任されたから、羽ばたけた!
私のことを大きく成長させてくれた人はもちろん大勢いるのですが、その中でも挙げられるのが、エアアジア時代にお世話になっていた元上司のトニー・フェルナンデス氏です。
彼はエアアジアで女性のパイロットを募集するなど、女性の可能性を信じてくれたのはもちろん、私自身のことも信頼してくださり常に可能性を信じてくれました。また彼は私にたくさんの経験をさせてくれ、任せてくれましたが、その中でも一番衝撃を受けた言葉は、「中国を切り拓いてこい」と入社したてのころに言われたことです。
言葉も通じず、航空業界の事も分からず、もちろん最初は自信もなく、不安も感じました。しかしその中で中国の路線を幾度となく乗り継ぎエアアジアの路線を開拓したことは今では私の大きな力になっていると思います。
女性がエグゼクティブの地位に少ないのは、男性に比べ自信がないからだと思います。私のように誰にも頼れない場所を一人で切り開いた経験があれば、自然と自信がついてくると思います。だからこそ、エクスぺディアのCEOというオファーがあった時も、「私はできる」と思えたんだと思います。
そんな経験をさせてくれた、トニー・フェルナンデス氏にはとても感謝しています。
女性エグゼクティブの強みは“心配り”
現実のビジネスの場では、男性と張り合って働いていくことも、女性のエグゼクティブとしては重要なのですが、時には女性だからこそできる心配りや気遣いをうまく使って、相手と仲良くなる際に、女性ならではの強みが出せるのかなと感じています。
女性にも男性にも負けないような力強さが求められることは多々ありますが、どうしても分からないことがあった時には、素直に聞いたり相談することを心がけています。
今後、既存の男性経営層のマインドセットを変えて、女性のエグゼクティブが増えていくためには、男性経営層に対して、女性ならではの感性や視点などの強みを具体的に示すことによって、女性の可能性をもっと信じてもらうよう働きかけることが重要ではないかと考えています。
今後、女性経営者の活躍が、もっともっと増えていくことを、心から期待しています。
【著者】キャスリーン・タン(Kathleen Tan)
エクスペディア アジア地域CEO。ワーナーミュージック シンガポール常務取締役、エアアジアグループ ヘッド・オブ・コマーシャルを経て、2013年2月より、世界最大の総合オンライン旅行会社エクスペディアの、エクスペディア アジア地域(本社:シンガポール)CEOとして、シンガポールを拠点に、アジア地域におけるエクスペディアブランドの発展及び運営の指揮をとっている。
過去には、トニー・フェルナンデス氏とともにエアアジアをアジア最大級の航空会社に成長させるなどの功績により、Web in Travelが発表した“旅行業界で最も影響力のある女性リーダートップ10”ならびに“マーケター・オブ・ザ・イヤー”に選ばれた他、2014年にも再びWeb In Travelを受賞するなどの活躍から、中国最大の検索エンジン『Baidu』では“航空業界の伝説的人物”と紹介されている。
※ 翻訳協力:エクスペディアジャパン
2015/6/4 BizLady掲載