食材は3つだけ!まさみ流の美味しくなるひと手間が満載!
null野菜が高いので、美味しく賢くムダなく使い切りたい。そこでおすすめなのが、今回紹介する「鶏たま大根」。
「大根と鶏肉は相性抜群。よく鶏手羽元と煮ますが、今回は手軽に使えて食べやすい鶏もも肉で作ります。ポイントは先に鶏もも肉の皮目をこんがりと焼きつけてから煮込むこと。これで鶏もも肉の旨味が凝縮され、香ばしくて食べやすくなります。照りも出て、仕上がりもきれいになりますよ。
だしは使わずに、オイスターソースでコクと旨味をアップ。甘じょっぱい中華風の味付けで、ごはんのおかずにもぴったりです。煮物は30分ほど煮込むため、まとめて作ったほうが美味しいので、今回は4人分のレシピにしています」(まさみさん)
食材が3つだけ(鶏もも肉、大根、卵)というのも嬉しい限り。早速、作り方をチェックしてみましょう。
【材料】(4人分)
大根・・・2/3本(800g)
鶏もも肉・・・2枚(500g)
酒・・・大さじ1/2
しょうゆ・・・大さじ1/2
片栗粉・・・大さじ3
ごま油(鶏もも肉を焼く)・・・大さじ1
ごま油(大根を焼く)・・・大さじ1
しょうが(薄切り)・・・1片(15g)
卵(常温)・・・4個
[調味料]
水・・・600ml
酒・・・大さじ1
砂糖・・・大さじ1
しょうゆ・・・大さじ2
オイスターソース・・・大さじ1
【作り方】
(1)大根を切る

大根は1.5cm幅に切ってから、厚めに皮をむきます。さらに半分に切って、半月切りにします。
「大根の皮は厚めにむいたほうが火が通りやすくなります。皮はもったいないので、漬け物やおみそ汁の具材に活用するといいですよ」(まさみさん)
(2)鶏もも肉を切る

鶏もも肉は水気を拭いて臭みを取り、筋と脂肪を取り除き、ひと口大に切ります。大根に合わせて、鶏もも肉はやや大きめに切りましょう。
「鶏肉の筋と脂肪を取るのは、アシスタントの俺の仕事だ(笑)。これが臭みの原因になるので、ここでひと手間かけることで、グンと美味しく仕上がるよ」(まさるさん)
(3)鶏もも肉に下味をつける

鶏もも肉に酒としょうゆをかけてよくもみこみ、常温に10分ほど置きます。10分置いたら片栗粉をよくもみこんでください。
「煮物で下味をつけるのは珍しいかもしれませんが、今回は先に焼きつけてから煮込むので、下味をつけることで香ばしく仕上がり、味もグッと染み込みやすくなります」(まさみさん)
(4)鶏もも肉を焼く

フライパンにごま油を熱し、油が冷たいうちに皮を下にして鶏もも肉を入れます。強めの中火でこんがりと焼き、焼き色がついたらひっくり返します。これから煮込むので、裏側はサッと焼けばOKです。両面を計3分ほど焼いてください。
「今回はオイスターソースを使うので、炒め油もごま油を使って中華風の味付けに。鶏もも肉は熱々の油にいきなり入れると皮が縮んでしまうので、油が冷たいうちに入れてゆっくり火を通してください。こうすることで、皮の縮みを和らげることができます。先にこんがり焼きつけると皮が香ばしくなり、見た目もきれいに仕上がりますよ」(まさみさん)
(5)大根を焼く

一度フライパンの油を拭いてから、ごま油をひき、大根と皮ごと薄切りにしたしょうがを入れ、強めの中火で炒めます。
(6)調味料を入れる

油が全体に回ったら、水、酒、砂糖、しょうゆ、オイスターソースを入れて味付けします。
「オイスターソースを使うので、今回はだしは使わず、水で煮ていきますね」(まさみさん)
(7)焼いた鶏もも肉を入れる

