湿疹やかゆみの悩み、「しょっちゅう」2割「たまに」5割
nullまずはじめに、普段湿疹やかゆみなどの肌トラブルがあるかどうかについて聞いてみました。その結果、7割近い人が多かれ少なかれトラブルがあることが判明。2割は日常的に湿疹やかゆみに悩んでいることがわかりました。
●あなたは湿疹やかゆみがありますか?
・「しょっちゅうある」……19.9%(85人)
・「たまにある」……52.5%(224人)
・「ほとんどない」……27.6%(118人)
皮膚科医の高山先生によると、「寒さが戻ってくる今年は『かゆみ』トラブルが増えると思われています。中でも、就寝前はかゆみが起こりやすい時間帯。布団に入り体温の上昇や寝具や衣類のこすれ等で、身体のかゆみを感じやすくなるので、まずは保湿剤をしっかり塗って様子をみましょう。かゆみ止めが入っているものもあるので、どうしてもかゆければ使用するのがおすすめです」とのこと。男性の場合はあしのすねの乾燥を訴える方が多数。また、皮脂が減る40代以上の方はかゆみトラブルが増えてくるので要注意だそうですよ。
3人に1人が「頭」「腕」の湿疹・かゆみに悩んでいた
nullそれでは、湿疹やかゆみの肌トラブルが「しょっちゅうある」「たまにある」と答えた計309人に、実際に体のどの部位に症状が出ているのかを聞いてみましょう。複数回答可で答えてもらったところ、平均すると1人3.3カ所の部位に症状が出ていることが判明。中でも特に多かった部位は「頭」と「腕」で、どちらも3人に1人以上が悩んでいることがわかりました。
■湿疹・かゆみが出る体の部位TOP10■
1位 「頭」……35.6%(110人)
2位 「腕」……34.0%(105人)
3位 「手」……26.2%(81人)
4位 「顔」……23.3%(72人)
5位 「足」……22.7%(70人)
6位 「おなか」……22.0%(68人)
7位 「首」……20.7%(64人)
8位 「おしり」……20.1%(62人)
9位 「太もも」……19.7%(61人)
10位 「デリケートゾーン」……18.4%(57人)
※10位以下は「ふくらはぎ」「胸」「肩」「腰」「耳」「鼻」と続きました。
ちなみに、1位にあがった「頭」のかゆみ対策について皮膚科医の高山先生によると、「脂漏性湿疹という毛包の中に常在しているカビの一種が原因の皮膚病もあるので一度皮膚科にご相談ください。また頭皮の痒みがあるときは刺激のあるシャンプーを避けてください」とのこと。
一般的な体の乾燥対策とは対処法が異なることがあるので、頭のかゆみがひどい場合は早めに皮膚科に相談に行った方がいいようです。2位以降にあがった体のかゆみについては、後ほど対処法をまとめてあるので参考にしてみてください。
では、実際みなさんがどのような内容で悩んでいるのか見ていきましょう。
流血&キズになってもかきむしってしまう!かゆみ問題
null最も多かった悩みは、かゆみが我慢できないこと。「血が出てもやめられない」「腫れるまでかいてしまう」「かきキズに悩んでいる」など、かゆさに耐えられず、無意識にかきむしってしまう人も多く、かゆみから痛みに変わって後悔している人も少なくないようです。
「かゆみのせいで傷になっている事」(20歳男性/学生・フリーター)
「顔がかゆくて、かいたらぶつぶつになったり赤く腫れたりする。かゆくて目が覚めたり寝れないこともある」(30歳女性/学生・フリーター)
「かいて血だらけになって痛い」(55歳女性/その他)
また中には、肌が弱くてかいてなくても荒れたり、傷ができる人もいるようです。
「皮膚がデリケートで下着の縫い目でミミズ腫れが出来るので、傷跡だらけ」(62歳女性/主婦)
昼間は集中力にかけ、夜は寝れない!
