「ご了承ください」の意味は?
null“了承”は、事情などを納得し、受け止めること。「ご了承ください」は、こちらの事情を理解してもらうようお願いするときの表現です。
漢字の変換時に“諒承”という漢字も出てくるかもしれませんが、常用漢字の“了承”を使うのが一般的です。
ビジネスシーンでは「ご了承ください」はどんなときに使う?
nullビジネスシーンにおいては、やむを得ないような事情で何かしらの不都合が生じてしまうときに、相手の理解を求めるために使うことがあります。
【例文】
・悪天候により配送が遅れる可能性がありますので、あらかじめご了承ください。
私生活ではどんなときに使う?
「ご了承ください」という表現は、日常会話の中ではあまり使われていませんが、あらたまった書面の中ではビジネスシーンと同様に使われることがあります。
【例文】
・感染症の流行状況を配慮して、運動会は中止となる可能性もありますのでご了承ください。
「ご了承ください」の使い方の注意点は?よく見かける間違った使い方は?
null「ご了承ください」という表現は、やむを得ない事情をくみ取って納得してもらうようにお願いする表現であり、自分たちに不手際があったことを伝えるときには適していません。
こちら側に非がある場合には、その度合いに応じて「ご容赦ください」「申し訳ありません」などの表現を用います。
【NG例文】
・弊社の担当者の不手際により、納品が3日遅れますのでご了承ください。
→こちらに非がある場合には、「申し訳ありません」と謝罪する。
「ご了承ください」と言われたら何と返す?
null「ご了承ください」と言われた場合、返答には文末に以下のような表現が使われています。文法的には間違いではありませんが、ビジネスシーンでは「了承しました」と返答する場面はあまりありません。
・承知いたしました。
・了解いたしました。
・承りました。
・わかりました。
【例文】
A社担当者:このような状況ですので、今回は対面ではなくオンラインの打ち合わせになりました。何卒ご了承ください。
B社担当者:承知いたしました。よろしくお願いします。
「ご了承ください」の例文は?
null「ご了承ください」を使った例文をご紹介します。
・その期間は営業を休止しておりますので、あしからずご了承ください。
・本イベントは悪天候により中止になりました。何卒ご了承ください。
・このメールアドレスは自動送信です。返信いただいても対応できませんのでご了承ください。
・予定数に達した場合は締め切らせていただきますので、あらかじめご了承ください。
「ご了承ください」の言い換え表現や類語は?
null続いて「ご了承ください」の言い換え表現や類語をご紹介します。
(1)「ご理解ください」
相手にこちらの事情を説明し、納得してもらうときに使います。「ご了承ください」の注意点と同様ですが、
【例文】
・当日の天候によっては中止の可能性もありますので、どうぞご理解ください。
(2)「ご承知おきください」
「ご承知おきください」は、今後起こりうるリスクや注意点などを知っておいてもらうときに使います。
【例文】
・状況により変更がありますことをご承知おきください。
(3)「ご容赦ください」
「ご容赦ください」は、「ご了承ください」「ご理解ください」と比べるとお詫びのニュアンスが強くなります。迷惑をかけるかもしれないとき、相手の期待に添えないかもしれないときにあらかじめ断っておくために使います。
【例文】
・行き違いですでにお手続きを完了されている場合は何卒ご容赦ください。
今回は、国語講師の吉田裕子さんに「ご了承ください」の意味や使い方を解説していただきました。
やむを得ない事情で不都合が生じるかもしれないときに役立つ言葉です。使い方を覚えておくと役立つのではないでしょうか。
【取材協力・監修】
吉田裕子
国語講師。塾やカルチャースクールなどで教える。NHK Eテレ「ニューベンゼミ」に国語の専門家として出演するなど、日本語・言葉遣いに関わる仕事多数。著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)は10万部を突破。他に『正しい日本語の使い方』『大人の文章術』(枻出版社)、『英語にできない日本の美しい言葉』(青春出版社)など。東京大学教養学部卒。