関取さんは昨年、同曲を『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)で披露し「ひがみソングの女王」として話題に。
また、今年2月には『今夜くらべてみました』(同)に“東京に慣れない女”として出演。「下北沢でガードレールに座り煙草をふかす男から、“ここは俺たちの庭”感が漂っているのを感じる」など、ちょっと毒のあるコメントで「トークがおもしろい!」と注目を集めています。
キャラクターも含めて、今後ブレイクしそうな関取さん。2月にはニューアルバム『君によく似た人がいる』を発売したばかりです。
ひがみソングの女王……実際はどんな人なのでしょうか? 全3回のインタビューで、その素顔に迫ります。
1回目の今回は、ひがんでしまうことで生まれる罪悪感への対処法などを聞きました。
私は“ひがみ”ばかりじゃない!という葛藤はない
――関取さんは今「ひがみソング」が注目されていますが、そうではない曲のほうが多いですよね。例えば、ニューアルバムに収録されている『もしも僕に』では、子どもが産まれたら伝えたいことを歌い上げています。「私の曲、“ひがみ”ばかりじゃないのに」という葛藤などはないのでしょうか。
関取花(以下、関取):よく聞かれたりします、「最近ひがんでないの?」とか(笑)。
たしかに以前から自分の曲を知ってくれている人や友人は、「そればかりじゃないのにね」って言ってくれますが、自分としては「そういう面白がり方もあるんだ」と教えてもらった感じなんです。
実際、一番聴いてほしい“ひがみ”とは違う曲、例えば『むすめ』とか『もしも僕に』などですが、そこにたどり着いてくれるなら、どんなきっかけでもいいのかなって。
もし「ひがみソングなんて」と、聴いてほしい曲までたどり着いてくれない人がいたとしても、それは自分の力不足。だから、バラエティ番組をきっかけに注目していただけるのは、ありがたいです!
ひがむ気持ちが生まれたら、素直に相手に言ってしまおう!
―― ひがみや嫉妬などの感情は、誰でも持っているものですが、“抱いてはいけない、負の感情“として罪悪感を覚え、苦しむ人もいます。そんな人はどうしたらいいと思いますか?
関取:そこに「羨ましい」という感情があるなら、そう口に出したほうが楽だと思います。
例えば、友だちのSNSを見て“高級ホテルのラウンジでお茶をした”という投稿に嫉妬心を抱いたなら、「いいよね~、ハイアットまた行ったんでしょ!?」って、本人に言ってしまえばいい。
第三者に「あの子さ~、SNSでまたあんな自慢して……」と言っちゃうと、自分の中に悪いものばかり溜まってしまうと思うんです。
素直に相手に羨ましいんだと言ってしまえば、すごく楽。
——嫌みにとられたりなど、誤解されて受け取られたりはしないですか?
関取:そこは、うまい感じの言い方で(笑)! 私は根底に「自分のほうがダメだから」という気持ちがあるからか、反感を買ったことはないですね。
「こいつと飲みに行きたい」……そう思われるアーティストになりたい
――関取さんの楽曲の中には、歌詞がとてもストレートなものがありますよね。例えば『さらばコットンガール』では、「こじゃれたパン屋でフランスパン買って……無理してるんだよね」と、素朴だったある女性が徐々に変わっていってしまう様子を、ちょっと毒っ気を感じさせる歌詞で具体的に描いています。言葉をオブラート包まず表現することに、こだわりがあるのでしょうか?
関取:これまでは物語のような歌詞だったり、自分の話ではない歌詞も多かったんですが、『君によく似た人がいる』の収録曲は、かなり全部出して……それこそ歌詞がけっこうストレートなものが多いんですけど、それでやっと形になった、という気がしています。
―― 言いたいことをストレートな言葉で歌詞にするのではなく、キラキラしたカッコいい曲を歌うアーティストや歌手も多いですよね。
関取:フェスで観客を躍らせることができる人もいれば、自己プロデュースが上手な人も……カッコいいアーティストさんって、いっぱいいますよね。そういう人を尊敬するし、こういう力があったらもっと短距離で皆に知ってもらえたのかな、と思ったりもします。
だけど、ファンの方が「花ちゃん」って呼んでくれたり、恋愛相談をしてくれたり……そういうのって嬉しいなって思っているんです。
——では、関取さんなりの“目指すべきアーティスト像”はありますか?
関取:こうなりたい、憧れる……というより、「こいつと飲みに行きたいな」と思われるような、そんな親近感を持たれるミュージシャンになれたら、って最近は思っています!
アルバム情報
『君によく似た人がいる』
品番:DSKI-1001
価格:2130円(税別)
レーベル:dosukoi records
2017/3/26 BizLady掲載
執筆/袰川有希