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便利な「マイクロファイバー」その生地の種類と選び方のポイントを知って使いこなそう!

吸水性・速乾性が高いマイクロファイバー製のクロスやスポンジ。前回は「基礎知識」として、素材の仕組みやメリット、デメリットについて紹介してきました。2回目となる今回は、さまざまある生地の種類と使い分け方について取り上げます。

教えてくれたのは前回同様、マイクロファイバーの製品開発をサポートする技術商社『椿本興業』の秋田朋希さん。選び方についての意外なポイントについても伝授してもらいました。

マイクロファイバーはどんなことに使えるの?

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最も素材の特性を生かした使い方は、やっぱり“掃除”

マイクロファイバーは、ナイロンやポリエステルの化学素材から作られた合成繊維で、繊維の断面がデコボコしていることから、汚れや細かいほこりをかき取る特性があります。加えて、繊維断面に隙間がたくさんあることから、吸水性・速乾性が高い、というのは前回も紹介した通り。

つまり、洗剤を使わなくても、拭くだけで油やほこり汚れをかき取れ、水分を素早くしっかり吸収してくれる、というわけです。そのため主に、工場や車などの掃除用製品として使われてきました。

「わが社でも、自動車や工場などでの掃除用製品に主力を置いています」(以下「」内、秋田さん)

画像提供:椿本興業

『kufura』でも、20~50代の女性290人にマイクロファイバー製品の使用状況についてアンケートを取ったところ、なんと、活用したことがある人の100%が「掃除」に使っていました。

とはいえ、キレイにする場所もさまざまあります。アンケートで最も多かった活用法は「食器拭き」や「シンクなどの台所掃除」。ほかにも、こんな意見があげられました。

「皿洗いのとき、スポンジタイプのマイクロファイバー製品を使っています。洗剤を使わなくても油汚れが取れるので環境にもやさしく、洗剤を使わない分、節約にもなります」(44歳/会社員)

「水気が素早く取れるので、お風呂や洗面台の掃除に重宝しています。入浴後にさっと水分を拭く習慣をつけたら、カビが生えにくくなったかなと思います」(51歳/主婦)

「鏡をはじめ、テレビやPC、スマホなどの液晶画面をよく拭いています。手垢がよく取れるんですよね」(28歳/会社員)

「床のほこりはもちろん、網戸や窓などの土ぼこりを拭くのに活用しています。窓は特に、ひと拭きでピカピカに。床掃除はモップタイプのマイクロファイバー製品を使っていますが、洗って何度でも使えるので節約にもなっているかなと思います」(32歳/主婦)

マイクロファイバーは、水分だけでなく油汚れもしっかりからめ取ってくれるので、台所掃除だけでなく風呂場や窓、フローリング掃除にもピッタリ。

「SDGs」の観点からも、洗って何度でも使え、洗剤いらずのマイクロファイバー製品は重宝しそうですよね。

吸水性の高さを生かし「タオルドライ」にも!

マイクロファイバーは汚れや油分をかき取る性能がありますが、吸水性・速乾性が高いのも魅力。そのため、髪の毛やペットの毛のタオルドライにも最適だと、秋田さんは言います。

とはいえ、アンケートではこんな意見も。

「素手で何時間も使っていると手がカサカサになってしまいます」(40歳/主婦)

「ギシギシとした手触りが苦手です」(54歳/主婦)

確かにマイクロファイバー製品は、手や顔の水分や油分を奪うので、手触りという面で好みが分かれるところ。しかし、織り方や編み方、表面の糸の形状で風合いは変えられるそう。では、どんな形状の生地があるのでしょうか。

生地表面の形状の種類とおすすめの使い分け方

【パイル生地】

一般的なタオルの表面をよく見ると、表面の毛足が輪っかになっていませんか? このように、表面の糸がループ状になっている生地を「パイル生地」といいます。

「マイクロファイバーの糸でパイル生地のクロスを作った場合、一般的に、かき取り機能と吸水機能のバランスが取れた生地となります。そのため、掃除用のクロスにおすすめです」

