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劇的な変化!ビジネス界の価値観くつがえす「母性の革命」|猪熊真理子さん(株式会社OMOYA代表取締役)

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『BizLady』では、各界で輝かしく活躍している女性のみなさんに、ゲストライターとして寄稿いただいています。今回のゲストライターは、“女性が豊かに生きていくために自由に学ぶ”をコンセプトに、女性なら誰でも参加できる学びの場『女子未来大学』を設立した、株式会社OMOYA代表取締役の猪熊真理子さんです。(編集部)

前回は、“女性が男性化(オス化)しないと活躍できない社会”から、“女性が女性らしさやその人らしさを活かして活躍できる社会”へと向かっていくために、改めて“母性”という価値観に注目してみたいというお話をしました。

では、この“母性”的な価値観というものは、いったいどういうものなのでしょうか?

 “母性”がみちびく価値観の革命

“母性”と聞くと、多くの方が子育てにおいて、母親が子どもに対して母性本能を発揮しているシーンを思い浮かべるのではないでしょうか?

私も今までに、母親である女性たちにたくさん出会ってきましたが、まさに“母は強し”。母親が持つ、母性というのはとても柔らかく優しく、愛情深く、そして力強いものだなぁと、彼女たちを尊敬の眼差しで見つめてきました。

そして次第に、この素晴らしい“母性”という力は、子育てだけでなく、社会や仕事においても同じ力を発揮できるのではないか、と思うようになりました。

母親が子どもにもつ母性を、“力の性質”として捉え直してみると、“生み出す”“育む”“受け入れる”の3つの性質の特徴があります。子を産み、育て、受け入れる。その力を子育てや家庭の中で発揮してきたのが、今までの母性の価値観です。

実はこういった母性的な側面は、男女関係なく誰しもが持っていると考えられます。そして、この“母性の力”を社会や仕事の中で活かしていくことで、新たなイノベーションが起こせるのではないか、と思っています。

新しい事業や社会活動を“生み出す”、組織や事業を“育てる”、多様な価値観を“受け入れて”イノベーションを起こす……。それはまさに“母性革命”と言える大きなパラダイムシフトになるのではないでしょうか?

“昇進したくない”女性の本当の気持ちとは!? 

いま日本政府は、指導的地位における女性の割合を2020年までに30%まで引き上げようとしていますが、そういう国家的戦略も背景にして、企業内で管理職に就く女性の割合も、ますます増え続けると考えられます。

ところが、実は会社の現場では、上司が女性社員に対して昇進の意欲があるかを尋ねると、「昇進したくない」「課長にはなりたくない」と答えてしまう女性が増えているのだそうです。かく言う私も、会社員時代、管理職にはあまりなりたくないと思っていましたし、当時の上司の方にそう伝えたこともあります。

なぜそんなことになってしまうのでしょうか?

背景の一つには、女性たちの側の“自信の欠如”があるようです。裁量や責任の大きい仕事を任される自信がないとか、キャリアとライフプランが接続できていないために、仕事上の責任が増えていくとライフプランが崩れそうで怖い、などの理由は、すべてそこに根ざしているように思います。

もう一つ根底にある理由として考えられるのは、男性上司と女性社員とのコミュニケーションギャップです。ここにも父性と母性との価値観のギャップが影を落としていて、男女間のすれ違いを生んでいると思われます。

上昇する父性と、水平的な母性

心理学における分類によると、“父性”的な価値観は、垂直な成長欲求で、“成る”ということを重視しています。昇格したい、昇進したい、給料を上げたい、上場したい……など、“上に昇っていく”価値観とも言えます。

一方で“母性”的な価値観は、水平な成長欲求で、“あるがままの状態”を重視します。実際に女性経営者の方々にお会いしていると、事業や会社の規模拡大や上場を目指すよりも、自己実現の先に、社会の中での自分たちの役割や“人の役に立つこと”を重視する経営者が多いように思います。

従来型の働く環境では、“父性”的な成長欲求を持っている管理職が多いため、“母性”的な水平な成長欲求を持つ女性たちの気持ちが理解されにくく、すれ違ってしまう。そういう価値観の違いが、コミュニケーションギャップを生み、女性活躍の機会を逃してしまっているのでしょう。

「昇進したくない」と部下の女性たちが言う時に、単に「やる気がない」と判断するのではなく、その真意にある価値観や不安や課題を相互理解しようとする管理職が増えれば、女性たちの活躍ももっと進めることができるのではないでしょうか。

既存の価値観とは異なる、新しい活躍のかたち

女性たちの活躍をより進めるために、カギとなるのが“相互理解”です。異なる価値観を持つ人同士が、互いのもつ可能性を引き出しあうことです。従来の価値観とは違うという理由で、理解されずに機会を失い、可能性を埋没させてしまってはもったいなさすぎます。

とはいえ、私は母性と父性に優劣があるとは思っていません。男性のなかにも父性と母性があり、女性のなかにも父性と母性がある。これからの時代に必要とされるのは、社会や組織の中における、父性性と母性性の“バランス”なのです。

今までの働き方は、どちらかというと父性的な価値観に偏っていました。でも今後、母性的な価値観を活かした活躍のかたちが増えていけば、既存の価値観では飽和・停滞してしまっていたマーケットや課題に対しても、新たな可能性が見えてくるように思います。

そこで必要なのは、母性性を活かした“新しい活躍のかたち”を創っていくこと。そのためのキーワードは、「一人ひとりの可能性を引き出す」「待つこと」「バランス感覚や受容力」「効率性・合理性だけでない創造性」「多様性、新しい価値を生み出す力」などが考えられます。

次回は、この母性的な価値観を活かした新たな女性の活躍について、さらに具体的にお話したいと思います。

【筆者】​​猪熊真理子(いのくま・まりこ)

株式会社OMOYA 代表取締役社長。東京女子大学文理学部心理学科卒業。学生時代に女性の自信形成に興味を持ち、心理学を学ぶ。2007年(株)リクルートに入社。ブライダル情報誌「ゼクシィ」で編集や企画の経験を積み、美容サロン検索・予約サイト「Hot Pepper Beauty」で事業戦略、ブランドプロモーション戦略、マーケティングなどに携わる。2011年から「女性が豊かに自由に生きていくこと」をコンセプトに、心理学・美容・ファッションなどの観点から商品やサービスの企画・PR・女性支援などを行い、Fashion&Beauty Bloggerとしても活動。2014年2月にリクルートを退職し、3月に株式会社OMOYAを設立。2015年は「人がより良く生きる、より豊かに生きるために」をテーマに、経営・ブランドコンサルティング、企画・マーケティング、女性活躍推進事業などを行っている。

2015/6/25 BizLady掲載

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