夏ってどんな時期?何に気を付ける?
nullこんにちは、管理栄養士・薬膳コーディネーターの宮﨑奈津季です。
年々暑さが増す夏。体調管理のためにも食べるもの、食べ方には気をつけたいものです。薬膳の視点で考える夏の食事についてお伝えします。
「暑邪」に注意
中医学では、病気を引き起こす原因を「邪気」、自然界にある邪気が侵入し、病気の原因となっていることを「外因」と呼びます。よく見られる外因の邪気は6つあり、これを「六淫(りくいん)」と呼んでいます。
夏は「陽気」が盛んになる時期とされており、人の体も心も向上します。一方で、夏は体に熱がこもりやすく、六淫のひとつである「暑邪」が強くなるため、熱が出たり汗をかいたり、体液を消耗してしまうことがあります。
その結果、食欲不振や夏バテ、熱中症といった症状があらわれることも。適度に体を冷やしてほてりを鎮め、水分のとりすぎに気を付けることが大切な時期です。
夏は「心・小腸」に影響が出やすい
中医学では、人の臓器を「肝・心・脾・肺・腎」の「五臓」に分類しています。さらに五臓を補う「胆、小腸、胃、大腸、膀胱」の五腑と体内の空間である「三焦」を「六腑」と呼びます。
夏は、五臓の中でも「心」という部分に負荷がかかりやすい時期です。「心」は、意識や五臓をコントロールする働きがあり、全身に流れる血液の循環にも関わっているとされています。
また、六腑の中では「小腸」に影響が出やすく、心と小腸は表裏の関係であるとされています。小腸は胃で消化したものを分別する働きがあり、悪くなると心も不安定となり眠れなくなることもあります。
※中医学での「五臓」は、西洋医学での臓器を直接指すものではありません。例えば「肝」=「肝臓」というわけではない点に注意してください。
夏の体調不良改善のヒントになる薬膳
null体の熱を取る食材をとろう
夏に旬を迎える食材の中では、「寒性」と「涼性」を持つものがおすすめです。寒性の食材は、体内の余分な熱を取ったり、鎮静の作用もあります。
涼性の食材は寒性ほど強くはないですが、余分な熱を取る働きや体温調節にも効果があります。おすすめの食材としては、きゅうりやなす、トマト、すいか、メロン、あさりなどです。
夏におすすめなのは「苦味」
「五味」とは、食材の味を東洋医学の考え方である「五行」に基づいて分類したものです。その中で、夏の時期におすすめなのは「苦味(くみ)」の食材です。苦味には、体の熱を冷ましたり炎症を鎮めたり、排泄を促したりする働きがあります。おすすめの食材としては、ゴーヤやレタス、オクラなどです。
夏の薬膳の注意点
体を冷やすことが大切な夏ですが、冷たい飲み物や食べものをとりすぎてしまうと冷やし過ぎてしまう可能性もあります。特に夏の室内は冷房が効きすぎていることもあるため、適度に体を温めることも必要です。にんにくや生姜などの体を温める食材を適度に取り入れるのがおすすめですよ。
汗で失われるミネラル分の補給
夏はたくさん汗をかく季節なので、汗とともにミネラルが失われてしまいやすいです。それらを補給するため、肉や魚介類、緑黄色野菜も積極的にとりましょう。
激しい運動や汗を長時間だらだらとかいた場合は、スポーツドリンクでこまめに水分補給をし、脱水症状を予防しましょう。汗をたくさんかいたときは塩分も補給することが重要ですが、涼しい部屋で一日過ごした場合はそこまで意識しなくても問題ありません。
運動をしていないときにスポーツドリンクをとりすぎてしまうと、エネルギーの過剰摂取にもつながるため注意しましょう。
【参考文献】
・東邦大学医学部東洋医学研究室「薬膳と漢方の食材小事典」日本文芸社(2019)
・飯田薫子、寺本あい「一生役立つ きちんとわかる栄養学」西東社(2019)
・消費者庁「ご存じですか?経口補水液の知識」https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_for_special_dietary_uses/assets/food_labeling_cms206_20240430_07.pdf(閲覧日:2024年7月17日)
・厚生労働省「熱中症を防ぎましょう」https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/prevent.html(閲覧日:2024年7月17日)
・厚生労働省 e-ヘルスネット「嗜好飲料(アルコール飲料を除く)」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-03-014.html(閲覧日:2024年7月17日)
管理栄養士・薬膳コーディネーター。介護食品メーカーで営業を2年間従事した後、フリーランスの管理栄養士に。料理動画撮影やレシピ開発、商品開発、ダイエットアプリの監修、栄養価計算などの経験あり。 現在は、特定保健指導、記事執筆・監修をメインに活動中。
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※「崎」は正式には立つ崎(たつさき)です