アクが出てきたら取り除き、焼いた鶏もも肉を入れます。旨味が出ている肉汁も余すところなく一緒に入れましょう。
(8)中火で約30分煮込む

煮立ってきたら落としぶたをして、中火で約30分煮込みます。ムラなく仕上がるように、途中で上下を入れ替えるようにして混ぜてください。
(9)ゆで卵を作る

大根を煮ている間にゆで卵を作りましょう。熱湯に酢適量(分量外)を入れ、卵を静かに入れて中火で7分ゆでます。ゆであがったら、すぐに氷水に取り、ゆで卵の殻をむきます。これでちょうどいい感じの半熟卵のできあがり!
「卵は常温に戻しておき、熱湯からゆでた方が半熟具合が安定します。熱湯に入れると割れやすいので、酢を加えるのを忘れずに。酢にはタンパク質を固める効果があるので、卵が割れて、卵白が流れるのを防いでくれますよ」(まさみさん)
(10)大根に火が通っているかチェック

30分ほど煮込んだら、大根に竹串を刺して、火が通ったか確認しましょう。スッと通ればOKです。
「鶏もも肉に片栗粉をまぶしてあるので、とろみたっぷり! とろみがあるので冷めにくく、味がよく絡んでくれます」(まさみさん)
「ウマそうだな! これは孫に絶対作ってやりたいな!」(まさるさん)
(11)ゆで卵を加える

隙間にゆで卵を入れ、煮汁をかけます。煮過ぎると、せっかくの半熟卵が硬くなってしまうので、あまり煮込まないよう注意して。
(12)できあがり!

ゆで卵がほどよく温まったら完成です。
照り照りの鶏もも肉が輝いて、もう見るからに美味しそう! 大根は今にも崩れそうです。ひと口食べると甘じょっぱいコク旨味で、思わず「ごはんがほしい」と心の声が……! 大根はトロトロで口の中でホロッと崩れ、香ばしい鶏もも肉も最高。旨味が溶け出た煮汁はとろみがあるのでよく絡み、ゆで卵のトロリとした半熟具合も絶妙です。
早速、作ってみたところ、うちの食いしん坊家族にも大好評! たくさん作ったはずなのに、あっという間になくなる勢い。もうすぐ2歳になる娘は、鶏もも肉がとても気に入ったようで「もうちょっとちょーだい!」と何回もおかわりをしてくれました。そして、私が絶対にやりたかったのが、ごはんにかけて「鶏たま大根丼」にすること! 煮汁もたっぷりかけて丼にしたら、もう幸せ……。何杯でも食べられそう。
家族が喜ぶ「鶏たま大根」は、ごはんが進む最強のおかず。我が家ではリピート必至になりました。ぜひ、たっぷり作ってみなさんも味わってみてください。
取材・文/岸綾香

小林まさみ/料理研究家。結婚後、会社勤めをしながら調理師学校に通い、料理研究家を目指し、料理愛好家 平野レミさんのアシスタントなどを経て、独立。誰でも作りやすく、家庭的なアイディアあふれるレシピにファンが多く、テレビや雑誌、書籍、企業のレシピ開発、料理教室など幅広く活躍。自身のオンラインショップ『台所用品と食「暮らしの仲間」』では、厳選した台所用品や食材を販売。『小林まさみの料理教室 ていねいな献立づくりがわかる本』(山と渓谷社)など著書多数。Instagram:@kobayashimasami.masaru
小林まさる/昭和8年生まれ。料理研究家・小林まさみの義父。定年後70才から小林まさみの調理アシスタントを務め。78才でシニア料理研究家としてデビュー。長年料理をしてきた経験から、冷蔵庫の中にある食材でパパッと作るアイディア満点の家庭料理やおつまみが得意。著書に『人生は棚からぼたもち!』(東洋経済新報社)など。88才からスタートした公式YouTube『小林まさる 88 チャンネル』も好評。