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「アウトソーシング」の意味をおさらい!「下請け」との違いも解説【あらためて知りたい頻出ビジネス用語#42】

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近年の企業活動において、急速に拡大している“アウトソーシング”。今回は、ビジネスシーンにおける“アウトソーシング”という言葉の最新の意味や使い方、使用の際の注意点について解説します。

解説して頂いたのは『たった一言で印象が変わる大人の日本語100』(ちくま新書)など、多数の著書を持つ国語講師の吉田裕子さんです。

「アウトソーシング」の意味は?

まず最初に、国語辞典に掲載されている“アウトソーシング”の意味をご紹介します。

『デジタル大辞泉』(小学館)

社外から生産に必要な部品・製品を調達したり、業務の一部を一括して他企業に請け負わせる経営手法。社外調達。外部委託。→インソーシング

百科事典の『日本大百科全書』(小学館)には、以下のように解説されています。

『日本大百科全書』(小学館)

ある組織がその事業や業務の一部を、外部の専門組織へゆだねること。「外部委託」「外製化」「外注化」ともよばれる。

子会社への業務委託を含めることもある。対義語はインソーシングinsourcing(内製化)。

アウトソーシングのうち海外に委託することをオフショアリングとよぶ。もともとアウトソーシングは情報システムの構築・運用・保守などを外部の専門企業に任せることから始まったが、現在では、製造、研究・開発、物流、営業、人事・教育、経理、施設管理、福利・厚生など多くの事業分野が対象となっている

ビジネスシーンではどんな意味で使われている?

ビジネスシーンにおいて、“アウトソーシング”は経営の合理化やコスト削減を目的として、ある組織が事業や業務の一部を外部の専門組織へゆだねることを指します。

日本では1990~2000年代に人事、経理、事務など管理部門の業務の一部を外部の組織に委託する企業が増加しました。現在はシステム管理、コールセンター、従業員教育、研究・開発など、幅広い分野が“アウトソーシング”の対象となっています。

「アウトソーソング」はどんなシーンで使う?

“アウトソーシング”は企業の上層部や管理責任者などが、経営や事業戦略について議論する際に使われる単語です。

社内で行っていた業務の一部を専門の組織に委託することで経営の効率化やコスト削減を図ったり、人材不足の中小の組織が特定の業務を外部委託して主軸となる事業に注力することを目指すとき、“アウトソーシング”が議題にのぼります。

私生活シーンでも「アウトソーシング」を使う?

近年は、ビジネスシーンにとどまらず、私生活でも“アウトソーシング”という言葉が使われるようになっています。例えば、家事を専門業者に外注することを“家事のアウトソーシング”と呼ぶことがあります。

「アウトソーソング」の使い方の注意点は? 「下請け」との違いは?

“アウトソーシング”は “下請け”や“分業”と同義ではありません。それぞれの言葉の意味は以下の通り。

アウトソーシング・・・社内の業務の一部を外部の専門組織に委託すること。

下請け・・・ある企業が請け負った製造・修理などの仕事の一部・またはすべてを、子会社・取引企業などが請け負うこと

分業・・・トータルの工程をいくつかの作業に分割したうえで、従業員が特定の作業に従事すること。

なかでも“アウトソーシング”と“下請け”を混同する方が多いようです。

取引先から受注した仕事を、立場の弱い子会社や関連会社に再度発注するのは“アウトソーシング”とは異なります。

ただし、近年では実態が“下請け”でも、”下請け”という言葉を使わずに、委託元と委託先の力関係が見えにくい“アウトソーシング”という言葉をあえて使うケースもしばしば見受けられます。“アウトソーシング”と“下請け”の意味の違いが曖昧になっている職場もあるようです。

「アウトソーシングの」間違った使い方の例は?

以上のことを踏まえて“アウトソーシング”の要注意表現は以下の通りです。

【NG例(1)】“下請け”との混同

・弊社では、商品の一部の部品の製造は子会社にアウトソーシングしています。

→“アウトソーシング”の本来の意味をふまえると、子会社や関連会社に製造業務を下請けに出す際には“委託”などと言い換えた方がベター。

【NG例(2)】人材派遣の活用と混同

・来期から人事部では、派遣社員を採用し、給与計算をアウトソーシングする予定です。

→“アウトソーシング”は専門の組織に一部業務を委託すること。採用した派遣社員に依頼することは“アウトソーシング”とは異なります。

「アウトソーシング」の例文は?

続いて“アウトソーシング”の例文を通じて、具体的な使い方をイメージしていきましょう。

アウトソーシング先を早急に手配してください。

・他社に給与計算をアウトソーシングをする場合、情報漏洩に注意しなければならない。

・業務の一部をアウトソーシング化しましょう。

・電話の受付業務をアウトソーシングする企業は珍しくない。

・共働き夫婦の増加で、一部の家事をアウトソーシングする家庭が増えている。

「アウトソーソング」の類語・関連語は?

“アウトソーシング” の関連語をご紹介します。“アウトソーシング”との意味の違いにも着目してチェックしていきましょう。

(1)「外部委託」

“委託”は一部の業務を外部の人や機関に頼んで任せること。個人に依頼する場合も“外部委託”を使うことができます。

【例文】

・専門業務の外部委託を検討しています。

(2)「外部リソース」

“リソース”は資源のこと。外部委託先である専門的な知見がある企業や個人を“外部リソース”と呼ぶことがあります。

【例文】

・今後は、知的財産権を守るために、弁護士などの外部リソースを活用する必要がある。

(3)「経営の合理化」

経営について議論する中で、“経営の合理化”という言葉が出てきます。“経営の合理化”の一つの手段として一部業務のアウトソーシングを検討する企業もあります。

【例文】

経営の合理化の一環で、アウトソーシング化を進めている。

(4)「オフショア」

人件費の安価な海外企業や海外子会社に委託・移管することを“オフショア”“オフショアリング”と言います。

【例文】

オフショアによって、国内製造業の空洞化が進んだという声もある。

(5)「ファブレス」

生産設備を持たずに製品の製造を外部の会社へと委託すること。企画・設計・マーケティグに特化し、製造は提携した工場に委託する経営手法を“ファブレス経営”と呼ぶこともあります。

【例文】

ファブレス経営によってグローバル市場で成功を収めた企業もある。

 

以上、国語講師の吉田裕子さんに“アウトソーシング”の意味を解説して頂きました。

ビジネスシーンでは頻出する言葉なので、意味を覚えておきましょう。


 

【取材協力・監修】

吉田裕子

国語講師。塾やカルチャースクールなどで教える。NHK Eテレ「ニューベンゼミ」に国語の専門家として出演するなど、日本語・言葉遣いに関わる仕事多数。著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)は10万部を突破。他に『正しい日本語の使い方』『大人の文章術』(枻出版社)、『英語にできない日本の美しい言葉』(青春出版社)など。東京大学教養学部卒。

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