「いろんな顔があって、大丈夫」
シンガーソングライター、関取花(せきとり・はな)さん、26歳。『BizLady』世代ど真ん中の彼女も、コミュニティによって見せる顔が違うのを感じた経験があるそう。
だけど関取さんは、それで「大丈夫」と語ります。
その背景には、あとから自分を苦しめないための、あるポイントがあるのだとか……。
SNS上で幸せに見られたい……のはOK! でも、そこで満足するのはもったいない
――いま“SNS疲れ”という言葉があります。リア充アピールに疲れてしまい、自分は“幸せ”なのか“幸せに見せたい”だけなのか、わからなくなっている人が増えたのでは、という印象が筆者にはあります。世の中、キラキラした“幸せに見える”SNS投稿も溢れていますが……関取さんはどう考えますか?
関取:それはそれで、私は悪いとは思わないです。例えば、一般のオシャレが好きな人が、SNSでファッションを公開して称賛されているのはいいと思う。
でもそれを、メディアが持ち上げすぎるのはどうかなと思っていて。アマチュアとプロの境目がわからなくなってきているというか、肩書がよくわからない人も多いですよね。“そこ”(ネット上で持ち上げられている状態)で満足してしまうのって、本人にとっても、もったいないことだよなあって思います。
現代人を悩ませるキャラ問題……「いろんな顔があって当然!」
――そのSNS上でも、キャラ問題というものがあると思います。現代人はキャラをいくつも使い分けていて、それを自覚もしていて、それが普通になっている……なんて話も聞くものですが、関取さんも自分の中にいくつもキャラがある、と感じますか?
関取:すごくわかります。音楽をやっていなかったら、私もそっちのタイプです。例えば高校時代、いつも一緒にいるグループの子たちには悩みを言えないのに、たまにしか話さないグループの子に泣きながら相談できたり。
いつも楽しい話をしている仲間に悩みは言いたくない、楽しい自分でいたい、というのがあるからですよね。今でも家族に言えない事を恋人に言えたり、恋人に言えないことは……などはあると思います。
――そんなふうにキャラ分けをしているかもしれないことを、どう感じますか?
関取:いろんな顔があって当たり前だと思うし、悪いことじゃないと思う。私、「自分は何者でもない」と思っているんです。だからこそ、いろんな人の意見を吸収して、自分のキャラクターを周りから教えてもらっている感じですね。
ただ、自分は嘘をついて使い分けているわけではないし、見栄もない。それがあると、あとから苦しくなるんだろうなと思います。
――ちなみに、他人のキャラ分けに勘づいたりもしますか?
関取:他人のそういう部分も、けっこう気づいちゃう方かも。女性の方がわかりやすい気がしますね。でも、気づいても深入りしないです(笑)。
病んでいた思春期……でも過去があるから、今がある!
――関取さんの鋭い観察眼があるから、あのリアルな歌詞が書けるんですね。
関取:“過去のイヤな自分”がたくさんいるから、そういうのにも重ね合わせるのかもしれませんね。昔は病んでたので(笑)。10代の頃は、どこに行くにも誰に会うにも、親の前でだって、よそいきの“シルク”を纏ってました。いまは「誰に何を知られてもいい」というか、扉が一つ開いた感じです。
――その10代から続けている音楽で活躍中の花さんですが、音楽=好きなことを職業として続けていくことの大変さは感じますか?
関取:音楽で食べていくことに、もちろん不安もあります。でも音楽をやって初めて、自分を好きになれた。それだけで財産です。
―― 『BizLady』は、関取さんのように頑張る多くの女性たちが読んでくれています。そんな女性たちに、関取さんから言葉をかけてくれますか?もしくは、花さんの楽曲の中でメッセージにピッタリな歌詞があれば教えてください。
関取:メッセージ、そうですね……街で見かけたら、気軽に飲みに誘ってください(笑)!
楽曲だと、2月発売のNEWアルバム『君によく似た人がいる』の中からなら、『また今日もダメでした』。 一番反応がいい曲なので。
あ、あと同じアルバムの中の『もしも僕に』の、この歌詞ですね!
「人生なんてネタ探し、楽しんだもん勝ち!」