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娘の「おりもの」と初潮の関係。知っておいて欲しいのは…【産婦人科医・高尾美穂が教える、今どき生理の基本#13】

私たちが、自分の知識で大丈夫?と不安に思っている「生理の基本」や、医学的に正しい、新しい情報を身につけよう!というこの連載。第13回目は、子どものおりものと初潮について。

今回も、産婦人科医で『あさイチ』などメディアでもおなじみの高尾美穂先生に教えていただきました。

“おりもの”ってなに?

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生理とは別に気になるものに“おりもの”があります。この“おりもの”がなんなのか、ご存じでしょうか。

「“おりもの”というのは、分泌物です。子宮粘膜や子宮頸管から分泌される粘液や腟からはがれ落ちた古い細胞、外陰部の皮脂腺からの分泌物などが集まったものを指しているんですよ」(高尾先生。以下同)

“おりもの”とはつまり、分泌物の総称だったんですね……。
でも“おりもの”って、そもそもいつ出るものなのか、どんな状態のものなら正常なのかなど、よくわからなかったりしませんか?

「“おりもの”の状態は、生理周期によって変化しています。生理後から排卵にかけては透明で糸を引くような粘性のある状態。このときは、phが弱アルカリ性に変化します。

精子は酸性に弱い性質があります。排卵期にのみ、腟内が弱アルカリ性に変化することで、精子が生き延びられるようになっているのです。 排卵期を終えると、phはまた酸性に戻っていきます。そのときは白いポテッとした重たい感じになります。 このように“おりもの”は、日々分泌されているものなのです

“おりもの”の、大切な役割

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“おりもの”が分泌物などの集まりであること、周期があることはわかりました。では、そもそもどんな必要性があって、分泌されているものなのでしょうか?

「“おりもの”は、子宮の入り口の門番みたいなものなんです。“おりもの”が分泌されることで、子宮の入り口にフタをして、雑菌などの異物が入ってこないように守ってくれています。 そして、排卵期のときだけ精子を迎え入れるために状態を変化させて、受精の準備をするのです」

生理周期に沿ってそんなことが毎月行われているなんて、人間のカラダというのは神秘的。本当によくできているな、と感心してしまいます。

子どもの“おりもの”はいつから?

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ではこの“おりもの”の働き。娘のカラダには、初潮とどちらが早く訪れるなのでしょうか?

「生理がない年代でも“おりもの”はあるんです。なので、おりものの方が初潮より先です。

小学校低学年くらいからショーツに“おりもの”がつくと心配されて、クリニックを受診されるお母さんもいらっしゃいます。 ですが、何も心配されることはありません。前述の通り、腟がちゃんと守られているということですから!」

ただ、ショーツに急に汚れがついて困惑する子どもも多いよう。お家の人に恥ずかしくて言えなかったり、どう言っていいのかわからなかったりすることが……。なので、10歳を過ぎ、そろそろかなと思ったら、洗濯の際にお母さんがよく観察しておくとよいでしょう。

“おりもの”がきたら、生理のことと一緒に、その仕組みを説明。娘の不安を取り除いてあげたり、心構えができるといいですよね。

次回は「“おりもの”と病気の関係」についてお届けします。

 

イラスト/ Naho Ogawa

 


 

産婦人科医 高尾美穂

産婦人科専門医であり、婦人科スポーツドクター。女性のための統合ヘルスクリニック『イーク表参道』副院長。Gyne Yoga主宰。
「すべての女性によりよい未来を」と、TVや雑誌をはじめ、ツイッター(@mippolin78)やstand.fmなどのご自身のメディアにて、正しい知識や知っておくといいことなど、精力的に発信されている。

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