白髪の原因は加齢だけじゃない?考えられる原因とは…
null髪は、毛の根元近くにある“毛母細胞”という細胞で作られています。実は、生まれたばかりの髪の毛は、白い色をしています。この白い毛髪に色をつけるのが、“メラノサイト”という細胞で作られている“メラニン”です。
白髪発生のメカニズムはとても複雑でまだ謎に包まれている部分が多いとのことですが、高瀬先生によれば、例えば、以下のような状態において、黒髪だったものが白髪へと変化するといいます。
・メラノサイトでメラニンが作られなくなる
・メラノサイトがメラニンを作っているものの、髪の毛に受け渡せなくなる
・メラノサイトの素(色素幹細胞)が枯渇する
このような状態を引き起こす原因として、kufura世代に最も多いと考えられているのが、加齢とストレスです。
加齢・ストレスと白髪の関係性は?
「加齢は、白髪の大きな原因となります。加齢によって細胞内のDNAの損傷が蓄積されたり、再生能力が落ちていくのは生き物として自然なことです。早い方でしたら20代~30代から出始めて、年代が上がるにつれて発生率が高くなります」(以下、「」内、高瀬先生)
加齢によって、髪を黒くしたり、健やかに保つための能力が落ちていくのは自然の摂理なんですね。
「加齢以外に考えられるもう1つの大きな原因はストレスですが、じつはストレスと白髪の関係性は、証明するのがとても難しいのです。考え得る可能性を消去法で消していき、ストレス以外にあてはまる原因がなければ、ストレスを原因と考えます。
その他の白髪の原因としては、遺伝的要素や、何らかの疾患、必要な栄養素が毛母細胞に届かない髪の“栄養障害”による(メラニン色素を作る)メラノサイト細胞の機能低下などが考えられます」
なぜ、白髪になるの?白髪発生のメカニズムとは
null白髪に関しては、原因を断定するのは難しいとのことですが、今後、白髪の謎を解くカギが隠されているのが、“バルジ領域”という部分(図を参照)。高瀬先生によれば、頭皮内の毛根部分を包む“毛包(もうほう)”の上の部分にある“バルジ領域”が、白髪発生と密接に関わっていることがわかってきたそうです。
「私たちの髪の毛は、毛包の下部にある“毛母細胞”によって作られています。
一方、“バルジ領域”には、様々な細胞に分化する能力のある“幹細胞”があります。“バルジ領域”の幹細胞には、毛母細胞に分化していく“毛包幹細胞”と、メラノサイトを作り出す“色素幹細胞”があり、それぞれの細胞に分化しながら、毛包の下の方まで運ばれていきます」
つまり、“バルジ領域”とは、発毛や毛の色のカギを握る“幹細胞”が存在する場所。さらに、これらの幹細胞が分化するときに、“○○に分化しなさい”というシグナルを出すのが、“サイトカイン”という情報伝達物質だと考えられています。
「バルジ領域における幹細胞の分化にどの種類のサイトカインが関与しているのか、というのが少しずつではあるものの、解明が始まりつつあります」(高瀬先生)
白髪の謎を解くキーワードは、“バルジ領域”と“幹細胞”。細胞レベルで白髪治療が可能になる日は、そう遠くないのかもしれません。
次回は、白髪とストレスの関係についてもう少し掘り下げてお話をうかがっていきます。
【取材協力・監修】
髙瀬 聡子
ウォブクリニック中目黒 総院長/美容皮膚科医・皮膚科医/日本美容皮膚科学会・日本皮膚科学会正会員
東京慈恵会医科大学を卒業後、同大学付属病院で皮膚科勤務を経て、美容皮膚科クリニック「ウォブクリニック中目黒」を開院。シミ・肝斑治療をはじめ、育毛治療、ヒアルロン酸、ボトックス注射・メソセラピー・レーザー治療・ケミカルピーリングなど、メスを使わずに女性の美しさを引き出す、安全かつ効果的なアンチエイジング治療を提供。その丁寧で的確なカウンセリングには定評があり、美容のプロやモデル、女優の顧客も多い。近著に『ゆる美容事典 「ほどほど」「ズボラ」で美肌を手に入れる』(講談社)。