管理職って何? 管理職になったら何が変わるの?
null管理職というとやっぱり、“会社の偉いおじさんたち”のイメージがあるような気がしませんか? ぼんやりとしたイメージですが、実態はいったいどんなものなのでしょうか。
管理職のうち一定以上の役職者は、労働基準法では“管理監督者”とも呼ばれます。その業務は、主に“マネジメント”にあたります。
簡単に言えば、経営や組織を管理する業務です。仕事を管理し部下の育成・指導をしながら、組織を一つにまとめていきます。経営計画や事業計画を立て、それに向けて予算を組み立て、人員を配置し、プロジェクトを運営していきます。自身の仕事をしながら、組織内の仕事と人を管理する能力が問われますし、その分責任は重くなります。より、会社に近い目線で仕事をすることになるでしょう。
その重要な役割を担うため、労働基準法では、“管理監督者”には出退勤時間を厳密に決められていません。かといって全く会社に来なくていいわけではありませんし、大体の管理職の人は一般社員と同じ時間に出社しています。遅刻を揶揄する“重役出勤”なんて言葉もありますが、本当に“重役出勤”している重役さん、今となっては都市伝説かもしれませんね。
もちろん残業もありませんから、残業代もありません(22時~翌5時の深夜勤務については支払われます)。その代わりに、お給料には仕事の責任に見合った「役職手当」「管理職手当」というものが付くようになります。しかし役員でなければ、雇用形態は正社員と同じです。割に合わないと感じる人もいるかもしれませんね。
管理職の仕事って、具体的にはどんなこと?
nullたとえば、飲食店を例にとってみましょう。
ひとつの店舗が、店長とアルバイト数名で運用されている場合、店長は一般に社員であることが多いです。全国に多くの支店を持つ会社であれば、地域のいくつかの店をまとめて管理をするエリアマネージャーというポジションがあり、それが管理職にあたるでしょう。
各店舗から上がってくる報告を見て、A店は今月売り上げ良くなかったとか、B店は今月アルバイトの退職が多いとか、そうした変化をみていきます。
気になることがあれば直接その店舗に行き、店長と面談をします。店長と話し合いながら原因を探って、「次はこんな商品を売り出してみよう」などアドバイスをして対応策を立てていきます。
その他、売上や経費、採用に関する決済権を持っていて、必要な経費や採用の管理などもしているでしょう。
会社によってはこうした権限についての決まり、「職務権限規程」というものが存在します。そして、それを明示した「職務権限表」というものがあります。会社規模により権限の範囲には違いがあるので一概には言えませんが、主任だったらここまで、部長だったらここまで、という決裁権限が決められています。
新規の事業を提案したとき、経費で高額なものを買うとき……稟議をあげて承認をもらうにはどうしたらいいかというルートなど、そういったことが書かれています。
一番大事な仕事は“部下のフォロー”
しかし一番大事な仕事は、部下の仕事のフォローです。何かミスがあったときは部下に代わって頭を下げ、損失が出れば補てんの方法を考えます。こうしたフォローがあるから、社員やアルバイトは失敗を恐れず力を発揮できるのです。
どんな会社でも、部下が円滑に業務を遂行できるよう考え、行動するのが、管理職の仕事ということになります。
いかがでしたか?
いつも、なんとなく接していた“管理職”の実態がみえてきたでしょうか。あなたの上司もこんな風に、さまざまな形であなたをフォローしてくれているはずです。次は、あなたが部下を支えていく番かもしれませんね。
【監修】
特定社会保険労務士
成澤紀美(なりさわ きみ)
社会保険労務士法人スマイング代表。元SEの社会保険労務士としてIT業界に特化した人事労務サービスを展開。「働きたい会社づくり」をモットーに各企業をサポートしている。著書「IT業界 人事労務の教科書」ほか専門誌やコラム執筆も多数。