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「勉強しなさい!」よりも、子どもが育つ会話って?コミュニケーション講師・山崎洋実さんの子育て講座#3

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コーチングをベースにした子育て講座が、ママ友の口コミから広がり日本全国から海外でも開催される山崎洋実さん。自身の子育て体験を通したリアルなエピソードが受講者の共感を誘うのはもちろん、エネルギッシュな人柄とストレートな語り口で、笑いあり涙ありのダイナミックな講演が人気の理由。その受講者は延べ6万人にのぼります。

話題の講座を体験した筆者(小学3年&1年の男の子の母)がレポートする本連載。

前回は『子育ては期間限定。だからこそ味わって!』という熱いメッセージがリアルに染みて思わず涙した内容をお伝えしました。

では、”期間限定の子育て”、その終わりって一体どこなんでしょう?

山崎さんは、「子育てのゴールは、“自立(自律)”。自分で考えて、自分で決めて、自分で行動する。そして、自分で責任を取るということです」と説きます。

そして、そのために今からできる練習を、日常のシーンから切り取って教えてくれました。山崎さんがリアルに再現してくれた、ついついやってしまいがちな親の言動も身に覚えのあるものばかりです!

子育てのゴールは、「自立(自律)」!そのためにできることは…

いつまでも宿題にとりかからずダラダラ……。ようやくやり始めても、机に肘をついたり筆圧が弱いのも気になって仕方がない。子どものやる気スイッチ、どうやって押したらいい?

「“勉強しなさい!と言っては怒り、やり始めたら”姿勢が悪い!“って怒ってない?」(山崎さん)

し、しまった! これ、よくやっちゃっています(汗)。 

「それじゃあ、勉強する気は失せるよね。勉強はあくまでも手段です。人は目標や夢があると動きやすいから、“勉強しなさい!”よりも、“これから無くなる仕事は何だろう、残る仕事は何だろう”“どんな仕事に就きたいか”など将来の話をたくさんした方がいい。

小さいころからそういう会話を積み重ねて、小学校卒業までに親が最低限やっておくことは、勉強を嫌いにさせないことです」

こういう話をすると、今日帰ってから子どもに“将来の夢は何かな~?”ってすぐ聞くでしょ? 今日だけ夢の話をしてもダメなんだからね!」

山崎さんが最後に教えてくれたNGな実践パターンに「私、絶対やっちゃう~!」と受講者の皆さんと笑いながらも、子どもがやる気を喪失する言動を繰り返してきたことを反省。そして、親ではなく子ども自身がやる気スイッチを押せるようになるために、夢や目標を持てる会話が必要だと知りました。

やんちゃでも真面目すぎても、その子自身を変えようとしなくて大丈夫!

自分の子は「あなたはホントに落ち着きが無い!」と叱ってしまうのに、人の子なら「元気が良くていいですね~」と褒めるワケは?

「そこには、“その子がいる”という事実しかないのに、見ている大人が、プラスの見方をしているかマイナスの見方をしているかの違いなんです。 “事実はひとつ、見方はふたつ”ということです」(山崎さん)

我が子だってプラスの見方をしてあげればいいとういうのは頭ではわかるのですが、「それ、違う!」と間違いを指摘したくなることが日常茶飯事。そのままで育っていいのか心配で……。

人の気質って基本変わらないのに、親はそこを変えようとしがち。その子のことを変えなくて全然大丈夫! うちの息子はすご~く真面目だから、真面目じゃない子が許せなくて家で怒ったり悩んだりしてる。だけど、私が“あんたその真面目さ捨てなさい、損だから!”と言っても、ワン、ツー、スリー!で手放せないんですよ。だって、持って生まれた気質だから。

その気質について、いいね・悪いねと意味づけしないで、事実を認める言い方をしてあげればいい。 “その真面目さは才能だね!”“その元気の良さは才能だね!”と、その子のパターンを気付かせてあげることで、次につながります

この講座の冒頭で、筆者が自分はマイナス眼鏡をかけて物事を見てしまうパターンだと気づいたように、子どもにもそれぞれパターンがあって、それをまずは大人が認めて、そして子どもに教えてあげよう!ということですね。

自分のパターンがわかれば、どこに行ったらプラスで出るか、どこに行ったらマイナスなのか考えることができます。例えば、私が誰ともしゃべらないで1日中パソコンに向かっているような仕事、向いてると思う!?

それに、自分のパターンに気づいていないと、同じ失敗ばかりしてしまう。うまくいかない時は、違うパターンを試してみればいいんです

日常に転がっている“自分で決める練習”を見逃さないで!

レストランでの子どものメニュー選び、どうしてる?

「”これ食べたら絶対こぼすからやめて”、”それ、食べれないやつじゃん”、”どうせ全部食べきれないんだから、こっちにしな!”って、結局親が決めてない? 何を食べるか聞いたなら“それやめな!”って言わないで~!

すぐ成果がほしい親って、ここで失敗したくないと思っちゃうんだよね。だけど、人って体験からしか学べないの。自分で選んで、自分で決める練習をさせてください

習い事をやめたがっている子ども。やめたら飽きっぽい子になりませんか?

