“鉄”から作られるお菓子缶。
null3歳からお菓子缶の魅力にとりつかれ、今年で47年。でもその間、お菓子缶の素材に着目したことはありませんでした。興味があるのはデザインのことばかり……。しかし今年、製缶会社の方々や、そもそもお菓子缶の原料である“鉄”を取り扱う製鉄会社の方々にお話を伺う機会が増え、お菓子缶がいかに素晴らしい素材からできているかを、改めて知ることができました。
「お菓子缶は“鉄”からできています」。そう言われて驚いてしまったのですが、よく考えたらお菓子缶に磁石がくっつくのは鉄だからですよね。そしてこの”鉄“からできている、ということが高いリサイクル性に繋がっていくのです。
想像してみてください。
例えばゴミ箱に分別しないでいろんなゴミを捨てたとしましょう。紙くず、ビニール袋、そしてお菓子缶。そこに強力な磁石を持ってきます。ゴミ箱に掲げれば、お菓子缶だけが磁石に反応し、ピタッ!とくっつき一瞬で分別できる……清掃の現場においてゴミの分別が非常にラクな素材なのです。
でも、私たち素人は「分別されたからってどうなの……?」と思ってしまいますよね(笑)。
“鉄”は硬く強固なイメージですが、実は何よりも柔軟性のある素材。そのため回収されたお菓子缶=鉄の加工品は溶かされ、不純物を取り除き、再度“鉄”に戻り、ビルの建材や車、家電の部品となってまた私たちの元に戻ってくるのです。
地球から生まれ、地球に還っていく素材「鉄」
nullではお菓子缶の原料となる“鉄”は一体どこから取れるのでしょうか。私も今までそんなこと考えてこともありませんでした。
“鉄”は地球からとれます(※)。
つまりスーパー天然素材なのです。しかも“鉄”は地球上に最も多く存在する素材であり、採掘可能量にほぼ制限がありません。何しろ地球の総質量の約1/3が“鉄”なのです。
そもそも地球の大きさを理解できていないので「総質量の1/3です!」と言われても、まったく想像がつかないのですが、とにかくすごい量であることは確かです。人間の知恵から生まれた素材も素敵ですが、地球にそもそもある天然の素材からお菓子缶が作られている……ここにもものすごいロマンを感じませんか。
※厳密には鉄の原料となる鉄鉱石のこと。
そして鉄は最後、腐食し(錆びること)、土になって地球に還っていきます。この壮大なループ! お菓子缶の裏にこんなストーリーがあるなんて今まで知りもしませんでした。しかし知った今は、感動の嵐。やはりお菓子缶ほど素晴らしいものはないですよね(オタクの独り言です)。
多分2,000缶以上ある、私の膨大な缶のコレクション。いつかは手放さざるを得ないときがやって来ます。今までも収納とのバランスを考え、泣く泣く缶を手放してきましたが、こうした缶の無限に続くリサイクルストーリーを聞くと少しだけ心穏やかに手放せる気がするのです。
それでは最後に、私でも鉄のリサイクル性が理解できた、とってもわかりやすい動画もどうぞ。
監修:日本製鉄株式会社
編集者・フードジャーナリスト。多くの料理本や暮らしの本、キャンプ本を手がける。自著に子どものごはん作りの闘いを描いた『闘う!母ごはん』、『素晴らしきお菓子缶の世界』(共に光文社)がある。 プライベートでは猫2匹&犬1匹と小学生、大学生の女の子の母。ハワイじゃなくてグアムラバー/スターウォーズマニア/アダム・ドライバーファン。Instagram