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放置した虫歯は最終的にどうなる?虫歯が原因でほかの病気になることも【オトナのための歯科相談室#3】

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虫歯は早く治療するのが理想。わかっているのに、痛みがないと忙しさに紛れて「後でいいか」となりがちでは? 虫歯は進行すると治療も困難になっていきます。

地域密着型の歯科医院の院長として、お子さんからご高齢の方まで、歯の健康管理と治療を行ってきた歯科医の山本伸彦先生による大人の歯科相談室。連載第3回も、おかしいな?と気づいても放っておきがちな「大人の虫歯」について、その進行や虫歯による健康リスクを教えていただきました。

虫歯を放置するとどうなるの?

「虫歯は放置すると進行します。みなさんが認識されている虫歯の状態まで進行してしまったら、一生懸命磨いたからといって自己修復は無理ですね」(以下「」内、山本先生)

虫歯はどのように進行して、どんな治療が必要になってくるのでしょうか? 虫歯の進行度合いとともにみてみましょう。

CO(シーオー)

歯の表面のエナメル質が溶けはじめ、白く濁ったり溝が茶色くなったりしている状態。まだ歯に穴はあいておらず、痛みなどの自覚症状はありません。

治療方針:再石灰化を促しながら経過を観察します。

C1

歯の表面のエナメル質がさらに溶け、黒ずんだ小さな穴があいている状態。冷たいものがしみることはありますが、まだ痛みはありません。

治療方針:虫歯に侵された部分を削り、詰め物で補います。

C2

エナメル質の内側にある象牙質まで虫歯が進行した状態。冷たいものだけでなく熱いものがしみるようになり、痛むこともあります。

治療方針:虫歯に侵された部分を削り、詰め物で補います。

C3

歯髄(神経)まで虫歯が進行し、歯髄が炎症を起こしている状態。ズキズキと激しい痛みをともないます。

治療方針:神経を除去して薬剤を詰める根管治療を行い、かぶせ物をします。

C4

歯の大部分が溶けてなくなり、歯根まで虫歯が進行した状態。歯髄が死んでいるため痛みはなくなりますが、歯の根の先にうみが溜まると再び痛みます。

治療方針:多くの場合、抜歯が必要です。

「例えば、C1のように歯の溝にほんの小さい黒い点がある程度だったとしても、そのまま放置して、虫歯くんが硬いエナメル質を突き抜けてしまうと、その下にある象牙質はエナメル質よりやわらかいため、歯の中で虫歯がうわっと広がってしまうこともあります」

虫歯ができてから痛くなるまでどれくらいかかる?

では、虫歯ができてから痛みが出るC2の段階までは、どれくらいかかるのでしょうか?

「虫歯の進行度合いは、その人のお口の衛生状態によって変わります。ですから、本当に衛生状態が悪くて、汚れが付着したまま放置しているような場合は、わりと短期間、1〜2カ月で進んでしまうこともあります」

虫歯の進行度合いは、レントゲン撮影で明確にわかります。虫歯の早期発見のためにもメンテナンスのためにも、定期的に歯科検診を受けなくては……と改めて思わされますね。

虫歯が原因でほかの病気になることはあるの?

虫歯がC4まで進行して神経が死ぬと、歯の感覚がなくなって、外部から刺激を受けても痛みなどを感じなくなります。神経が死んだ歯は、その後どうなってしまうのでしょう? 最近では、中高年の歯周病を放置することでの全身の病気リスクが指摘されているだけに、気になるところ……!

「ここから先は、根の先の方で膿の袋ができたり炎症が起きたりといった次のステージに入っていきます。さらに、これらの炎症が骨の中の神経や血管まで急速に波及してしまうと、顎の骨が骨髄炎になったり、感染を起こして口腔底蜂窩織炎(こうくうていほうかしきえん)や歯性上顎洞炎(しせいじょうがくどうえん)になったりすることもあります」

口腔底蜂窩織炎とは、舌の下部にある口腔底に発症する感染症のこと。感染が顎の下の軟組織に拡大し、頸部の腫れや痛みによって気道閉塞による呼吸困難や、敗血症(感染が全身的に広がってしまう危険な状態)などの重篤な合併症を引き起こすことも。

一方、歯性上顎洞炎とは、上の歯の虫歯や歯周病(歯槽膿漏)を放置していたために細菌が上顎洞に入り、炎症を起こした副鼻腔炎のこと。鼻水、鼻づまり、頭痛、発熱、倦怠感などの症状が出ます。

「最近はそこまでひどくなる方はまれですが、放置の程度によってはそうなる可能性はありますし、特に感染も起きずに歯がボロボロ壊れて抜けていく可能性もあります」

聞いているだけで痛いのが伝わってきて、思わず口元を押さえてしまいます……!

歯を支えている根っこがあまりにも甚大なダメージを受けてしまうと、歯そのものを残しておくのは難しくなり、入れ歯を入れるかインプラントを打つか……という選択肢しかなくなってしまいます。手遅れになる前に早めに受診して処置してもらうのは、大人も子どもも変わりなく大事ということですね。

 

次回は、大人の口腔内トラブルが起きやすい「親知らず」をテーマにお届けします。

 

イラスト/菜ノ花子 取材・文/清瀧流美


 

【取材協力・監修】

山本伸彦

やまもと歯科 院長/デンタルネットワーク株式会社代表取締役/歯科医

都立目黒高校卒業後、レストラン勤務を経て、明海大学歯学部入学。1995年、同大学卒業。歯科医師免許を取得。南青山友歯会ユーデンタルクリニック勤務を経て、1999年、やまもと歯科(東京都)開設。2018年、デンタルネットワーク株式会社設立。歯科専門情報サイト「Smile Teeth」を立ち上げ、多くの人に歯科医療に関する正確な情報を提供している。

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