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女性の「おりもの」の変化でわかる病気と、その原因は?【産婦人科医・高尾美穂が教える、今どき生理の基本#14】

私たちが、自分の知識で大丈夫?と不安に思っている「生理の基本」や、医学的に正しい、新しい情報を身につけよう!というこの連載。第14回目は“おりもの”で気になることと、そこから推測される病気について。

今回も、産婦人科医で『あさイチ』などメディアでもおなじみの高尾美穂先生に教えていただきました。

“おりもの”のにおいが気になるときは……

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前回、連載13回『娘の「おりもの」と初潮の関係』でもご紹介したように、ショーツが汚れたりと“おりもの”は厄介な反面、重要な働きもしていましたよね。では、そんな“おりもの”がいつもと違うにおいがする……そんなご経験はないでしょうか。

“おりもの”がにおう、量が増える、色が変わるなど、異変を感じたときは、細菌性腟炎の可能性が考えられます。 異変を感じられたら、婦人科で“おりもの”の検査をすることができます。

腟の中には常在菌がいて、バランスが保たれているときは問題がないのですが、雑菌が入って繁殖してしまうと、バランスが崩れ、におってきたり、かゆみが出たりします。 クラミジアやトリコモナス、淋菌がいると、雑菌も増えやすくなる傾向に。異変を感じたらまず検査をして、感染症かどうかを診断します」(高尾先生。以下同)

腟の中で雑菌が増えてしまう、その要因

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では、腟の中で雑菌が増えてしまうのは、どんなときなのでしょうか?

「よくある要因として挙げられるのは、性交渉ではないでしょうか。ですから、初潮を迎えたばかりのお子さんの“おりもの”の変化の原因としては考えにくいです。ただ、お子さんでも該当する要因としては、お尻を拭く際に後ろから前へ拭いている場合があります。こういう習慣の方は、腟内に雑菌が入りやすいと言えるでしょう。

そのほか重要になってくるのが生理の周期。実は生理は、腟の中を洗い流すシャワーのような役割も果たしています。なので、たとえ雑菌が増えても、生理周期がきちんとしていると、ひと月に1回は子宮の中が一掃される。ですから、生理周期が安定していると、さほど大事にはならないことが多いのです」

生理の周期が安定していないお子さんだけでなく、私たち母親世代も、生理の間隔が空いていたり、授乳中などで生理がない状態のときは、通常より雑菌が増えやすい状態ともいえます。“おりもの”の状態に変化がないか、日常的に気にしておくことも、習慣にしたいですね。

「カンジダ症」にも注意を

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陰部のかゆみでいうと、もうひとつ懸念されるのがカンジダ症です。

「カンジダは真菌(カビ)の一種で、腟内に常在菌としているものです。なので、いること自体が悪いわけではありません。 もし“おりもの”の検査でカンジダが陽性だという結果が出ても、かゆみなどの困っている症状がなければ、治療しなくてもいいものです。

ただかゆみが強く出るのが特徴なので、我慢できないくらいのかゆみの場合は、婦人科での治療が必要です」

「カンジダ症」が起こりやすいとき

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体内の常在菌であるカンジダ。ではどういう時に、いつもとは違う症状が?

「常在菌のバランスが変わるときに症状が出やすくなります。たとえば生理前は、生理による自浄作用が起こる直前なので、バランスを崩しやすい。

また妊娠中は、“自浄作用”である生理がないということもあり、カンジダ症がよく起こりますので、注意が必要です」

腸や肌だけでなく、腟にもいる常在菌。風邪をひいたり、抗生物質を飲み続けたりだけでなく、ストレスや寝不足などでも、常在菌のバランスは崩れてしまうもの。うまく付き合って、健康な状態をキープしていきたいですね!

次回は、「生理とPMS(月経前症候群)」についてお届けします。

 

イラスト/ Naho Ogawa


 

産婦人科医 高尾美穂

産婦人科専門医であり、婦人科スポーツドクター。女性のための統合ヘルスクリニック『イーク表参道』副院長。Gyne Yoga主宰。
「すべての女性によりよい未来を」と、TVや雑誌をはじめ、ツイッター(@mippolin78)やstand.fmなどのご自身のメディアにて、正しい知識や知っておくといいことなど、精力的に発信されている。

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