「こういう質問がよくあるんだけど、なんでそんなシンプルなことで悩む?と思います。やめればいいじゃん!です。習い事で人生変わった人っている? あ! 浅田真央ちゃんがいたか!!」

受講者の笑いを誘って、”頑張らせないと!”という親の肩の荷を降ろしてくれた山崎さん。一転、真剣なトーンで語ります。

”日本人は、やめる練習が足りていない”と言われています。頑張ってもいいんだけど、これをこえたらダメだよっていう線がある。これを踏み外したら落ちていくっていう自分に気づくことが大事。その練習を今からするために、“やめてもいいんだよ”という選択肢も与えてあげて。

お母さんだって、頑張り続けなくてもいいんだよ! ごはんは毎日手作りで、部屋は片付いていて……って、それって絶対できなきゃダメ?ってことが多くないですか? 今日は講座に来て笑ってたばっかりだと思うけど、実はすごく疲れてるから、晩御飯は素うどんで決定ね!」

山崎さんらしく笑いでオチをつけてくれましたが、頑張りすぎてしまった人の不幸な出来事が後を絶たない現代社会を思うと、説得力にあふれたメッセージでした。

“ハンカチおばさん”が子どもの自立を妨げる⁉

 山崎さんの「この中に、子どもにハンカチ持っていけって言う人、手を挙げて~!」という声掛けに多くの受講者が挙手。もちろん筆者も、日々、口をすっぱくして言っています。

「出た出た、ハンカチおばさん! ハンカチを忘れて困った時は、友達にハンカチ借りてもいいわけですよ。貸してもらえなかったり、いつも同じ子に借りると悪いかなと思ったら色んな子に頼むようになる。そうやって人に頼ることを覚えるのに、”〇〇ちゃんに悪いでしょ!”ってお母さんが先に困っちゃうんだよね」

 筆者は、“友達に迷惑かけちゃダメじゃん!”と思ってしまうタイプなので、山崎さんの話に頭の中が混乱気味……。

「“人に迷惑をかけてはいけません”と言われて育つと、人に頼れなくなってしまいます。いろんな人に助けられて、許されて育つことで、今度は自分が人を助けて許せるようになるんです。

相手を許せない人ってさ、自分だけが頑張ってると思ってるんだよね。だけど、たったひとりでできる仕事ってある? 勉強はひとりでもできるけど、仕事はひとりじゃできないよね? ひとりで全部できなくてもいい、これからは人に頼る力が大事です

なるほど~! 人に頼って頼られて支え合って生きていくはずなのに、なぜ我が子には”人に迷惑をかけないで自分でやる”を求めてしまっていたんだろう……。仕事を完璧にこなすAIが活躍する未来、”できないこと”を心得ていることが、人間ならではの生きる道なのかもしれません。

子どもの自立の準備は5歳から。10歳までに親はヘルパーからサポーターになる心構えを

これまで山崎さんが教えてくれた自立(自律)への準備。始めるのは5歳が目安といいます。

「親は、子どもが生まれた時の100%ヘルプ状態から5歳を目途に徐々にサポートに回って、10歳までにはヘルプはやめてサポートをする存在になることを目指します。”自分の言動が、この子の自立(自律)に役立つかな“といつも問いかけて

山崎さんは、息子さんが1年生の頃のエピソードで教えてくれました。

下校の際にいつも一緒に帰ろうとするクラスメイトに悩まされていましたが、山崎さんは相手の親に連絡したり先生に伝えるなどヘルプをするのではなく、サポートに徹したそうです。すると息子さんは、下校時にトイレに隠れてみたり学校に残る制度を使うなど、知恵を絞って自分自身で解決方法を考え出したそうです!

子どもが困っていたりトラブルを起こすと、ついなんとかしてあげたくなってしまうのが親心。先回りして口を出してしまうことだって多々あります。だけど、それをいつまでやるか、筆者が思っていたよりもずっと早いことに驚きました。サポーターになる時は、もう目の前です!(焦)

コントロール不可能な子どもの前で、親ができることは…⁉

「親って無力!」と言い切る山崎さん。だけど、親の役割としてできることも教えてくれました。

●子どもの言動は”YES”で受け止めつつ、”こういう考え方もあるよ”、”こういう方法もあるよ”と選択の幅を広げてあげる。

●目標や夢、危機感を持った時に自分を変えることができる。”あなたはそのままでいいよ。だけど、困ったら変えなさい”と教えておく。

子どもをコントロールすることを手放して、”この子は大丈夫!”という前提で関われば、信頼感のある親子関係の中で、やがて自立(自律)に導けると納得しました。

山崎さんの子育て講座「ママのイキイキ応援プログラム」レポートはいかがでしたか?

言う事をきかない子どもに困った時、なぜかいつも子どもを怒っていまう時など、あなたに合う育児のヒントをぜひ参考にしてくださいね。

【取材協力】

山崎洋実(やまさき ひろみ)

1971年生まれ。旅行代理店、大手英会話学校勤務を経て、コーチング講師に。2004年に「ママのイキイキ応援プログラム」をスタートし、ママの特徴に合わせ、豊富な事例とともに体系的に伝える講座が評判に。”ひろっしゅコーチ”の愛称で全国規模で講演を行うほか、小学校や保育園、企業研修などオファーの幅も拡大中。メディア出演や著書も多数で、『ママでいるのがつらくなったら読むマンガ』(主婦の友社)の改訂版が2020年4月に発売予定。youtubeチャンネルも開設準備中。

 

撮影/アレキサンダー麻美

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