【カットパイル生地】

一方、このパイルをカットした“カットパイル生地”は、毛量が多く、やさしくふんわりとした風合いになるため、タオルドライ用に使われることが多いといいます。

 

【チェニール生地】

「ほかにも、モール状の糸(チェニール)にすると、風合いは落ちますが、生地が分厚くなるので、バスマット用など、水分をたっぷり吸収する場面で使えます」

生地画像すべて椿本興業HPより

マイクロファイバーだから風合いが悪いのではなく、用途に適した織り方、編み方のクロスを選べば、手触り問題なども解消し、より便利に使いこなすことができそうです。

最近では、掃除用品以外の多様な商品展開もされており、例えば、指輪などの貴重品を扱う際のクロスのほか、下着やブランケット、毛布などにもマイクロファイバーが使われているといいます。

メガネ拭きもマイクロファイバークロス!生地の厚さにも注目を

「弊社が開発したシンク・コンロ周りの掃除用クロスは、しつこい汚れをかき取れるよう表面をループ形状にしています。さらに、力が伝わりやすいよう少し薄手にしているのですが、この“厚さ”も重要。生地が薄い方が力が伝わりやすいので、汚れが落ちやすいんです。逆に厚地にすると吸水性が高くなるので、タオルドライ用クロスなどに向いています」

「マイクロファイバーティッシュ(50枚入り)」画像提供:椿本興業

メガネ拭きもほとんどがマイクロファイバー生地ですが、薄い生地を使っていますよね。吸水性は落ちますが、手垢などの油汚れをしっかり取るうえ、薄いので力が伝わりやすく細かい部分までしっかり拭きとれます。

近年は、生地を薄くする技術が進み、ティッシュタイプの掃除用クロスも。薄いので机など、目についた部分を気軽に掃除でき、何度も洗って使えるため、注目されているそうです。

どこで買う?お店選びで性能が変わる?

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100円ショップで購入する人が多数!買うときに注目すべきポイントは“素材”

アンケートの回答によると、マイクロファイバー製品の購入先として最も多かったのが「100円ショップ」、次いで、「ホームセンター」でした。

安いうえに店舗数も多い「100円ショップ」。マイクロファイバー製品も多数取り揃えられていますから、気軽に購入できて便利ですよね。しかし、注意すべき点もあると、秋田さんは言います。

「マイクロファイバーの材質は基本的に、ポリエステル80%+ナイロン20%の割合がもっともバランスよく特性を発揮できるとされています。

ところが、ナイロンは高価なため、安価なマイクロファイバー製品の中には、ポリエステル100%のものも。これが、決して悪いわけではありませんが、やはり、かき取り性能や吸水性はやや落ちます。

ですから、手頃な価格のマイクロファイバー製品の場合、タグなどに記された材質を見て、ナイロンが含まれているか確認するのがおすすめです」

性能の高いマイクロファイバー製品はカー用品店に販売されているケースが多いといいます。洗車用にと開発されてきたので、種類も豊富なのだとか。100円台とまではいきませんが、数百円から2,000円台で高品質なものがあるので、一度覗いてみるのもおすすめです。

さて、いかがでしたか? 「マイクロファイバーといえば掃除で使うもの」といったイメージが強かった人も、考え方が変わったのではないでしょうか?

最近は技術の進歩でさまざまな形状、厚さ、手触りのマイクロファイバー製品が続々開発されています。ぜひ、幅広く活用してみてください。

 

【取材協力】

椿本興業

嶋田久美子
嶋田久美子

エディター/ライター。大学卒業後、出版社に勤務し、その後、フリーの記者として主に週刊誌の編集・執筆に携わる。歴史や美術をはじめ、マネー・車・健康・ペット・スピリチュアル・夫婦関係・シニアライフスタイルといった多岐にわたる女性向け実用情報を手掛ける。1児を持つシングルマザーで、趣味は漫画・アニメ鑑賞、神社巡り。

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