縫いはじめた布の裏側で糸が絡まってしまうのはなぜ?
null「生地の裏の、縫いはじめ部分に生じることの多い糸の絡まりを、お裁縫用語で“鳥の巣”と呼びます。
“鳥の巣”とは、
この“鳥の巣”、じつは自動糸切り機能を搭載したミシンだと、より起こりやすいと言われているんですよ」(以下「」内、たま先生)
自動糸切り機能はとても便利な反面、“鳥の巣”ができやすくなるとは知りませんでした! でも、なぜなのでしょう……? 調べてみました。
自動糸切り機能がないミシンでは、下糸・上糸ともに10cmほど伸ばして引き出し糸をカットし、次に縫い始めるときは邪魔にならないよう、自然と糸を押さえの奥へと向けてから縫っていたため、上糸は巻き込まれにくかったようです。
しかし、自動糸切り機能のミシンの場合、上糸は押さえの奥へと向けられることなく短めにカットされ、ふらついた状態となりやすい。そのまま縫い始めてしまうと上糸が下糸に巻き込まれやすく、鳥の巣ができやすくなってしまうと考えられているようです。
どうやら上糸の扱いに原因があるようですね。では、自動糸切り機能のあるミシンで“鳥の巣”を回避するにはどうしたらいいのでしょうか。
超簡単!「鳥の巣」回避テクニック
nullたま先生曰く、縫いはじめをほんのちょっと意識してあげるだけでよいそう。縫いはじめ3ステップ、中でもステップ2と3がポイントです。
(1)上糸を押さえの下に通す
(2)上糸を奥側に引っぱり指で軽く押さえる
(3)上糸を指で軽く押さえたままゆっくり縫う
なんとこれだけ!
「ミシンの動きを妨げないよう、指はそっと上糸に添えるイメージで。指は、返し縫いし終わったくらいを目安に離していただいてOKです」
今回分かりやすくするために、上糸(赤)と下糸(生成り)で色を分けてもらいました。失敗例を見ると、赤い上糸がグチャっと絡まり、鳥の巣になっているのが分かりますね。
上記でご紹介したワンアクションで、“鳥の巣”を回避できたのが写真右のお手本。すっきりして見た目も美しい!
糸の絡まりがひどいとごわつきますし、最悪やり直さねばならずストレスに……。原因と対処法を覚えて、鳥の巣とはおさらばしましょう。
次回は、同じくミシンでの縫いはじめに起こりがちなトラブルのひとつ、「布のくいこみ」回避法をご紹介します!
構成/kufura編集部
洋裁講師。
文化女子大学(現・文化学園大学)服装学部服装造形学科を卒業後、伊勢丹新宿店にて、紳士服のお直しの仕事に携わる。自身主宰の裁縫教室での講師のほか、ミシンメーカーでのワークショップの開催、出版物へのレシピ提供などで活躍中。現在は、毎月大人・子ども合わせて約40名以上の生徒をレッスン中。
『裁縫の楽しさを一人でも多くの人に』を目標に、Instagram(@nuinui.tamama)などで生徒作品や裁縫のちょっとしたテクニックを発信中。