子育て世代の「暮らしのくふう」を支えるWEBメディア

「防水スプレー」は「しっとり濡れる」までかけて!雨の強い味方・防水スプレーの正しい使い方

例年よりもかなり早い梅雨明けを迎えた地域も多かった2025年夏。しかし近年は梅雨明けしても、局地的なゲリラ豪雨に見舞われるリスクが高まっています。そのリスクを少しでも回避するためにもぜひ活用したいのが「防水スプレー」や「撥水スプレー」。正しい方法で使用すれば、急な雨でも服や靴、カバンなどがびしょびしょになるリスクを減らすことができます。そこで今回は「スコッチガードTM 防水スプレー」などを展開する『スリーエム ジャパングループ』に、防水・撥水スプレーの正しい使用方法について伺いました。

防水スプレーとは? 実は深い、防水スプレーの歴史

null

雨対策などに使用する水をはじくスプレーといえば「防水スプレー」と「撥水スプレー」が存在します。そもそも2つのスプレー、何が違うのでしょうか?

「撥水は英語でいうと『water repellent』で、通気性を損なわずに水を通さない意味となります。一方防水は『waterproof』で、水を通さないという少し強い言葉となる。それぞれ意味合いはけっこう違いますが、撥水スプレーと防水スプレーで比較すれば、正直なところほとんど違いはありません。どちらも同じようなニュアンスで使われているのが現状です」(スリーエム ジャパングループ コンシューマービジネスグループ技術部 スペシャリスト 芦澤正洋さん)

ちなみに「スコッチガードTM 防水スプレー」は繊維の通気性を損なわない仕様なので本来なら「撥水スプレー」ですが、分かりやすいように「防水」としているそう。であれば、今回は便宜上「防水スプレー」で統一することにします。

「防水スプレーの歴史をさかのぼると、油を塗ることによって水がはじいていたことが原点となります。ですが1960年代にアメリカの3Mが米軍からフッ素の工程技術を譲り受けた際、フッ素系樹脂が水も油もはじくという性質を発見し、それが3Mの『スコッチガードTM』のスタートとなっているんです。フッ素系樹脂は通気性を損なわずに水や油をはじく、先ほどの撥水スプレーの特性を持っています」(芦澤さん)

しかし現在のスコッチガードTM製品はフッ素系樹脂を使用しておらず、代わりにシリコーン系樹脂を主成分とした防水スプレーが主流になっているそうです。

「シリコーンは水と一緒に空気の流れも阻害する。いわば“防水”が特性です。しかし近年はシリコーンのメーカーが技術開発を進めてくれたおかげで、シリコーンに通気性を持たせることが可能となっています。ただフッ素系とは違って油をはじく特性はないので、油汚れなどを防ぐことは基本的にできません。

それでも我々が現在の防水スプレーにシリコーンを採用しているのは、フッ素系樹脂の防水スプレーに『PFAS』と呼ばれる有機フッ素化合物が含まれる問題があります。PFASには自然界では分解されない成分が含まれており、『スリーエム ジャパン』としては2025年末までに全製品でPFASの使用を終了する取り組みを行っているのです」(芦澤さん)

一般的に販売されている防水スプレーはスコッチガードTM製品のようなシリコーン系スプレーだけではなく、フッ素系の防水スプレーも少なくはありません。どちらを選ぶかはもちろん自由ですが、フッ素系防水スプレーに含まれるPFASの問題はぜひ頭に入れて選びたいところです。

「スコッチガードTM 防水スプレー」シリーズ。

スプレーの目安は“全体が液ダレせずしっとり濡れる程度”

null

スコッチガードTM製品の主成分となるシリコーン系樹脂は、まんべんなくスプレーすることで繊維にきちんと整列し、それによって水をはじく特性を持っているそうです。しかしその整列が乱れると撥水性はなくなってしまうそうですが、その一番の原因となるのが「摩擦」だそう。

「洗濯すれば落ちてしまうのは摩擦によるためです。逆にいえばお洗濯の後にスプレーをして、そのまま摩擦がない状態で保存できれば、ずっと防水性は持続します。また使用の際は屋外の風通しの良いところで15cm以上離して、全体が液ダレせずしっとり濡れる程度にスプレーするのが基本です。

ちなみにたくさんかければ効果がアップするわけではありません。まんべんなくかけて繊維の表面を覆うことができれば、きちんと性能が発揮されます」(スリーエム ジャパングループ コンシューマービジネスグループ プロダクトマーケティング部 宇津木珠美さん)

そして防水性能をしっかり発揮するには、しっかり乾燥させることも重要となるそうです。出かける直前などで急いでいる際はスプレーしてすぐ出かけたくなりそうですが、目安としてどのくらい乾燥させればいいのでしょうか?

「例えば衣類や繊維製品などの場合、およそ20分以上が目安になります。革靴などは皮革にしっかりしみこませて乾かす必要があるので、スプレー後は3時間以上の乾燥がおすすめです。いずれにしても防水スプレーの処方によって異なりますので、製品の説明書きなどをご確認の上ご使用ください」(宇津木さん)

しっとり濡れるまでスプレーしましょう。

『スコッチガード 防水スプレー速効性』

つまり出かける直前などに慌てて防水スプレーを散布しても、きちんとした効果を得ることができないということになります。使用するなら雨が降りそうな前日もしくは、週に1度などでメンテナンスをする日を設定することがおすすめですが、時に出かける直前などになって思い出すこともありますよね。

「弊社のスコッチガードTM製品では散布後に1分で防水できる(※)スプレー『スコッチガードTM 防水スプレー速効性』があります。こういった速効性の高い防水スプレーもありますので、急な天候変化に気づいた際や急なお出かけ時のご使用におすすめです」(宇津木さん)

また急いで乾燥をさせたい場合、ドライヤーやアイロンを使うという人もいるかもしれませんが、それは火災のリスクがあるのでNGだそう。またアイロンをあてることで高濃度の蒸気が沸き、気分が悪くなるという事例もあるそうです。

※スプレーする対象物の素材や条件によっては1分以上かかることがあります。

せっかく防水スプレーを持っていても、正しい方法で使わなければきちんと防水効果は得られません。まずは製品の説明書きをしっかり確認し、急な天候変化などに備えたいところです。

【取材協力】
スリーエム ジャパングループ
https://www.3mcompany.jp/3M/ja_JP/company-jp/

pin はてなブックマーク facebook Twitter LINE
大特集・連載
大特集・連載