見た目の変化への“梅宮アンナ流”の向き合い方
null抗がん剤治療が始まると、副作用で髪の毛が抜けてしまうことがあります。 梅宮さんは事前に長さのあった髪を美容院でショートカットに切ってから入院。そして長い治療の過程での生活を自分の心を守って自分らしくいるために、まず一番必要だと思ったのがウィッグでした。
「日本では最近はファッション用のものも増えていますが、まだまだハロウィンなどのパーティグッズの用途が多く、種類は少ないです。質感が良く、洗ったりカラーリングしたり、カールなど(自分の髪のように)スタイリングができるものが欲しいものの、自然な人毛でできたものは1つ8万から10万円程度と高くなってしまいます。お金がとてもかかるんです。
もともと探求心が強い方なので、1,000円程度のものからいろいろ買ってみて自分に合うウィッグを探してみましたが、やはり髪が光ってみえてしまって自然じゃないんですね。よりリアルに見せたいと思い、長さが違う人毛のもの5つぐらいその日の気分で使い分けています」(以下「」内、梅宮アンナさん)
実はウィッグはがん治療中にポジティブに過ごすために必要なものと認定されており、自治体によっては購入のための助成金を申請ができます。梅宮さんが住む東京都渋谷区の場合、金額は1回10万円、1人2回までの助成があるため、この制度を活用しました。
「抗がん剤だけで髪がなくなるわけではなく、加齢による薄毛や脱毛症という病気もあります。もう少しウィッグが身近になり、簡単に生活に馴染めるようなものがどんどんできてほしいですね。いまはちょっと髪が伸びてきましたが、薬の蓄積により、髪がくりくりにカールしてしまった状態。元の状態には1年くらいかけて戻ると聞いていますが、今でも毛質が異なる状態が続いています。髪が伸びてきたら、また別の悩みが起きています」
梅宮さんは、ウィッグ以外のファッションアイテムもアピアランスケアに活用したそう。
「抗がん剤をする前に眉毛は眉毛アートをしました。ネイルも、治療薬の副作用で手の爪が黒くなってしまうときには、黒いマニキュアをしてみたり。あと、本来は患者さんはジェルネイルをしてはだめなのですが、爪が弱くなって割れてしまうので補強のためのジェルをしたいと先生にお話をして。そういった使い方があるんですねと許可をいただいて爪はケアしていました。
あとは、病院に行く際の気持ちを上げるためにネオンカラーのショッキングピンクのマスクをするなど、身に着けるものでモチベーションを保っています。
本当にがんの治療を通して思うことは、お金がかかるし、治療も長い。私はラッキーなことにがん保険に入っていました。それでも高額になる薬や入院費、ウィッグ代とか、色々とお金がかかります。助成金のことなど、知っておくべきがん治療についての知識は広めていきたいですね」

情報過多な時代だからこそ自分で正しく知り、納得の上で標準治療に向き合う
null梅宮さんはがん治療の初期段階で治療中であることを公表しましたが、それはこの経験を誰かのために1つ1つ生かしていきたいという想いがありました。
「私は著名人の方たちががんになると『がんになりました。頑張って治します』と言ってしばらく休み、1年か2年で元気になると戻ってくるのが、いまの時代には合っていないのかなと思っているんです」
自分の治療の選択やその経過をSNSで共有することが、がん治療への理解を広める1つであり、この挑戦をすることが自分の仕事とはまた別の活動として意味のあるものになるのでは?と考えた梅宮さん。
一方で、がんになったことを公表したことによって占いや宗教への勧誘、「この曲を聞いたらがんが治る」といった言葉や、「あなたがなぜがんになったのか占います」という人、お水やサプリメントなどあらゆるものや情報が梅宮さんのもとに毎日届いたそうです。しかし、梅宮さんはがんとは「標準治療」で闘うと決めていました。
「一生懸命やれば何かが起きるだろうと思い、治療に取り組みました。『何がなんでも』という気持ちになると、色々なものに手を出してしまうことになります。シンプルに考えて、標準治療一本、サプリメントも飲まない。その最大の理由は、標準治療がどういうものであり、どういう治療をして、その結果どうなるかを、自分の嘘なく皆に公表しようと決めていたから。その有効性を一応証明してみましたね」

人は人、自分は自分、正しい選択を
null梅宮さんは人間ドックを定期的に受診していましたが、乳がんの早期発見はその時点ではされず。検査から数カ月後にがんと診断されました。
「きっと、その検診のあとにできたがんなんですよ。世の中には『がんは15年かけてできる』という説もありますが、おそらく次の日にがんができたのだと思っています」と、診断ミスなど悪い方には考えていません。
梅宮さんは最後に「人生いろいろ、それぞれ本当に違うのに、変な話、一緒くたにされたり、いろんな意見が来る。『人は人、自分は自分』と言いつつも、みんなシェアしたいという思いがある」と言います。
梅宮さん自身、自分の状態や治療方法について詳細に公表しても、あくまでも「自分にとって何が正しいのか。『私がこれをやったからあなたもやってください』と言いたくない」と伝えたいそうです。
「これだけ治療結果のエビデンスが出ているので、自分で選んだ標準治療をやっていくことは、間違っていないと思っています。今の世の中、インターネットも無法地帯で、ちゃんと自分の思いや気持ちを持っていないと、色々なものを掴んでしまいます。それだけは気をつけてほしいですね」
撮影/黒石あみ(小学館)
大阪生まれ。IT系出版社に勤務後、「女性にもITをもっと分かりやすく伝えたい!」とIT系編集・ライターとして独立したはずが、生来の好奇心の強さとフットワークの軽さから、気が付けばトレンドライターとして幅広いジャンルを取材・執筆するように。商業施設や店舗の出店や話題の新商品など、時流にまつわるできごとをさまざまな切り口で伝えています。