肌のかゆみ、痛みがひどくなると、仕事や勉強に支障が出たり、睡眠不足になるという人も。昼間は忙しくて気にならないけど、家に帰って落ち着くとかゆくなり、ゆっくり寝れないという人もいるようです。
「寝ようとしたらかゆみが出て寝られない」(24歳男性/学生・フリーター)
「かゆくて何も手につかないときが週に何度もある」(42歳男性/その他)
「子どもの頃からずっとなのでもう慣れているが、眠れないことが多い」(53歳女性/主婦)
医者に診せるほどでもない!?と軽視してしまう
集中力にかけたり、睡眠トラブルまで引き起こす肌トラブルを抱えているなら、皮膚科に通うなどの解決策を見いだせないの?と思いますよね。もちろん、それで解決した人も少なくないようですが、実はかなりの人が皮膚科にかかることに抵抗があるようです。
ちょっとした「湿疹」や「かゆみ」なので、わざわざ皮膚科を予約して行くほどではないか……と軽視して悪化してしまった人や、時間がない、混雑しているのが嫌だといった意見も多く聞かれました。
「湿疹やかゆみで病院に行こうと思えない」(24歳女性/その他)
「通っている皮膚科がめちゃくちゃ混んでいる」(33歳男性/研究・開発)
「かゆみは出たり引いたりの繰り返しなので、せっかく皮膚科を予約したのに症状を説明しづらく、お医者さんを困らせている」(52歳女性/総務・人事・事務)
「皮膚科に行きたいが治療費が高額で躊躇している」(59歳男性/営業・販売)
ちなみに、トラブル部分がおしりやデリケートゾーンで、場所が場所だけに相談しにくいという声も。診察に行くレベルではないが、「デリケートゾーンがかゆくなるが、普段かゆくてもかけないところが辛い」「生理中のかぶれに悩んでいる」と言う声もありました。
デリケートゾーンのかゆみについて、高山先生は次のように話しています。
「まずは市販の専用の皮膚薬で様子をみてください。生理中だけでなく更年期世代も粘膜の乾燥から痒みがでることもあります。昼間仕事がしにくいとか夜目が覚めてしまうなどの痒みが強い場合は専門医に相談して薬を処方してもらってください」(高山先生)
相談しにくい場所については、まずは市販の皮膚薬で様子を見てから改善しなければ皮膚科に相談に行くという流れでよいそうですよ。
できれば薬に頼りたくない人が多い
薬に対して抵抗がある人も意外と多いのかもしれません。「一度ぬり始めたらやめられなくなりそう」「薬をぬってもなかなか効果が出ない」などの意見が多く、結果的に薬もぬらずに我慢している人も少なくないようです。
「抗生物質の副作用で出ることがあるので薬に警戒する」(27歳女性/コンピューター関連以外の技術職)
「薬をぬっても症状が出ることがある」(37歳女性/その他)
「クスリをぬりすぎではないかと心配になる」(59歳女性/主婦)
薬代がかかることを指摘する声も。また保湿クリームを使うべきなのか、薬を使うべきなのか迷う声も聞かれました。
「皮膚薬かハンドクリームかどちらを選ぶのがいいのかわからない」(62歳女性/主婦)
薬については、よく「2~3年前にもらった薬を使っていいか迷う」という意見が聞かれます。これについて高山先生にうかがいました。
「それぞれの薬の表示に従ってください。医師からの処方薬も同様で1年経過していたら一度相談してみてください」(高山先生)
期限が切れたものを使うと効果がなかったり、逆に肌にダメージを与える場合もあるので気をつけた方がいいでしょう。
一度治っても再発しやすい!ケア疲れしている人多数
トラブルが起きたら皮膚科に通い、薬で治療、ようやく治ったと思ったらまた再発。肌トラブルって再発率が高いものかもしれません。原因を根絶しても、別のきっかけで再発したり、ちょっとした環境の変化やストレスも関わってきたり、きちんとケアをしているのに発症したり、気を付けていてもなかなか治らないという悩みを抱える人もいました。
「市販のハンドクリームで保湿をがんばってもなかなか治らない」(33歳女性/主婦)
「何回治っても再発する」(44歳女性/営業・販売)
「医療機関から処方された塗り薬を塗れば湿疹かゆみは収まっていくが、また別の個所に出るので、一年中薬が手放せない。薬を処方してもらうためだけに定期的に通院しなければならない」(60歳男性/その他)
原因がわかっているから諦めているという人も
