“おりもの”のにおいが気になるときは……
null前回、連載13回『娘の「おりもの」と初潮の関係』でもご紹介したように、ショーツが汚れたりと“おりもの”は厄介な反面、重要な働きもしていましたよね。では、そんな“おりもの”がいつもと違うにおいがする……そんなご経験はないでしょうか。
「“おりもの”がにおう、量が増える、色が変わるなど、異変を感じたときは、細菌性腟炎の可能性が考えられます。 異変を感じられたら、婦人科で“おりもの”の検査をすることができます。
腟の中には常在菌がいて、バランスが保たれているときは問題がないのですが、雑菌が入って繁殖してしまうと、バランスが崩れ、におってきたり、かゆみが出たりします。 クラミジアやトリコモナス、淋菌がいると、雑菌も増えやすくなる傾向に。異変を感じたらまず検査をして、感染症かどうかを診断します」(高尾先生。以下同)
腟の中で雑菌が増えてしまう、その要因
nullでは、腟の中で雑菌が増えてしまうのは、どんなときなのでしょうか?
「よくある要因として挙げられるのは、性交渉ではないでしょうか。ですから、初潮を迎えたばかりのお子さんの“おりもの”の変化の原因としては考えにくいです。ただ、お子さんでも該当する要因としては、お尻を拭く際に後ろから前へ拭いている場合があります。こういう習慣の方は、腟内に雑菌が入りやすいと言えるでしょう。
そのほか重要になってくるのが生理の周期。実は生理は、腟の中を洗い流すシャワーのような役割も果たしています。なので、たとえ雑菌が増えても、生理周期がきちんとしていると、ひと月に1回は子宮の中が一掃される。ですから、生理周期が安定していると、さほど大事にはならないことが多いのです」
生理の周期が安定していないお子さんだけでなく、私たち母親世代も、生理の間隔が空いていたり、授乳中などで生理がない状態のときは、通常より雑菌が増えやすい状態ともいえます。“おりもの”の状態に変化がないか、日常的に気にしておくことも、習慣にしたいですね。
「カンジダ症」にも注意を
null陰部のかゆみでいうと、もうひとつ懸念されるのがカンジダ症です。
「カンジダは真菌(カビ)の一種で、腟内に常在菌としているものです。なので、いること自体が悪いわけではありません。 もし“おりもの”の検査でカンジダが陽性だという結果が出ても、かゆみなどの困っている症状がなければ、治療しなくてもいいものです。
ただかゆみが強く出るのが特徴なので、我慢できないくらいのかゆみの場合は、婦人科での治療が必要です」
「カンジダ症」が起こりやすいとき
null体内の常在菌であるカンジダ。ではどういう時に、いつもとは違う症状が?
「常在菌のバランスが変わるときに症状が出やすくなります。たとえば生理前は、生理による自浄作用が起こる直前なので、バランスを崩しやすい。
また妊娠中は、“自浄作用”である生理がないということもあり、カンジダ症がよく起こりますので、注意が必要です」
腸や肌だけでなく、腟にもいる常在菌。風邪をひいたり、抗生物質を飲み続けたりだけでなく、ストレスや寝不足などでも、常在菌のバランスは崩れてしまうもの。うまく付き合って、健康な状態をキープしていきたいですね!
次回は、「生理とPMS(月経前症候群)」についてお届けします。
イラスト/ Naho Ogawa
産婦人科医 高尾美穂
産婦人科専門医であり、婦人科スポーツドクター。女性のための統合ヘルスクリニック『イーク表参道』副院長。Gyne Yoga主宰。
「すべての女性によりよい未来を」と、TVや雑誌をはじめ、ツイッター(@mippolin78)やstand.fmなどのご自身のメディアにて、正しい知識や知っておくといいことなど、精力的に発信されている。