日焼けはやけどって…本当?
null日焼けのダメージは「やけどと一緒」などと言われることがあります。実際のところはどうなのでしょうか?
「皮膚科医の立場としては、日焼け=やけどというのはやや強引かなと思っています。やけどは“熱傷”といって、熱、放射線ならびに科学的、または電気的な接触に起因する、皮膚およびその他の組織の損傷を指します。
なので厳密には違うのですが、熱による皮膚への損傷という意味では、日焼けも軽度のやけどと、とらえていただいてもいいと思います。また、それぐらいの意識を持って、丁寧なケアを行ってほしいです」(以下、「」内は宇井先生)
おさらいしておきたい!日焼けはどうして起こるの?
null改めて、日焼けの定義についても教えてもらいましょう。
「日焼けは皮膚に紫外線が当たると炎症反応として起こり、色素沈着、免疫抑制を起こします。それが慢性的に続くことによって、光老化であるしみ、しわが生じ、積み重なると皮膚がんになってしまうこともあるので注意が必要です」
光老化とは紫外線を浴び続けることにより、皮膚に現れるしみ、しわ、たるみなどの老化現象を指します。たかが日焼けとあなどっていると、のちのち後悔することになりかねません。実際のケア方法についても、先生に聞いていきましょう。
日焼け後の対処はできるだけ早いほうがいい?
nullもう日焼けをしてしまった!という方も少なくないでしょう。日焼け後のケアに関して、いつまでに何をしなくてはいけないといった、“デッドライン”、“リミット”があるかというのは気になるところです。
「リミットは特にないんですよ。日焼けの反応は紫外線照射後の数時間から出現し、12~24時間でピークを迎えます。
ただ紫外線を浴びた直後から、皮膚へのダメージは始まっています。その意味では、早め早めの対策をこころがけましょう、と患者さんにはお伝えしています」
特に日焼け後に、早急に行ったほうが良いケアというのはあるのでしょうか。
「一度浴びてしまった紫外線に対しての進行を止めるのは難しいです。なのでまずは、予防の観点を強く持っていただければと思います。そして、進行を止めるのは難しいとはいえ、日焼けしてしまったら、いかに早くケアをするかも重要となりますね」
日焼けしたら…まず何からする?
では「日焼けしてしまった!」と思ったら、まず何から手をつければいいのでしょうか。
「まず最初は炎症を和らげるために、その部分をクーリング(冷やす)のが効果的です。その際の注意点としては、保冷剤を直接肌に当てるのではなく、必ずガーゼやハンカチなどにくるんで患部に当てること。また長時間当てていると、寒くなってしまうので、特に小さいお子さんなどは様子を見ながら、冷やす時間を調整してあげてください」
日焼けの段階によってのケア
また、日焼け後でよく頭を悩ませるのは「今の状態でどういったケアをすればいいのか?」ということ。日焼け直後のヒリヒリした肌には何もぬりたくないし、ただ何もしないまま放っておくのも……。その点はどうでしょうか。
「時間によって区切るのが良いかもしれません。イメージとしてはこんな形です」
- 日焼けのピークを迎える24時間の前にはしっかり冷やす。乾燥を防ぐ意味で、ローションなどを塗り、保湿をしっかり行います。
- 日焼けのピークとなる24時間を超えると、皮がぼろぼろとむけてきます。この時期には、クリーム、軟膏など保湿度が高いものを用い、皮膚がぼろぼろになるのを防ぎます。
- 皮がむけてからは触らないようにするのも、早く皮膚の状態を落ち着かせる治療の一つです。改めて保湿をしっかり行うととも、皮膚が沈静化するのを待ちます。
紫外線対策の重要ポイント!予防の意識を持とう
nullここまでは日焼け後のケアといった形でお話ししてきました。ただ、宇井先生いわく、日焼けによるシミは一過性でできるものではないそうです。
「夏の間にシミができたという話をされる方も多いですが、シミというのはひと夏ですぐできるというわけではありません。すでにシミとして存在していたシミが夏の間に色の濃さが増強されたと考えるほうが自然です。シミは何年もの日焼けの積み重ねによってできあがるものです。
シミの症状を増強させないためにも年間を通して、日焼け対策は取ったほうがよいでしょう」
まだまだ紫外線の強い季節は続きます。紫外線に対するおさらいをしたら、いまからでも予防&ケアに努めたいですね。
【取材協力】
宇井千穂・・・皮膚科医。活性酸素とSOD(活性酸素を抑える抗酸化酵素)の研究による天然の治療薬を使い、アトピーを中心とした皮膚疾患の診察を行う。最近では美容皮膚科医としても活躍中。『女医+(じょいぷらす)』所属。
構成/青木麻紀