しっかり水分を飛ばし切ることがポイント!
null華やかなピンク色と甘さで子どもにも人気の「桜でんぶ」。市販されているものは甘さや色がキツいな……と感じる方にこそお届けしたい、手作りのすゝめです。
「白身魚である“たら”をそぼろにして味付けていくのですが、好みの甘さに調整できるのが手作りのいいところ。今回は甘さ控えめの分量です。
なお、スーパーなどでは“生たら”と“甘塩タイプのたら”
ひな祭りシーズンに人気のちらし寿司や、お弁当などにも喜ばれることうけあいですから、ぜひチャレンジしてみてくださいね!」(以下「」内、沼津さん)
身がふわふわっとほぐれていく様子を、ぜひみなさんにも体験していただきたい!
【材料】作りやすい分量(およそ茶碗1杯分/約90g)
生たら・・・3切れ(約300g)
酒(食塩不使用)・・・50ml
砂糖・・・大さじ2と1/2~3
塩・・・小さじ1/4
水で溶いた食紅・・・少々
【作り方】
(1)たらを茹でる
熱湯にたらを入れ、約3分茹でます。
「茹でることで皮や骨が取りやすくなります。また、臭みも取れます」
(2)冷水にとり、皮・骨・薄皮を取り除く
3分経ったら、たらを冷水に取ります。水を取り替えつつ、汚れを落とすようにたらを洗い、皮・骨・薄皮を手で取り除いていきます。身はバットなどに移していきましょう。
「皮や薄皮が残ってしまうと臭みの元となるので、この作業は丁寧に」
(3)ボウルに身をうつしてほぐす
キッチンペーパーをたらの上にかぶせ、軽くおさえながら水分を取ります。そのままボウルに移し、麺棒(泡立て器やおたまでも可)で叩いて身をほぐしていきます。
「あらかじめ身をほぐしておくことで、火の通りが早く、水分が飛びやすくなります。今回はボウルに移しましたが、このあと使うお鍋に入れて作業してもOKですよ」
(4)鍋に材料を入れる
ある程度、身がほぐれたところで鍋に移します。まだ火はつけません。そこへと臭み消しのための酒、砂糖、塩を入れて全体をひと混ぜします。さらに、水で溶いた食紅を少量ずつ入れ、着色していきます。
「今回は生たらを使用していますが、もし甘塩タイプのたらで作る場合、塩は不要です。
食紅は少量でも色付きやすいので、様子を見ながら着色していきましょう。私は、お上品な桜色にしたかったので、2〜3滴ほどと控えめにしました。もしご家庭に食紅がない方は、このままでも十分おいしいので、“白でんぶ”をお楽しみください」
(5)水分を飛ばしながら混ぜる
火をつけ、酒の中で身をほぐしていきます。酒が沸くまでは強火、沸いたら中火という火加減に。水分が飛んできたら、泡立て器で叩いたりぐるぐる混ぜたりしながら、さらに7〜8分ほど繊維をほぐしていきます。
「水分が残っていると日持ちが悪くなるだけでなく、生臭さの原因にも……。ここでは、焦がさずにしっかり水分を飛ばしきることが大切です。どうしても鍋底は焦げつきやすくなりますが、これこそしっかり水分が飛ばせている証し!
次第に繊維がふわっとして、キラキラと光ってきたら完成です」
(6)できあがり!
冷蔵で4〜5日以内を目安に食べ切りましょう。
食べてみると、ほんのりとした甘さで優しいお味!
正直、これまで桜でんぶを食べて魚の風味を感じたことはなかったのですが、沼津流は素材のたらの旨みも感じられるでんぶに。薄桃色な色合いとともに、なんてお上品なんでしょう! 作りたての、ふわふわっとした食感も新鮮です。
というわけで早速、我が家でも食紅なしの白でんぶ作りに挑戦。水分を飛ばす作業は頑張りどころでしたが、繊維がほぐれると粉雪のようで目を楽しませてくれました。ほわっとたちこめる甘い香りにも癒やされます。
そうしてできあがった後、鍋にびっしりと張りついた“たら”がもったいなく感じた筆者は、その鍋でおすましを作ってみることに。すると、ふだんよりも出汁が感じられるおいしい一杯に仕上がりました。最後まで味わいつくせた気がします(笑)。
「鶏そぼろ、炒り卵とともに3食丼にしてもいいですね。酢飯と合わせると、甘さが引き立って一層おいしく感じられますよ」
手作り「桜でんぶ」で、食卓を春色に彩ってみませんか?
【取材協力】
沼津りえ
料理研究家、管理栄養士、調理師。料理教室『cook会』主宰。バラエティー豊かなレッスン内容が好評で、東京・阿佐ヶ谷を中心に数多くの料理教室を開催。毎年、梅漬けの教室はリピーターが多く大人気に。手軽でシンプルなアイディア溢れるレシピに定評があり、雑誌などのメディアでも活躍。著書に『いろんな味で少しだけつくる ちょこっとだけ漬けもの』(学研プラス刊)、『55分焼きたてパン 粉100gの食べきりレシピ。手も道具も汚さずパパッとかんたん』(主婦の友社)、『米粉があれば!パンもおかずもおやつも極上』(主婦の友社)、『母から娘に伝えるはじめてのLINEレシピ』(ART NEXT)など多数。HPはこちら。Instagram@rienumadu YouTube 管理栄養士 沼津りえの「阿佐ヶ谷夫婦チャンネル」