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抗菌・除菌・殺菌ってどう違うの?多くの人が実は知らない「食器用洗剤」の真実

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日頃、私たちは化粧品や医薬品など多くの化学製品に囲まれて生活しています。しかし、それらの成分や特徴まできちんと理解できているという人は少ないはず。「ドラッグストアで安く売られていたから」「CMでよく見かけるから」、そんな理由で製品を手にとっていることが多いですよね。

でも、入っている成分の性質や特徴を理解して使うことで、より家事が楽になったり、効率的になったりすることも多いんです。……ということで、今回は洗剤化学のスペシャリストとして各方面で活躍中のかずのすけさんに、食器洗剤について教えていただきました。

食器用洗剤ってどうして手荒れするの?

手荒れを引き起こす原因は「肌バリア機能」の低下

お皿洗いは、食器用洗剤に長時間触れるため、手荒れを引き起こす重要な要因となります。なぜ食器用洗剤に触れることで手荒れが起きやすくなるのでしょうか?

「多くの食器用洗剤には洗浄成分として界面活性剤が高濃度で配合されています。界面活性剤ときくと、悪者のように感じる人もいるかもしれませんが、食器用洗剤に使われている界面活性剤は万が一お皿に残留したとしても問題ないように、非常に安全性の高い成分が用いられています。

でも、フライパンのぎっとりした油汚れもしっかり落とせるように洗浄力は非常に高く設定されていることも多く、お皿洗いと同時に皮膚表面にある天然の保湿成分(NMF/肌の角質細胞内にあり、角層の水分を守っている保湿成分)や皮膚膜も除去してしまうことになるので、肌のバリア機能が低下して手荒れを引き起こす原因になってしまうことがあるのです」(かずのすけさん)

ちなみに「界面活性剤」とは、水分と油分を混ぜる力を持つ成分の総称。自然界にも様々な界面活性剤があり、一般に思われているほど特別な成分ではないのです。

殺菌・消毒のしすぎは手肌への刺激に

“手のひらにはこんなにたくさんの菌があります”と恐怖感を煽るCMなどをみかけたことがある人も多いかと思います。まるで、菌が悪者のような印象を受けますよね。でも、そもそも人間は体内外に100兆を超える微生物を飼っていて、菌と一緒に暮らしているようなものなんです。

「中には人にとって大事な役割をしている菌もたくさんいます。“皮膚常在菌”はその代表格で、皮脂などの分泌物を分解して、グリセリンなど肌バリアを助けるうるおい成分を作るなどの働きで、皮膚の健康を維持してくれています。さらに常在菌が正常に活動していると、外部から来た雑菌などが繁殖しにくいともいわれています」(かずのすけさん)

最近は殺菌効果のあるハンドソープが人気だったり、殺菌・消毒ジェルをこまめに塗ったりする人が増えていますが……。

殺菌・消毒のしすぎは手肌の正常なバリアを助けている“皮膚常在菌”の働きを弱めてしまうため、これも手荒れの悪化要因になる場合があります」(かずのすけさん)

菌はすべてが悪者ではなく、良い働きをしてくれるものもあるので、過度な殺菌や消毒はむしろ手肌には負担になってしまうんですね。

「使い捨てのビニール手袋」を使って手荒れを防ぐ

「そもそも手荒れは洗剤によって皮膚のバリア成分を洗い流してしまうことが原因なので、その原因との接触を完全に絶ってしまえば手荒れは起こりません。この方法が最も簡単で確実です」(かずのすけさん)

当初はゴム手袋を使っていたというかずのすけさんも、最近では「使い捨てのビニール手袋」を愛用。ゴム手袋だと、使い回しをすることで雑菌やカビが繁殖してしまうこともあるからなのだそう。

洗剤を使う以上、手荒れしないということはありません。自分にあった方法で手荒れ防止の対策をとってみてください。

抗菌・除菌・殺菌ってどう違うの?

「除菌」と書いてあるからといって、すべての菌が抹消されるわけではない

多くの日用品で見かける「抗菌」「除菌」「殺菌」。まずは、それぞれの違いについて見ていきましょう。

抗菌・・・菌の増殖を抑制、あるいは阻害すること。菌の繁殖を抑制するが、菌の数を減らすことはできない。

除菌・・・菌を対象物から有効数減少させること。すべてを取り去ることはできず、0.1%〜1%程度は残っているので、そこから繁殖する可能性は残る。

殺菌・・・細菌などの微生物を死滅させること。医薬品や医薬部外品にしか認められない表現で、日用雑貨には見られない。

「つまり、日用品の場合は“除菌”か“抗菌”を選ぶことになります。ポイントは、除菌と書いてあるからといって、すべての菌が抹消されるわけではなく、抗菌作用がなければ再度繁殖してしまいます。しかし、菌はすべてが悪いものではないので、あまり除菌や抗菌にこだわる必要はありません。

重要なのは、製品に配合されている成分がどのようなメカニズムでその効果を発揮しているのかを知った上で正しく利用し、自分に合うものを適切に選別することができるかどうかです」(かずのすけさん)

食器用洗剤はもちろん、毎日使う化学製品を選ぶときには、配合成分をきちんと確かめる、使い方をしっかり読む、など、そのアイテムの特徴を把握しながら、上手に取り入れていきたいですね。

自分の知識を増やして、毎日の家事をよりラクに、効率的にするための裁量の手引き書。かずのすけさんの著書『最強の家事』(ワニブックス)では、暮らしに溢れる様々な疑問を、洗浄化学の視点から答えてくれています。詳細な内容は本書でチェックしてみてください!


 

かずのすけ

1990年福井県生まれ。京都教育大学教育学部を経て、2016年に横浜国立大学大学院環境リスクマネジメント専攻を卒業(環境学修士・教育学学士)。専門は有機化学で、大学では界面活性剤とタンパク質の研究、大学院では化粧品リスクと消費者教育に関わる研究を行う。現在は研究活動のかたわらサイト運営や化粧品の企画開発、セミナー講師、執筆業などにも携わる。2013年9月よりブログ「かずのすけの化粧品評論と美容化学についてのぼやき」を運営。過去最高月間500万アクセス。確かな知識を生かした化粧品解析やわかりやすいコラムで、肌・髪に悩む多数の読者の信頼を得ている。著書多数。『オトナ女子のための美肌図鑑』『オトナ女子のための美容化学 しない美容』(ともにワニブック刊)等。

『秒でわかる!最強の家事』(かずのすけ著/ワニブックス)

食器用洗剤、洗濯洗剤、柔軟剤、消臭剤、歯磨き粉、おしり拭きなど、「ドラッグストアで悩んだら、コレをつかえば間違いない!」といったおすすめアイテムも掲載。お金と時間の無駄を省き、キレイへの最短ルートを導き出す!

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