皮膚トラブルが起こる原因は、人それぞれ。その原因をしっかり理解している人も少なくないようです。自分の体質がわかったうえで、こういう時に湿疹が出るとかかゆくなると知っていると、対処がしやすいこともありますし、逆に割り切って諦めているという声もありました。
「汗をかくとかゆくなる」(30歳男性/コンピューター関連以外の技術職)
「お風呂に入るとかゆみが増す」(31歳女性/主婦)
「水に濡れると手湿疹ができてしまう」(39歳女性/主婦)
「腰の痛みにロキソニンテープを使っているが、しばらく使っているうちにかぶれてしまうこと」(42歳男性/その他)
「アルコールを飲んだ際にかゆみがひどくなる」(43歳男性/その他)
「春先になると、定期的に毎年湿疹が出る。かゆみがあるが、1カ月ほどで自然治癒するのでそのままにしている」(60歳男性/デザイン関係)
一方で、はっきりとした原因がわからなくて、ストレスではないかと言われている人もいました。ストレスが引き金となって蕁麻疹が出たり、肌のかゆみなどの肌トラブルが起こるケースも意外と多いようです。
「ストレスが出た時たまーにかゆくなるが原因不明だと医者に言われた」(54歳男性/その他)
湿疹・かゆみが出たときにすること4選
nullここまでみんなの湿疹・かゆみトラブルを見てきて共感した人も多いのでは? では実際にベストなトラブル解決法は何なのでしょう。最後に高山先生に「これだけは守りたい対処法」を4つ教えてもらいました。
1:かかないようにする
まずはかかないでケアが基本。皮膚を指先でかいてしまうと皮膚表面を傷つけて皮膚が本来持っているバリア機能が低下します。バリア機能が低下してした皮膚は乾燥や摩擦などの刺激を感じやすくなり、痒みが増幅。そこで無意識に寝ながらかいてしまうという悪循環、『かゆみサイクル』が回り始めてしまうのです。
2:室内の環境を整える
室内の環境作りも大切。湿度50%程度に保つのも有効です。加湿器がない場合は濡れたバスタオルなどを置いて部屋を乾燥させないようにしましょう。また寝具も大切。なるべく綿の素材のパジャマやシーツを使い、静電気が起きない工夫をしてください。保温効果の高いアクリルの毛布や保温効果の高い化学繊維の下着などは汗が逃げずに刺激になります。電気毛布も乾燥がすすみ痒みが出ることがあるので気をつけましょう。
3:身体の洗い方に注意をする
泡立てた石鹸で優しく洗う、入浴時には適切な温度のお湯につかるなど、皮膚への刺激を避けることが大事です。身体を乾燥させないためには、秋冬のお風呂の温度は40℃以下が適切と言われています。」
4:寝る前に保湿をする
痒みの強くなる背中には、かゆみ止め成分の入った市販の保湿剤などを使います。なかなか塗りにくい場合は市販の背中用の専用器具を使ってください。かゆみ止めにはステロイド入りとそうでないものがあるので広範囲で塗るにはステロイド無しのものが使いやすいかもしれません。湿疹が出て痒みが強い場合は医師に相談してください。
いかがでしたか? 乾燥による肌トラブルが多いこれからの時期、まずはしっかり自分で予防をして、すでに肌トラブルがある人は早く解決策を見つけたいものですね。今回のアンケートで、皮膚科に通わずに我慢していたり、薬を使わずに諦めている人が多いことがわかりましたが、やはり頼れるものには頼ることが大切。命に関わる疾患ではないとはいえ、放置していては余計なストレスになったり、生活の質が落ちてしまいます。快適な生活を送るためにも、早めの対処を心掛けましょう。
【協力】
ユースキン製薬
【教えてくれた人】
高山かおる医師
済生会川口総合病院皮膚科主任部長。東京医科歯科大学大学医学部臨床准教授も併任。山形大学医学部卒。専門は、接触性皮膚炎、フットケア。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。日本臨床皮膚科医会常任理事。
エディター・ライター歴20年以上。女性誌やアウトドア雑誌、情報誌、スポーツ誌(自転車雑誌、水泳雑誌)などで執筆。2017年から主人の仕事に帯同しアメリカに移住。小学生の男児、中学生の女児とともに、異国の地での生活に奮闘しながら、執筆活動も継続中。現在はニュースや海外生活情報などを担当。アウトドアと旅行が大好き。趣味はパン作り。