にんにく、アンチョビ、オリーブオイルの三位一体を味わう
nullにんにくが効いた濃厚なソースがたまらない「バーニャカウダ」は、イタリア・ピエモンテ地方の郷土料理。ピエモンテ語で「バーニャ」は「ソース」、「カウダ」は「熱い」を意味するそうです。
日本でも一般的になり、市販のバーニャカウダソースなども売られていますが、家庭で作る方法って知っていますか? 本格的に作ろうとすると、実はちょっと面倒なんです。
「にんにくを牛乳で1時間煮て、やわらかくなったら牛乳から取り出し、にんにくとアンチョビをフードプロセッサーにかけ、生クリームやオリーブオイルを加えて、熱々にして食べます。こんな感じで手間も時間もかかるんです。
でも、ここまでしなくても、にんにく、アンチョビ、オリーブオイルの3つだけで充分おいしい。もともとは庶民のシンプルな料理です。私のお店では今回教える方法でソースを作っていますが、みなさんおかわりする勢いですよ。
野菜はゆで過ぎてグシャッとしては、おいしいソースが台無しなので、パリッとした歯応えを残す“1分ゆで”を厳守してください」(以下「」内、小野さん)
お店では、一度になんと1kgのソースを仕込むという小野さん。常連のお客さんたちの大好物だというバーニャカウダ、ぜひ教えてほしいです!
【材料】(2人分)
[ソース]
にんにく・・・50g
アンチョビ・・・50g
オリーブオイル・・・80ml
[野菜]
ブロッコリー・・・2房
カリフラワー・・・2房
オクラ・・・2本
パプリカ(赤・黄)・・・各1/6個
かぶ・・・1個
ズッキーニ・・・1/3本
ベビーコーン・・・2本
【作り方】
(1)野菜を切り揃える
「バーニャカウダは野菜の食感も命!」と小野さん。パリッとした歯応えを残すため、ゆで時間は1分を厳守してほしいとのこと。まずは、1分で同時にゆで上がる大きさに切り揃えるのがポイントです。
ブロッコリーとカリフラワーは半分に、オクラはがくをむき、パプリカは縦半分に、かぶは厚めに皮をむいて6等分のくし形切りに、ズッキーニは1cm幅の斜め切りにします。ベビーコーンはそのままでOK。
「野菜は何を使ってもいいですよ。ぜひ、旬のおいしい野菜をたっぷり味わってください」
(2)にんにくをみじん切りにする
にんにくは潰すと皮がツルンとむけます。千切りにしたら向きを変えて、細かいみじん切りにして、切り終わったら小鍋に入れておきます。
(3)アンチョビをみじん切りにする
アンチョビは今回、缶詰のものを使います。先にオイルを小鍋に入れ、フィレは細かいみじん切りに。切り終わったら小鍋に入れます。
「にんにくとアンチョビは1:1が黄金比。アンチョビは缶詰や瓶詰めで売られているので、1回で使い切りたい場合は、アンチョビににんにくの量を合わせると、調整しやすいですね」
(4)オリーブオイルを入れる
鍋にオリーブオイルを入れます。
「今回オリーブオイルは80ml入れますが、それはあくまでも目安なので、自宅の鍋の大きさに合わせて、ひたひたになるまで調整して入れてください」
(5)10分ほど極弱火で煮る
鍋を強火にかけ、沸騰したら極弱火にして10分ほど煮ます。
(6)野菜を1分ゆでる
沸騰した塩水(約1%濃度)に切った野菜を入れ、1分ゆでて取り出します。
「この時、失敗しないポイントは横着せずに必ずタイマーをかけること。1分を厳守するだけで、パリッとした絶妙な歯応えにゆで上がりますよ」
(7)ソースと野菜を盛り付ける
ソースは器に盛り、野菜と一緒に彩りよく盛り付けてください。
(8)できあがり!
熱々のソースを野菜にたっぷりつけて、いただきましょう。
かぶにソースをたっぷりディップして口に入れた瞬間……これは危険な予感! 無限に食べられると直感しました。にんにく、アンチョビ、オリーブオイルとイタリア料理を代表する素材の三位一体、まさに最強のタッグがここに!
にんにくがガツンと効いた濃厚なソースは、アンチョビの塩気も最高。シンプルで雑味が全然ないから、ゆで野菜の甘味がグンと際立ちます。そしてゆでただけの野菜がなんておいしいのでしょう! ブロッコリーはコリッと軽やかな歯触り、ズッキーニは甘くてみずみずしく、オクラは凛としてパリッとした食感。
気付くと野菜がどんどん消えてなくなり、これはいくらあっても足りない!
「このソースは冷蔵で1カ月ほど保存できるので、お店では一度にまとめて作っておきます。パスタと和えたり、熱々のじゃがいもにかけたり、ドレッシングにしたり、いろいろ使えて便利なんですよ」
このソース、我が家にも常備したいです。シンプルなものって本当においしい。これぞイタリア料理の極みだなぁと、感動してしまいました。大人も子どももモリモリ食べること間違いなし。このソースで元気な夏野菜をたっぷり味わってみてください!
取材・文/岸綾香