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舌触りなめらか!「じゃがいものニョッキ」は手作りで簡単に。濃厚クリームソースで【プロが教えるおうちイタリアン#32

東京都千駄ヶ谷にある隠れ家的イタリア料理店『Bistro Coco 路地裏』のオーナーシェフ・小野宗隆さんに、おうちで楽しめるビストロ料理を教えてもらう連載企画。

今回は、じゃがいもで作る「ニョッキ」を紹介します。ニョッキは小野さんのお店の人気メニューで、なめらかでクリーミーな味わいが絶品! 実はニョッキはじゃがいもと小麦粉を混ぜるだけと作り方は至ってシンプル。おうちでも手軽に楽しめるんです。

手作りニョッキはじゃがいもの旨味&甘味を感じる

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「ニョッキ」はじゃがいもと小麦粉で作る団子状のパスタの一種で、イタリアではおなじみの定番料理。一見、家庭で作るにはハードルが高そうに感じますが……。

「日本ではお店で食べる人が多いと思いますが、イタリアでは手作りする家庭も多いですよ。じゃがいもと小麦粉に塩と粉チーズを混ぜ合わせるだけなので、実は意外と簡単なんです。

腹持ちがよく、ショートパスタ感覚でパスタソースをたっぷり絡めていただきましょう。ソースは特にチーズ系のクリームソースがよく合います。冷凍保存できるので、お店では2kgのじゃがいもを使って一度にまとめて仕込んでおきます」(以下「」内、小野さん)

メインとなる材料はじゃがいもと小麦粉、さらに冷凍保存もできるとあって、イタリアのお母さんたちの暮らしを支えるお助け料理のひとつなのかもしれませんね。早速、作り方を見てみましょう!

【材料】(2人分)

じゃがいも・・・大2個(400g)

塩・・・ひとつまみ

粉チーズ・・・大さじ1

薄力粉・・・100g

粗挽き黒こしょう・・・適量

 

[ソース](2人分)

生クリーム・・・200ml

ミックスチーズ・・・80g

塩・・・ひとつまみ

粗挽き黒こしょう・・・少々

粉チーズ・・・大さじ2

【作り方】

(1)じゃがいもを切る

じゃがいもは皮をむき、縦長になるよう4等分に切ります。

「ニョッキ作りで失敗しないためには、粉との比率が大事。じゃがいもは正味400gになるように計量しておくと、薄力粉100gに対して、ちょうどよいバランスになります。この切り方だと断面が多くなり、火が早く均等に入るので、煮崩れしにくくなりますよ」

(2)じゃがいもをゆでる

じゃがいもは水からゆでます。沸騰してから15分ほどゆでましょう。竹串を通してスッと通ればOKです。

(3)じゃがいもの水気を飛ばす

じゃがいもを一度ザルにあげて湯を切り、鍋に戻して再度火にかけ、じゃがいもの周りの水分をしっかり飛ばしてください。水分が飛んだらザルにあげておきます。

「ニョッキを作る時は、水っぽくならないよう、水気をしっかり飛ばすのがポイントです」

(4)じゃがいもを濾す

粗熱が取れたら、じゃがいもを濾します。金ザルなどにスプーンで押しつけて濾すと簡単です。

「今回のじゃがいもは“男爵”を使用しました。“男爵”はホクホク、“メークイン”はねっとりした食感に仕上がるので、お好みの品種を選んでください」

(5)粉などを振る

濾したじゃがいもを台に広げ、塩(ひとつまみ)、粉チーズ(大さじ1)、薄力粉(100g)を振ります。

「ザルを使うと均等に粉を振ることができます。薄力粉の量は、じゃがいもの1/3量弱くらいが目安です」

(6)生地をひとつにまとめる

全体をさっくりと混ぜ合わせ、こねずに“押して畳む”のを繰り返し、生地をひとつにまとめます。ひとつにまとまったら、これでニョッキの生地の完成です!

「コネコネと練るというよりも、さっくりと合わせるイメージで、押して畳むのを繰り返してください。じゃがいもの水分を粉に吸わせるイメージです。ここで充分にじゃがいもと粉が合わさっていないと、ゆでた時にボロボロになってしまいます」

(7)10分ほど冷蔵庫に入れる

冷蔵庫に10分ほど入れて、生地をなじませます。

(8)生地を棒状にする

薄力粉適量(分量外)を台に振り、冷蔵庫から取り出した生地を4等分に分けます。打ち粉をしながら、直径1cmの棒状にしていきます。これを同様にあと3本作りましょう。

(9)生地を切る

棒状になったら1〜2cm幅に切り、ソースが絡みやすいよう、フォークで模様をつけます。

「側面からフォークを押しつけて、溝を作るような感じで模様をつけてみてください」

(10)ソースを作る

フライパンに生クリーム、ミックスチーズを入れ、塩(ひとつまみ)、粗挽き黒こしょう(少々)を振り、中火にかけ、沸騰する直前まで温めておきます。

(11)ニョッキをゆでる

沸騰した湯で、ニョッキを2分ほどゆでます。ニョッキが浮いてきたら、ゆであがったサインです。ニョッキが浮いてきたらザルにあげ、湯を切ってください。

「ニョッキは食べる分だけゆでて、食べない分は冷凍してください。冷凍で約1カ月間保存できます」

(12)ソースとニョッキを合わせる

フライパンのソースにゆであがったニョッキを入れ、粉チーズ(大さじ2)を振ります。味見をして、必要なら塩・こしょう各少々で味を調えてください。

(13)できあがり!

器に盛り付け、粉チーズ(適量/分量外)、粗挽き黒こしょう(適量)を振ったら完成です! 熱々のうちにいただきましょう。

食べた瞬間、何と言っても驚いたのは、ニョッキのなめらかな舌触り! もっと弾力があってむちむちしているのかと思ったら、もっちりしているのになめらかで、口の中でとろけるよう。粉が少なめなので重すぎず、じゃがいも本来の甘味をじんわり感じます。そして、チーズたっぷりの濃厚なソースをたっぷり絡めて、ひと口食べると、もう幸せいっぱいに。ニョッキってこんなに美味しかったんだぁ…と、思わず「ほぅ」っとため息が出るほど。

「ニョッキのソースはチーズ以外でも、トマトやボロネーゼなどのパスタソースもよく合います。ぜひパスタ感覚で気軽に楽しんでみてください。自家製ニョッキは冷凍で1カ月くらい保存できるので、まとめて作っておくと便利ですよ」

パスタよりゆで時間も短いので、冷凍しておけば、食べたい時にパッと調理できそうですね。そして何と言っても、じゃがいもの風味や甘味を感じる、ニョッキの素朴でありながら上品な美味しさに改めて気付かされました。秋も深まり、濃厚なクリームソースが恋しい季節、ぜひ作る工程も楽しんでみてください。

 

取材・文/岸綾香

小野宗隆
小野宗隆

東京都千駄ヶ谷にあるイタリア料理店『Bistro Coco 路地裏』のオーナーシェフ。提携農家の産直有機野菜や無農薬野菜、地元から直送される父親が釣り上げた魚介類、鹿や熊のジビエなど、鮮度のよい食材にこだわる。イタリア料理、フランス料理を中心に料理長としてのキャリアを積み上げ、店舗立ち上げやメニュー開発などを多数経験。ソムリエの資格も持つ。kufuraの料理動画『プロが教える本格パスタレシピ』も大人気。

 

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