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「自己研鑽」の意味と使い方は?「自己啓発」との違いも解説【あらためて知りたい頻出ビジネス用語#66】

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ビジネスシーンではしばしば“自己研鑽”という言葉を耳にすることがありますよね。どのような場面で使う言葉なのでしょうか。今回は“自己研鑽”という言葉の意味や使い方についてお届けします。

“自己研鑽”という言葉について解説していただいたのは『たった一言で印象が変わる大人の日本語100』(ちくま新書)など、多数の著書を持つ国語講師の吉田裕子さんです。

「自己研鑽」の意味とは?

自己研鑽”の読み方は“じこけんさん”。学問などを深く究めるという意味を持っています。

“研鑽”の“研”は“研ぐ““磨く”、“鑽”は“(工具の)きり”“深く掘る”を意味する漢字。

工具で鋭く掘り下げていくようなイメージから 、“物事の道理を深く究める”という意味を持つようになりました。

現代日本語では、特定のスキルや学問を深める様子を指して使われています。

「自己研鑽に励む」「自己研鑽を積む」「自己研鑽に努める」といった形で使います。

「自己研鑽」はビジネスシーンではどんなシーンで使う?

ビジネスシーンにおいて“自己研鑽”は、能動的にスキルや知識を高めることを指して使われています。

組織から義務付けられたことではなく、仕事以外の時間を使って講座の受講や独学を通じて主体的に学ぶ姿勢を連想させる言葉です。

自分の前向きな意志を表明するときや、勉強やスキルの習得に熱心な人の姿勢を評する際に使われています。

「自己研鑽」の注意点は?目上の相手には使える?

“自己研鑽”の注意点は以下の2点です。

(1)職場から課せられた「学びの機会」には使わない

“自己研鑽”は、主体的に学んでスキルや専門知識を深めることを指す言葉です。例えば、会社から出席を義務付けられた研修や、仕事に必須な知識を学ぶことは、“自己研鑽”という言葉のイメージとは少々異なります。

【要注意例文】

・新入社員の研修を通じて、自己研鑽に励みたいと思います。

→職場から課せられた研修、身に着いていて当然のスキルの習得については、“自己研鑽”という言葉はそぐわない。

(2)「自己研鑽」の押し付けに注意

“自己研鑽”は、誰かに課せられたわけではなく、主体的に学んでいく姿勢を連想させる表現です。スキルアップのために努力することは大切なことですが、部下や後輩に対して、休日や職務時間外の“自己研鑽”を義務付けるのは、昨今のコンプライアンス上、不適切なケースもあります。ご注意ください。

【要注意例文】

・組織の一員として貢献できるよう、終業後はぜひとも自己研鑽を積んでください。

→例文のように、業務時間外の過ごし方まで指導することは不適切な場合がある。

「自己啓発」と「自己研鑽」の違いや使い分け方法は?

“自己啓発”と“自己研鑽”の響きは似ていますが、意味は少し異なります。

“自己啓発”は、知識や経験を積んで能力や人格を高めていくことですが、“自己研鑽”はどちらかといえば専門的な技術や学問を深めることを表す言葉です。

書籍にも“自己啓発本”というジャンルがありますが、仕事への姿勢を学んだり、新しい価値観を身に着けたりといった、精神的な成長を紹介しているものが多いです。

「自己研鑽」の例文は?

“自己研鑽”の例文を通じて使い方をイメージしていきましょう。

・これからも自己研鑽に努める所存です。

・彼は自己研鑽を怠らず職務を極めている見本だ。

・先輩の自己研鑽に励む姿は職場にとって良い刺激となっている。

・御社に入社したあかつきには、自己研鑽を怠らず、会社に貢献したいと存じます。

「自己研鑽」を言い換えると?類語や関連語は?

続いて“自己研鑽”の類語や、関連語をご紹介します。

(1)「精進」

“何か特定のことに一生懸命打ち込む”という意味で使われています。挨拶の際にもよく使う言葉です。

【例文】

・ご期待に応えるべく精進して参りますのでよろしくお願いします。

(2)「刻苦勉励」

力を尽くして、苦心して努めること。忙しい合間を縫うなど、苦労して勉学に励んでいることを表現します。

【例文】

・彼女は、刻苦勉励の末、難易度の高い資格を取得した。

(3)「スキルアップ」

技術や学力を向上させること。日常会話でも広く使われています。

【例文】

スキルアップのために、休日は英会話教室に通っています。

(4)「自分磨き」

“スキルアップ”と同様の意味で使われる意味もありますが、昨今では外見、所作など、自分の印象を整える意味でも使われています。

【例文】

・彼女はいつも自分磨きを怠らない。

「自己研鑽」の対義語は?

“自己研鑽”と対の意味を持つ言葉は、以下のようなものがあります。

(1) 「漫然と過ごす」

はっきりとした目的や意識をもたないまま、ただなんとなく過ごすこと。

【例文】

漫然と日々を過ごしている。

(2)「怠慢」

“怠慢”は、なまけ怠ること。仕事や、仕事や義務をおろそかにする様子を指して使われています。

【例文】

・私のスキルがあまり向上していないことについては、怠慢だと指摘されても当然だと思っています。

 

今回は、“自己研鑽”という言葉について解説していただきました。

自主的に学び続ける姿勢を表す言葉です。類似の言葉との違いも覚えておきたいものです。


 

【取材協力・監修】

吉田裕子

国語講師。塾やカルチャースクールなどで教える。NHK Eテレ「ニューベンゼミ」に国語の専門家として出演するなど、日本語・言葉遣いに関わる仕事多数。著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)は10万部を突破。他に『正しい日本語の使い方』『大人の文章術』(枻出版社)、『英語にできない日本の美しい言葉』(青春出版社)など。東京大学教養学部卒。

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