「目標を叶える手帳」は何が違う?
nullE子:“目標を叶える手帳の付け方”とは、普通の付け方と何が違うのでしょうか?
冨山:通常は、予定が決まってからスケジュール帳を書くと思いますが、行動科学の考え方では、先に“やりたいことをいつやるか”を決めて、予定を書き込んでしまいます。
例えば、2月1日から英会話を始めると決めたら、まず手帳に“宣言”を書きます。次に、具体的にやりたい行動を細分化していきます。今週は「週2回、15分間英会話のテキストを開く」とか、「ポッドキャストを20分間聞く」などと決めて、スケジュール帳に落とし込んでいきます。
その横に小さなチェックボックスを作り、行動できたらチェックをつける、やらなかったらチェックしないというように振り返りをしましょう。これを毎週繰り返していきます。そうすることで、手帳を“自分の行動を管理するツール”にすることができます。
目標は「否定語で書く」と叶わなくなる!?
nullE子:やってはいけない注意点はありますか?
冨山:“否定語で書かない”ようにしましょう。例えば「甘いものを食べない」「寝不足しない」などがそうです。
「〜しない」という否定語を使うと、実は目標が叶いにくくなってしまいます。脳科学では「〜しない」と言うと、逆にやっている自分を想像してしまうと言われています。「ピンクの象を想像しない」と聞くと、ついピンクの象を想像してしまうことと同じです。脳は意外と単純で、肯定的な言葉しか深く理解できないようです。
例えば、ダイエットしたい人が「甘いものを食べない」という目標を立てたいとします。その場合は、「甘いものは1日大福1個だけ食べていい」というように、肯定語に直し、さらに具体的な数値を入れるようにしましょう。なぜかというと、“大福1個食べると満足する”というように、自分の脳を騙すことができるのです。そうすると目標を達成できます。
仕事とプライベートは「ペンの色」を使い分けよう
nullE子:ほかにもコツはありますか?
冨山:仕事とプライベートを分けて付けましょう。手帳を分けるのは大変ですので、ペンの色を分けるだけでもいいと思います。
働く主婦の方は、自分のプライベートを犠牲にすることも多いかもしれません。ですので、プライベートの予定をどんどん手帳に書くようにしましょう。例えばネイルを綺麗に保ちたいのであれば、行けるかどうかわからないけれど、第3日曜の11時はネイルサロンの日と決めてその1週間前に予約するというように。
逆に、自分の時間を優先して仕事を後回しにしてしまっている。そんな方は、仕事の予定を書き込みましょう。この日までに請求書を発行する。その3日前にクライアントの見積書を確認するといった具合です。
脳が認識しやすいのは「アプリより紙の手帳」!?
nullY子:アプリではなく、紙の手帳のほうが良いのでしょうか?
冨山:何かをしたいときには、デジタルではなく紙のほうがいいと言われていますね。書くことで客観的に見られるそうです。脳が認識しやすくなり行動を促すと言われています。書くだけではなく、見直すということが大事なんですね。
E子:冨山さんは、どんな手帳を使っていますか?
冨山:ノート型の手帳を使っています。気づいたことなどを日記として書き込めるようにしています。家に置いていて、振り返りをするときに見ています。
1年の目標を「3つ」に絞るわけ
nullE子:1年の目標を立てて実行するコツはありますか?
冨山:「今年は○○したい」という目標は、ざっくりでも大丈夫です。そこから棚卸しし、細分化していきます。これもしたいあれもしたいでは大変なので、3つに絞りましょう。
その3つの中に、仕事とプライベートの両方の項目を入れましょう。全部仕事だったらひとつはプライベートの目標を入れるようにしてください。
なぜかというと、「海外旅行に行きたい」「美味しい物を食べたい」など、同じような項目になりがちだからです。“本当にやりたことは何か?”を問うために、フレームワークに入れて考えましょう。
「別に美味しいものはいらないかもしれない」「じゃあなぜ海外に行きたいの?」と問い直してほしいのです。ぼんやりとした目標であれば、深掘りしていきます。
「〜したい」という大きな目標を設定したあとは、漠然とした願望を叶えるための、具体的な行動を決めていきます。
行動科学では「MORSの法則(具体性の法則)」を定めています。
Measurable(計測できる)・・・どれくらい行動しているか数値化できる
Observable(観察できる)・・・誰から見ても、どのような行動かわかる
Reliable(信頼できる)・・・誰から見ても、同じ行動だとわかる
Specific(明確化される)・・・誰から見ても、何をどうするかがわかる
具体的な行動に落とし込むには、この4つの要素を満たしているかを確認しましょう。
ダイエットであれば「スクワットを5セット、週5回、平日の19時から」というように、具体的であればあるほうがいいと言われています。
イメージブックより!目標を叶える「具体的な行動」の落とし込み方
nullE子:冨山さんは、この手帳の使い方をずっと続けているのですか?
冨山:様々な手帳の書き方を試しましたが、今が一番シンプルな形に落ち着きました。以前はイメージブックを作ったこともあるのですが、大変なうえ、目標を叶えることはできませんでした。
脳を刺激することは大事だと脳科学でも実証されているのですが、目標を叶えるためには、具体的に“どうするか”が大事なんですね。
素敵なカップルのイメージを眺めても、それで素敵な男性が現れるかというと、実際には奇跡に近いですよね。自分自身の気づきとしてはいいかもしれませんが、目標を叶えることは難しいです。
じゃあどうすれば叶うかといえば、具体的な行動に落とし込むことなんですね。「婚活パーティーに月何回行く」とか。
実際に、私の友人にこの方法で婚活してみた人がいるのですが、1年で婚約したんですよ。具体的に決めさせたんです。まず、会う人数を決めようと。
E子:う〜ん、婚活中の友達に教えてあげたい!
冨山:美をキープしたいという働く主婦の方も多いと思います。美も継続することが大切ですが、あまりにも忙しいお母さんだと、後回しにしてしまっている人もいますよね。
Y子:1年先までネイルの予約を入れているというママ友もいるのですが、私は直前になると「いや、それよりあれをしなきゃ」「家族とお出かけしよう」みたいに、どうしても後回しにしてしまいます。美容院の予約も、今のうちに入れておいたほうがいいですね!
冨山:その点、男性は上手です。男性は1カ月前、2カ月前からゴルフの予約を入れています。彼らは自分を保つことが上手なんですよね。
Y子:マッサージに月に1回行ってる友人が羨ましくて、「時間作れていいなー」と思っていたけど、きちんとメンテすることでオンとオフを切り替えて自分を保てると言っていました。
冨山:目標を継続するコツとして、“ご褒美設定”を作ってもいいと思います。仕事や家事育児をがんばった自分へのご褒美として、「第4日曜は友達とブランチに行くから、その時間は家にいて子どもを見ててね」と、あらかじめ旦那さんの予定をブロックしちゃいましょう!
目標を叶える手帳の使い方でしたが、いかがでしょうか?
新しい手帳に変えたばかりという方も、“やりたいこと”を先に書き込んでみてくださいね!