンで議事録を共有するグループもあるようです。

(2)連絡網を廃止して「LINE連絡」に

「連絡は全部LINE」(42歳・主婦/子7歳)

「電話連絡網を廃止。実際に電話で連絡事項を伝えようとすると、働いている人が多いなか繋がらず、効率が悪いうえ、個人情報の扱いも難しいので、メールの一斉送信に切り替えた。無駄が減って楽になった」(29歳・総務・人事・事務/子2歳・7歳)

スマートフォンがほとんどの保護者に普及したことで、LINEでの連絡が可能となり、連絡や資料の共有が劇的にラクになったという声もありました。

年度初めにPTAの連絡網を作成するために部員の連絡先を収集し、担当者がパソコンで作成する手間も省けた例も。

(3)会議回数の削減

「会議回数の削減。まとめて議題解決する努力ができる」(38歳・主婦/子9歳・12歳)

「ベルマーク活動に参加していて、父兄が午前中に収集作業。これを廃止して各教室で子どもたちが総合の授業にベルマーク収集作業をしてくれるようになり子どもたちもベルマークに関心を持つようになりました」(47歳・公務員/子14歳・17歳)

定例会議、臨時の会議、行事運営、作業、三役の打ち合わせなど、例年であれば学校に行く機会が多いPTA。しかし、コロナ禍では会議の実施が難しくなっている現場も多いでしょう。今年度は“委員長・副委員長・書記”の三役が業務内容を決定し、LINEのグループ内で資料配布をしたり、仕事を振り分ける……という方法で会議回数を減らしている組織もあるようです。

2021年度も引き続き感染症予防の観点から会議や総会の運営方法は変化を迫られそうですね。

(4)不平等感をなくすためにポイント制導入

「ポイント制。本部役員の場合、子ども1人につき1ポイントなので、1人っ子のママは1ポイントしかもらえないのに、3人兄弟のママは3ポイント。同じ仕事量なのに不公平なので、1人っ子の場合は2ポイント付くように変えた」(48歳・主婦/子14歳)

”ヒラの役員“でなく、”重役”を担うことでより多くのポイントを得て、後に役員の免除の可能性が高くなるのなどのメリットがあるポイント制。

しかし、賛否両論もあります。ポイント制を導入することで、本来“任意”であるPTA活動参加への圧力が高まってしまうという声もあります。こうしたことから、いったん導入したポイント制を廃止した学校の例も耳にします。

(5)家庭環境を踏まえ、学校に直談判した例も…

「シングルマザーでフルタイム勤務で出張が多く激務。それなのに『PTA役員に選ばれたからやれ』と言われ、『事情を分かったうえでやれというのか。毎日死にそうに忙しいのにPTAまでやったら死んでしまう』と教頭に電話で話した。やれないしやらない。仕方なくひきうけて無責任なことはできない」(50歳・営業・販売/子16歳)

家庭環境、健康状態、仕事、介護、乳幼児の育児……などの現状を踏まえて、平日の活動が難しいために“PTA活動に参加しない・加入しない”という選択をする例も。保護者が置かれた環境によって活動の負担感は異なります。こうした回答は129人中1人と少数ではあるものの、波風が立つのを承知で学校側に不参加の意志を伝えるという例もありました。

半数は「前例を変えた経験はなし」と回答

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ここまで前例を変えた例をいくつかご紹介しましたが、アンケートの回答結果を見ると、実際には半数近くの50人の女性が「前例を変えて良くなった経験がない」と回答しています。

その理由として、“前例主義”を変えることに対する難しさや前例を変えるリーダーとなることの不安感・恐怖感について言及している女性の声が目立ちます。

「前例踏襲が当たり前の空気なので、自分の意見は恐ろしくて言えません」(43歳・主婦/子11歳・13歳)

「前例を変えることは難しいため、やったことがない」(45歳・主婦/子12歳・16歳)

「京都で北海道出身者が毎年行う講座を行わないようにしている人がいたが、批判に遭い立場が危うくなっていた。前例を変えると、非難を浴びて大変な状態になっていた」(47歳・主婦/子13歳)

確かに、皆さんがおっしゃる通り、1~2年の限られた任期の間に“例年通り”を変えるのは大変です。

意見を吸い上げて、必要に応じて部員の同意を得たり、先生にも“お伺い”を立てたり……と、とにかく根回しが必要。

筆者にはPTA活動が盛んな園で会長を務めた経験があります。そのころ、前例を変える際の根回しの大変さや苦労話を役員仲間や地域の友達に話していましたが、任期を終えて4年経った今、当時の経験談に尾ひれがついて自分の耳に戻ってくることもあります。

PTAの苦労談は人から人に伝わりやすいうえに、現場では発言しにくい空気があり“見ざる”“言わざる”を貫く保護者も多いと推測できます。

実際、“小さな民主主義”が建て前であるPTAの業務内容を変更することが大変であることに変わりはないのですが……。

 

このように”例年通り”を覆すのが難しいPTA活動ですが、2021年度も引き続き活動が制限されることが予想されます。

現在の「原則にのっとり、まだやっていない人が、与えられた仕事をこなす組織」から、「できる人が、できるときに、できることを楽しくやる組織」へと変わるには、皮肉ではありますが、コロナ禍が転機となる可能性もあります。

このような時期にリーダーや重役を務めるのは、とても大変なことですが、子どもたちが息苦しい学校生活を送る中で、学校とPTAとで連携しながら“本当に必要な活動”を選択し、子どもたちにとって有意義な学校生活を支える方法を模索していけたらいいですね。

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