こちらを「間違い」と決めつけて叱らないで…
null今回のアンケートでは、母親の育児や言動を“間違い”と決めたつけたうえで叱られた、という例が多数寄せられました。
「知らない人に『言葉が遅い。テレビばっかり見せてるんでしょ』と言われた」(41歳・主婦)
「スーパーを出たとき、早急に返さないと行けないメールが届き、子どもに『ちょっと待ってね』と言い返信していたら、おばあさんに『携帯ばっかりみてないで子どもの面倒みなさいよ』と言われた。ほんの1〜2分なのにあなたの育児はダメと言われているみたいで悲しくなった」(34歳・主婦)
「手押し付き三輪車で散歩中、バランスが崩れて三輪車ごと転んだ。すぐ起こして、泣かなかった息子をほめていたら、井戸端会議していたおばさんに、『ちゃんと見とったらなあかんわ!かわいそうに!』と言われた」(35歳・主婦)
「子どもが泣いてうるさくて迷惑をかけたら嫌なのでお菓子をあげたら『今の親はすぐお菓子をあげるんだね』と言われた」(46歳・公務員)
「子どもが歩きながらペットボトルのお茶を飲んでいて、危ないから止まって飲むように注意してたら、『お茶を我慢させて熱中症になったらどうするんだ』と通りすがりの人に注意された」(48歳・主婦)
周囲の人たちからの否定的な眼差しは、子育て中の親を追い詰める可能性もあります。頭ごなしに否定されたお母さんたちのショックは大きいのではないでしょうか。
相手にとっては「アドバイス」のつもりなのだろうけれど…
null続いて、育児方法に関するアドバイスや注意を受けた例です。
「子どもがまだ離乳食の時期、スーパーで全然知らないおばあさんに『お宅の子太ってるわね~。子どもの頃に食べすぎると、太る体質になっちゃうわよ』といきなり言われ、初めての育児で一生懸命頑張っていたのに、自信をなくしたし不安になった」(41歳・女性・主婦)
「前向き抱っこができる抱っこ紐なのに、『前向き抱っこをしていたら危ない』と言われた」(31歳・女性・主婦)
“常識”という前提でアドバイスされると、言われたほうはモヤモヤとした気持ちになることもあるようです。
「価値観」の押し付けはやめてください…
null“~すべき”“~のほうがいい”といった価値観の押し付けに関する回答もありました。
「『ご飯くらい作れ』と離乳食の時期の子どものご飯を買っただけで言われた」(20歳・その他)
「子どもはひとりっこで、それで十分だと思っているのに『2人目は?』とか『兄弟いないの?』と言われると少し落ち込みます」(38歳・主婦)
「『母乳?』と聞かれること。どちらでも関係ない」(30歳・主婦)
「一生懸命に育児をしているのに『すべてのことを我慢して育児しなさい』と言われたこと」(40歳・主婦)
「息抜きにパソコン教室に通っていたら『そんなこと自分の時間に使う時間があったらちゃんと子どもの世話をしよう』と言われた」(40歳・主婦)
ご飯は手作りがベスト、母乳がいい、我慢してこそ母親、ひとりっこではかわいそう……。こんなふうに、自分にとっての正解を相手に押し付ける言葉はまだまだ使われているんですね。
「かわいそう」って言わないで…
null言われて悩んだ言葉として頻出していたのが“かわいそう”という言葉でした。
「子どもがメガネをかけていたので『かわいそうね』と言われ、かなしくなった」(46歳・その他)
「夏場なのに靴下をはかせてない赤ちゃんを『冷えちゃう、かわいそう』と言われた。大人だって暑いし靴下なんてはきたくないくらいなのに、よその人からはそう見えるのかと思った」(32 歳・主婦)
「買い物に行ったとき、うちの子は体格が大きく暑がりなので薄着でいたら『あんなに薄着でかわいそう。親が若いとそんなことも分からないのね』と言われた」(23歳・営業・販売)
「病院で上の子がうるさくて叱り、下の子と話していたらおばあさんに『もう少し上の子をかわいがったら?』と言われてムカついた。何も知らない人になんでそんな事を言われないといけないのかわからない」(30歳・主婦)
一生懸命育てている愛おしくてかわいい子どもを“かわいそう”と形容されたら、ちょっと心が削られてしまいそうです。“かわいい”と“かわいそう”。文字は似ているのに、言われたときの心境は正反対なのではないでしょうか。
子どもは思い通りにならないこともあるのに…
null最後は、ぐずっている子どもの声を「うるさい」と叱られた例です。
「私が病院受診をした際、まだ小さい子どもを連れて行ったら、少し騒いでしまった。看護師に『静かにさせて下さい』『お母さん、本当に静かにさせて下さい』と何度も言われた。静かにさせるよう、努力しているのに何度も言われ、子ども連れでは病院にかかれないのかと悲しくなった」(42歳・主婦)
「子どもとスーパーに行ったとき、下の子がギャーギャー言いながらカートに乗ってたら、知らないおばさんに『うるさいわね』って言われた」(23歳・女性・主婦)
「子どもがだだをこねてお店の床に寝っ転がってしまった時に、知らないおじさんに『やめなさい!』と叱られた。当然かもしれないけど、ショックだった」(34 歳・主婦)
あやしてもあやしても、子どもは泣くときには泣いてしまうもの。「泣き止ませない親が悪い」とういう圧力は、しばしば親と子の孤立感を深める結果にもつながります。
なぜ、無自覚に「心ない言葉」をかけてしまうのか?
null今回、アンケートを集計してみると、子育て中の母親がショックを受けた言葉は“子育ての先輩”でもある年上の男女から投げかけられたものがほとんどでした。
内容を読んだ後にわきあがってきたのは「なぜ、こんなことを言うのだろう」という疑問。近現代家族の変遷を独自に調べ続けている筆者がアンケート結果を見ていくつかの理由を考察してみました。
・親切心からのアドバイスをしているつもりで言っている
・自分の知識や経験を相手に示して優位に立ちたい
・自分が経験した育児と異なるポイントを見つけると指摘したくなってしまう
・子どもは母親が手をかける“べき”という固定概念がある
・“今どきの親”の育児スキルを軽んじている
・子どもの機嫌を自在にコントロールできると思っている
いずれにしても全てに共通するのが、今まさにがんばって育児をしている親に対する想像力の欠如とも言えるかもしれません。
悩める言葉、どう対処したら…
null今回は、子育て中の女性が他人から言われて、驚き悩んだ言葉についてのアンケートの内容をご紹介しました。3歳~小6の3人の男の子を育てている筆者も時々、見知らぬ人に叱られたり、アドバイスを受けることがあります。
個人的な体感では、このような言葉は数百回声をかけられて1回あるかないか。
そういった言葉の根本には、子育て中の親を見て大変な思いをしていた過去の自分を想起しながら、良いことをしたい、認められたい、感謝されたい、ストレスを吐き出したいという思いがあるように思います。
とはいえ、そんな気持ちを投げつけられる子育て中の親の立場からしたら、それはまるで“当たり事故”のようなもの。そういう場面に遭遇したとき、筆者の場合は、“受け流す”“深く考えない“”すぐに誰かに話して昇華させる“という対策をとっています。
皆さんにとって、人から言われたショックな言葉がある反面、言われてうれしかった言葉もあるのではないでしょうか。いずれ“子育ての先輩”になったら、“後輩”の苦労に寄り添いながら、元気が出るような言葉をかけてあげられる存在になりたいですね。