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甘さ控えめ!お手軽「さつま栗きんとん」はお正月以外も恋しくなる味でした【沼津りえの季節の手仕事#17】

季節の移ろいを感じながら、作る過程を楽しみたい「季節の手仕事」。旬の恵みを存分に味わう逸品を料理研究家・沼津りえさんが丁寧に解説してくれます。

今回は、旬のさつまいもを使って「栗きんとん」を手作りしていきます。

甘さは甘露煮のシロップだけで!裏漉しいらずの工程も必見

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今まさに食べ頃を迎えている「さつまいも」。沼津さんにおすすめのさつまいもレシピをうかがったところ、ご自身の料理教室でも人気という「栗きんとん」を挙げてくださいました。

栗きんとんといえば、一般的におせち料理としてなじみ深いですよね。市販の栗きんとんは、日持ちをよくするために砂糖をたっぷり使用したものが多く、甘すぎる……と感じる方もいらっしゃるのでは。

そこで沼津流の栗きんとんに注目!

「わが家の栗きんとんは、さつまいもと市販の栗の甘露煮で作るお手軽版! 甘露煮のシロップを利用するので、砂糖は使わないんですよ。さつまいもの素朴な甘さが堪能できますし、アイディア次第でスイーツとしてもお楽しみいただけます」(以下「」内、沼津さん)

好みのなめらかさ&甘さに調整できるのが手作りならでは! 早速、作り方を見ていきましょう。

「さつま栗きんとん」の作り方

【材料】作りやすい分量

さつまいも・・・1本(約300g)

栗の甘露煮(市販)・・・5~6粒

甘露煮のシロップ・・・大さじ2~お好みの分量

塩・・・ひとつまみ(~適量)

くちなしの実・・・1コ

【用意するもの】

お茶パックなど不織布の袋・・・1枚

【作り方】

(1)さつまいもを切り、皮をむく

さつまいもを2~3cm幅の輪切りにし、皮から2mmほど内側にある筋をなぞるように、包丁で厚めに皮をむきます。

「皮に近いところは繊維が多く、あまり口触りがよくありません。皮を厚めにむくことで、口当たりなめらかに仕上がります」

(2)水に浸けてアクを抜く

さつまいもは、切ったそばから水を張ったボウルに入れてさらしておきましょう。5分ほど経ったら、2~3回水を変えます。

「水にさらすことで、アクを抜いてデンプン質を流します。皮も栄養があっておいしいので、ぜひかりんとうなどに活用してくださいね」

(3)さつまいもを茹でる

輪切りにしたさつまいもを鍋に入れ、ひたひたに水を張り、柔らかくなるまで茹でていきます。

今回は、色付けのためにくちなしの実を使います。くちなしの実はキッチンバサミなどで割り、お茶パックなど不織布の袋にまとめてから鍋に入れます。

「くちなしの実はなくてもOKです。入れてあげると黄色く色付いて、より栗きんとんらしい仕上がりとなりますよ」

(4)くちなしの実と茹で汁をボウルに出す

さつまいもに竹串を刺し、すっと入ったら茹で上がり。火を止め、くちなしの実と茹で汁をボウルに出します。このとき、鍋に少量(写真参照)の茹で汁を残しておくようにしましょう。

「このあと、鍋の中でさつまいもを潰すのですが、残した水分が吸われて混ぜやすくなります」

(5)さつまいもを潰す

泡だて器や木べらを使い、鍋の中でさつまいもを潰していきます。

冷めてくると水分が飛んでさつまいもが締まってくるため、ボウルに移した茹で汁を加えながら好みの柔らかさに調整しましょう(今回は、おたま1杯ほどの茹で汁を加えました)。柔らかさの目安は、木べらなどですくってボタッと落ちるくらいがベスト。

「潰し加減はお好みです。よりなめらかにしたい人は、丁寧に潰しましょう。このあと甘露煮のシロップを加えるので、茹で汁はあまり入れ過ぎないよう気を付けてくださいね。もし入れ過ぎてしまった場合は、もう1度火を入れて水分を飛ばせば大丈夫です」

(6)調味する

栗の甘露煮のシロップを加えて混ぜます。さらに塩を加えて全体をなじませたら、味見をして、お好みの甘さ加減に調整します。

「旨味も詰まった甘露煮のシロップで甘さは充分! 甘いのがお好きな人はたっぷり加えてください。ただし、シロップだけだとパンチが弱いので、塩を加えて甘さを引き立たせます。くれぐれも、入れ過ぎには注意してくださいね。

なお、今回は食べ切りの分量なので必要ありませんが、日持ちさせたい人は、ここで1度火を入れておきましょう」

(7)保存容器に移して栗を入れ、なじませる

保存容器に栗のペーストをうつし、甘露煮の栗を入れてなじませます。

「栗は割って入れても、丸ごとでも。私は、この中に有塩バターを入れてスイートポテト栗きんとんにするのも好き! リンゴスライスを入れるのもおいしいんですよ。お好きな具材でアレンジを楽しんでみてくださいね」

(8)できあがり!

甘露煮の栗をトッピングしたらできあがり。くちなしの実で染まった黄色が目にも鮮やかで、見た目は栗きんとんそのもの!

 

食べてみると、裏漉しなしとは思えないなめらか食感にびっくり! さつまいもの繊維っぽさは一切なく、舌触り抜群。あえてさつまいもを粗めに潰し、ホクホク感を味わうのもまた良さそうです。

そして何より……甘さ加減がとっても絶妙! さつまいもの素朴な味わいが感じられるくらい控えめで、もったりとした甘さが口に残ることなく、ご飯やお弁当のおかずとしても箸が進む感じ。

栗と一緒に頬張れば、食べ応えもアップして一気にご馳走感が増します。

生栗から作るとなると大変ですが、さつまいもなら下処理も簡単。裏漉しも不要ですし、茹でた鍋の中でペーストにしていくから、洗い物が少ないのもありがたい!

このお正月は、沼津さん流のレシピで「さつま栗きんとん」を手作りしてみませんか? きっと、ふだんの食卓にも恋しくなること請け合いです。


 

【取材協力】

沼津りえ

料理研究家、管理栄養士、調理師。料理教室『cook会』主宰。バラエティー豊かなレッスン内容が好評で、東京・阿佐ヶ谷を中心に数多くの料理教室を開催。毎年、梅漬けの教室はリピーターが多く大人気に。手軽でシンプルなアイディア溢れるレシピに定評があり、雑誌などのメディアでも活躍。著書に『いろんな味で少しだけつくる ちょこっとだけ漬けもの』(学研プラス刊)、『55分焼きたてパン 粉100gの食べきりレシピ。手も道具も汚さずパパッとかんたん』(主婦の友社)、『米粉があれば!パンもおかずもおやつも極上』(主婦の友社)、『母から娘に伝えるはじめてのLINEレシピ』(ART NEXT)など多数。HPはこちら。Instagram@rienumadu  YouTube  管理栄養士  沼津りえの「阿佐ヶ谷夫婦チャンネル」

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